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スタートアップM&Aの規模化と質の向上を、事例から考察(その2)

スタートアップM&Aの規模化と質の向上のためには、スタートアップ起業家として、スタートアップBATNAの準備が重要と考えております。

スタートアップBATNAの意味については、こちらの記事がご参考です。https://note.com/jaws/n/nf7b16fa1976e

前回は、スタートアップBATNAの実践例として、PaidyがPayPalに約3,000億円で売却をしたと言われるスタートアップM&A事例を見てみました。

今回は、その他にどのような事例があるか、少し広めに見てみます。

デュアル・トラック含め、VC調達&IPOなどの「他の選択肢がある」(スタートアップBATNAがある)、もしくはその可能性を買い手が感じたことが、M&A時の企業価値最大化に寄与したと考えられる事例を、3桁億円以上や2桁億円以上のスタートアップM&A事例として以下にまとめてみました。

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上記のうち、ソラコムは、KDDIグループへの参画時点の8万回線から300万回線まで事業を拡大し、スタートアップM&Aの新たな形ともいえるスイングバイIPOを検討していることを公表して話題になりました。

(参照記事:https://thebridge.jp/2021/06/soracom-got-partnership-w-6-big-companies

なお、スイングバイIPOとは、大手企業の傘下で成長した後にIPOを目指す新しい成長モデルであり、「スイングバイ」という宇宙航行技術が由来で、惑星の重力に引っ張られて宇宙船が加速するように、スタートアップが大手の販売網や顧客網、人脈を生かして成長を速めることを意味します。(引用元:日本経済新聞)

その他の事例としては、22年5月に発表された医療分野スタートアップのアルムが約300億円規模のスタートアップM&Aを実行してDeNAのグループ入りをする案件は、今後の資本政策も注目ですね。既存株式の譲渡だけではなく、同時に増資による資金調達を247億円規模で22年7月に実行されています。既存株主だった創業者、SOMPOや三井物産がマイノリティ株主に残りつつ、既存株譲受と合わせて過半数株式を取得するDeNAと、マイノリティ出資する西部リアルティソリューションズが増資に応じた形です。

また、21年3月に大型IPOを実現したAppierに、IPO前である19年8月にスタートアップM&Aを経て売却したEmotion Intelligenceの事例も興味深いです。

海外企業が買収した、という点ではPaidyと共通しており、以下がその比較表です。

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(引用元:Smartround Academiaにて公開した弊社作成スライドを抜粋、https://smartround-academia-startup-manda.peatix.com/?lang=ja

特に、Appierは、台湾発のSaaS型AIスタートアップとして急成長中に日本での本格的な事業拡大のための手段として日本のAIスタートアップだったEmotion Intelligenceをグループに取り込み、日本での事業を拡大させながら、日本で上場した点は注目に値します。

スタートアップの経営者や社員にとっても、更なる事業成長の手段としてスタートアップM&Aを実行した結果として、売却した会社と買収した会社が一緒になって大型IPOを実現し、更に成長を加速する、ということは有意義なはずです。

詳細が気になる方は、太田さんnote:スタートアップに入社して、社長になって、会社を売却した話、もご参照ください。
https://note.com/asami623/n/nf74ff3c96a50

次回は、スタートアップM&Aの規模化と質の向上、事例から考察(その3)「買い手の多様化」です。


▶︎株式会社ファイナンス・プロデュース

「社会を変える事業を創るためのファイナンスをプロデュースする。」というミッションのもと、ドリームインキュベータから新規事業カーブアウト・MBO(マネジメント・バイアウト)を実行して誕生した、スタートアップ起業家専門の投資銀行事業を行う会社です。

特に、日本のスタートアップ業界のボトルネックとも言える、" スタートアップM&Aの規模化と質の向上 "を中核テーマとして、主にシリーズB以降等のグロース・ステージのスタートアップ起業家側のセルサイドFA(Financial Adviser)としてのM&A助言や、大型IPOに向けた資本政策・資金調達の助言事業を展開しております。

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