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リモートワークでのチーム・マネジメントと人事評価

クラウド・シップのリリース説明会を6月から毎月1回実施しておりますが、ご参加頂いた方から「リモートワークの際の評価の仕方はどうしたらよいでしょうか?」というご質問を頂くことがあります。
そこでお伝えしているのは「リモートワーク下での評価」の前にやるべきこととして、下記の4つに取り組むことをお勧めしています。

1.リモートワークでもチーム・マネジメントを機能させる
2.存在感を確認するのではなく、アウトプットを確認する
3.コミュニケーションの民主化(誰でもコメント、意見できる風土)
4.社員同士のコミュニケーションの見える化

書くと簡単ですが、オンラインで上記を実行しようとする場合、チームメンバーの共通認識や、普段からオープンなコミュニケーションができているかどうかが非常に大事になります。今回は長文です・・・最後までお読みいただければ幸いです。

1.リモートワークでもチーム・マネジメントを機能させる

最初のテーマですが私が所属する東京のコンサルティング部門では「Trello(トレロ)」というツールを活用しています。

タスク管理のツールですが、単なる個人のToDo管理、プロジェクト管理に留まることなく

 ・ チームメンバー間のタスクの割り振り
 ・ 付箋を貼る感覚でタスク管理が簡単にできる
 ・ チームメンバーの手持ちタスクの見える化
 ・ メンバー間の業務コントロールや進捗管理
 ・ 仕事を依頼する側・受ける側の双方に期日意識をもてる
 ・ タスクの依頼側と受ける側とのコミュニケーションなど・・・

使い勝手がよく、チーム・マネジメントに便利なため活用しています。折しもコロナに伴うリモートワーク、2020年卒の新入社員もおり業務アサインとその進捗を、メールにエクセルを添付する、それを上司が開封して確認するという双方の無駄をなくそうということ、そして自分たちで試したことを、お客様にも提供できるというメリットもあり、取り組み始めました。

よくテレビやネットニュースの記事でホントかウソかわからないような話を耳にしたり、目にした方も多いのではないかと思います。

「リモートワークでお互いの顔が見えるように、オンライン会議システムをつけっ放しにする」とか
「いま何をしている?と上司がチャットやビデオ通話で確認する」とか
「何時間どんなアプリケーションを立ち上げているかを監視するツールを使う」とか・・・

「時間」に着目するのではなく「タスク」、「アウトプット」、「期日」をマネジメントするほうが、社員と管理者にとっては健全だと思っています。その間の細かな時間の使い方、8時間デスクに座っているのかとか、関係なくないですか?就業規則も事業所外のみなし労働時間を取ることで、補完できると思います。性悪説にもとづく組織マネジメントはルールが複雑化し、メンバー間も疑心暗鬼になるので、性善説でシンプルなマネジメントにすることがマネジャーの役割ではないかと常々思っています。

2.存在感を確認するのではなく、アウトプットを確認する

それではTrelloをどのように使っているか、実際に見て頂いたほうがイメージがつくと思うので、キャプチャを貼り付けて説明します。

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TrelloはPCやスマホ、タブレットでブラウザやアプリで活用でき、無料版でキャプチャのようなボードを10枚利用できます。またチームメンバーを招待して、チームで使うこともできます。
私たちの組織では、1つのボードの中にメンバー1人ひとりのタスクのリストを作り、業務の見える化と、プロセス(仕掛状況)の見える化をしています。

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ただ単にカードを発行して見える化するだけじゃないのが、Trelloのいいところで、カードの中の機能が充実しています。

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① 期限:仕事の期限を時間まで指定できます。自分で設定するのも1つですし、新人やアシスタントには依頼者から期限を設定し、仕事を依頼する側・受ける側の納期意識を持たせます。
② チェックリスト:1つのタスクを、さらに細かな作業単位に落とし込みます。ここはそれぞれの業務の取り組み方が見えますし、期限に向けて着実に進んでいるか見えるので便利です!
③ 進捗:チェックリストが上記は4つあるので、1つのチェックリストが終わるたびに、25%ずつ進捗が見えるかされます。バーで表示されるので、ちょっとしたやる気アップpointですね。
④ 添付ファイル:依頼者が業務を頼む際に、集計シートやフォーマットを添付することもできますし、作業者が進捗を上司・先輩に見てもらうために添付したり、終わったらアウトプットを添付したりできます。
⑤ フォローする:依頼者は「フォローする」ボタンを押すと、上記①~④に変更が記載されたら、メールで通知が来るので、進捗もわかり便利です。
⑥ アクティビティログ:上司と部下間で、コメントを残せるので、タスクを進める上での相談や、困りごとなどを書き、上司・先輩がアドバイスするなど、コミュニケーションの見える化ができます。

どうでしょう?リモートワークで上司が「何やってる?」みたいなビデオ通話で存在感を確認するより、日々のタスク管理とコミュニケーションを見える化して、文字にいちいち起こすほうが時間を要するようなアドバイスを、電話やビデオ通話で補い合えば、オカシなマイクロマネジメントは不要だと思いませんか?

ジョブの前にアウトプット
ジョブ型人事制度と、リモートワークで成果主義の評価が再燃していますが、成果と表現するとセールス部門をイメージするので、私は「アウトプット評価」が大事ではないかと思っています。アウトプットをマネジメントするにも、Trelloを活用して、期待するアウトプットを「カード」として発行し、その達成期日を「期限」として設定、「チェックリスト」で行動計画に落とし込み、進捗管理を「アクティビティログ」で記載して、上司・先輩がアドバイスを行い、結果を「添付」してエビデンスとして残す。

アウトプットとは?
例えば動画やテキストのマニュアルを作るのもアウトプットですし、特定のスキルを身につけ標準的な時間である業務を遂行できるようになるのもアウトプット、伝票作成のミスをゼロにするのもアウトプット・・・まずは上司と社員とがある期間に期待するアウトプットをお互いにすり合わせて取り組むことが大事で、その期間が時間であれば作業、日や週単位であればタスク、月や四半期~半期単位であれば目標とフォーカスが変わるので、あまり長い期間でのMBO(目標管理)に慣れていない組織であれば、時間軸が短い時間や日・週単位の作業やタスク管理から取り入れて、Trelloを活用したリモートワーク下でのチーム・マネジメントに取り組まれてはどうでしょうか?

3.コミュニケーションの民主化

チームメンバーで仕事の依頼、共同でのタスクをリモートワーク下で行う場合に、上記のようなツールで見える化することに加えて、「誰にでもタスクのカードを発行」したり「自分たちで考えて期限やタスクの量をコントロール」できるよう裁量があり、権限を超えるようであれば、「上司に確認や交渉」をしてタスクを発行・調整できるようになると、組織の生産性が高まります。
従来のように上司が「仕事は順調?どのくらい進んでるの?」と声をかけて、責められるのが嫌だから部下は「順調です」ととりあえず答えるやり取りから解放されて、自立自走を目指してチーム・マネジメントに変化を生み出してはどうでしょうか?

上記のようなスムーズでオープンなコミュニケーションを取るため、カードを発行するために、下記のようなルールもTrelloの中で定めています。

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部下・後輩にカードを発行(=タスクを依頼)する時のルールと、上司・先輩から仕事を受ける時のルールを明確にしました。
後輩に仕事を依頼する時に別の仕事をやっていて、優先順位や期限を確認したくて「その仕事、いつまでに依頼されたの?お客様に提出する資料?それともAさんが分析資料作るための下準備?」と聞くと「あ、確認してなかったです」と言われて、Aさんにわざわざ確認する・・・こんなことリモートワークでなくてもよくある話ですから、リモートワークだと尚更だと思います。

ことリモートワークではメンバーに上記のようなコミュニケーションのルールを明確にし、カードのフォーマットに基づいて、依頼する側・受ける側の双方が共通のフレームワークで話せるようにすると、行き違いや何度も確認するということが減ります。
例えば上司が期日を設定していなければ部下の方から「いつまでですか?」と確認したり、アクティビティログを使って上司に相談すれば、メールに通知が行くので常に顔を合わせて確認する必要もなく、上司にとっても便利です。
上司もタスクをフォローをしておけば、タスクが未着手から着手中、完了に変わるたびにメールで通知が来るし、いちいち「どう?順調?」とか聞く必要もなく、部下側も気持ちよく仕事ができるわけです。そしてベストなのは同僚が「タスクたまってるけど大丈夫?手伝おうか?」とかお互いに気をかけて声をかけ合えるようになることです。

これら一連のコミュニケーションのフレームワーク化と、メンバー間の双方向性、オープンなフィードバックと相互支援を、私は「コミュニケーションの民主化」と言って、回りにこの言葉を浸透させようかなと思っています。まだ使っているひといないですケド・・・。組織のピラミッドで上から下にではなく、情報を持っている者と持たざる者との差をなくし、フラットにメンバーが全体性(ティール組織でいうホールネス)を発揮できることが大事だと思っています。

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4.社員同士のコミュニケーションの見える化

Trelloでは、下記のように「ラベル」を設定できます。私たちはリストを個人ごとに割り振っているので、ラベルでタスクのステータス(状況)を見える化しています。
最初は「完了」から「未着手」までの4つでしたが、「未着手」と「着手」の間に考えたり構想を練っている状態もあるよねということで「アイデア・要具体化」とか、仕事を依頼する側も優先度が高いものがわかるといいねということで「必見!」を増やし、部下・後輩は「完了」と思っていても上司・先輩のチェックが入るワケですが、上司・先輩からフィードバック待ちの状態もあるため「上司確認中」を追加したりと結局、7つのラベルで運用しています。

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便利なのはラベルでソートをかけると、例えば全メンバーの「未着手」案件だけ表示されるので、その中でも期日が近いものに催促、フォロー、アドバイスを行うこともできます。

そのほかにもこんな使い方・・・

個人のタスク管理は、リスト自体を図のようにToDo→作業中→他者と調整→完了タスクとすることで、タスクごとにカードを発行して、付箋を移動するように進捗したらカードをドラッグして移動させることで、仕掛かりの見える化ができます。エクセルの一覧で進捗率何%と、ウソかホントかよく分からない報告よりステータスが見える化された方が分かりやすいです。

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あとマーケティングのパイプライン(問合せなどの案件→商談→見積→契約までの流れ)を見える化するなどにも使えます。セールスフォースなどを導入している企業では不要ですが、ちょっとした営業案件管理であれば、こういう使い方もあるかなと思います。

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これ以外にもTrelloでは活用にあたり、使い方のコツや、様々なテンプレートが公開されているので、ご関心がありましたらそちらを見ていただければと思います。


リモートワークで求められる社員と評価者の行動特性!

通常の目標管理のように、本人と上司で評価期間(四半期〜半期)でのアウトプット(期待成果)を決めて取り組むことに加え、これまで述べたようなツールを活用しながらチームマネジメントを行い、チームでの協働をして行くために必要な行動特性もあるので、そこも評価のポイントとしてはと思います。

リモートワーク下でのチームマネジメントに必要な行動特性

【社員】
 ・計画立案(タスクの期限に基づいて仕事のプロセスに分解し、自分で計画を立てられるか?)
 ・計画完遂力(立てた計画に基づいて遂行できるか?)
 ・時間管理(上記アウトプットにあたり、在宅でも所定労働時間の計画を立て取り組んでいるか?プライベートが混在して長時間労働化していないか?)
 ・報告、相談(進捗報告と、タスクを進めるために必要な相談を、自ら上司・先輩に働きかけているか?)
 ・業務調整(他者からの急な依頼など、上司・先輩に優先順位を確認して、タスクの計画を調整できるか?)
 ・ツールリテラシー(チャット、タスク管理、ビデオ通話など新たなツールに対する理解と操作ができているか?)
 ・オンライン意思疎通(チャットなどをオンラインを通じた意思疎通で、相手を不快にさせたり、語気を荒げたりせず、参加者属性を理解した伝達ができるか?雑談などに終始せず、5W1Hで次の行動に繋がる確認が取れているか?)
 ・言語化力(自らの業務プロセス、行動、結果を文章や言葉にして、論理的に説明できるか?)
 ・他者への関心(各種ツールでのメンバーからのコメントなどに目を通し、フォローやリアクションで、相手の発信に答えているか?オンラインでの双方の存在感の確認ができているか?)

おそらくもっとあると思いますが、コンサルティングの現場や自社での経験則、自分の成功談・失敗談から、上記のようなことがあるのではないでしょうか?

【評価者】
 ・ツールリテラシー(チャット、タスク管理、ビデオ通話など新しいツールの操作を理解し、定期的にログインし、不明点を調べる、部下に聞くなどして積極的に仕事に取り入れているか?活用の停滞でチームに支障を与えてないか?)
 ・明確な指示(期日、期待成果、業務の目的などを明確に伝えているか?)
 ・業務調整(部下のタスクを確認し、期限が近い/超えている案件のフォロー、自ら働きかけ相談に乗り、業務調整をしているか?)
 ・課題解決(上記で部下からの相談に、解決の糸口をアドバイスしたり、解決に導いているか?)
 ・部下への関心(各種ツールでの部下からのコメント、情報などに目を通し、リアクションや部下を認める/褒めるコミュニケーションをとっているか?)
 ・コメント力(指摘ばかりではなく、良い点を認め、それが自身やチーム、顧客などにどう役立っているかを伝え、仕事の有意味性を部下が感じられるようなコメントをしているか?)
 ・業務アサイン(タスク管理ツールで部下のタスクの多寡を把握し、メンバー間の業務調整を行なっているか?)
 ・言語化力、オンライン意思疎通は社員と同様(上司こそコレ大事!)
 ・双方向の場作り(メンバー同士が共通の話題、テーマで取り組める機会を作り、メンバーシップの維持、1on1などで組織の健康状態を把握しているか?)

Trelloであれば、上記のようなことに取り組んでいるかどうか、社員・評価者である上司の双方のコミュニケーションのログ、タスクのログが残っていますので(アーカイブも含めて)、それらの結果やプロセス、言動を評価のエビデンスとして活用するとスムーズに評価も行えます。

今回はリモートワークでのチーム・マネジメントと評価(アウトプット評価と、行動特性評価、ツールを活用したエビデンス)についてお伝えしてきました。これらを活用できるオープンな組織、組織の健全性が重要です。加えて組織内のこのような新たなツールへのリテラシーの差がログイン頻度や、ツール内でのリアクションの差に繋がり、情報格差やネット内風土についていけないなどありますので、オフラインでの繋がりや、お互いのフォローや声の掛け合い、教え合いなどの文化と融合させることで、オンラインとオフラインの相乗効果を生み出す取り組みにしていただければと思います。

コロナ禍での評価や、クラウドを活用した評価については、こちらもご覧ください。




























































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