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上司の役割って何?

とある外資系メーカーに勤める社会人経験10年ちょいの私が、上司Kさんとの経験から、上司の役割とは何だろうと考えてみた。

上司Kさんのチームは業務が大きく分けて2つあり、彼自身は業務Aをハンズオンで行っており、私はもう1つの業務Bに従事していた。

彼は業務Aの仕事が多忙だったため、チーム全体をマネージメントする余裕がなく、部下を全く放置している状況だった。

どれぐらいの放置かというと、年末年始休みが明けて、仕事が始まってから2週間全くやりとりがなく、結局、「あけましておめでとうございます」が言えなかったぐらい。

上司Kも初めは、私が海外とやりとりする打ち合わせに参加し、状況を見ていたが、特に面倒を見なくても私が業務をスムーズに進められるのを理解したのか、次第に私がやっている業務Bに全く関わることがなくなり、1年が終わった。

その1年の最後の期末評価では、exceptionalという会社で数名しかもらえない高い評価を受けた。上司が全く関わらないでも問題無く業務を遂行していたので、評価が高いのは当然と自分の中では思った。たが、それと同時にその人は、自分の何を見て評価をつけたのか釈然とせず、本当に最高評価を貰っても大丈夫なのか、嬉しい気持ちと裏腹に、少し不安になり、少し虚しくなった。

結局その人は突然数日間無断欠勤をした後、長い休職に入ってしまい、復帰後、降格させられてしまった。これまで降格させられる人など見たことが無かったので、元々マネージャーの仕事するのはいささか難しかったのかもしれない。

ただ、初めて上司からマネージされない環境で仕事をしてわかったことは、業務内容によっては、良くも悪くも、上司などいなくとも本質的には仕事は進められるんだなということ。(もちろん権限が必要な稟議承認とか、会社に損失を与えかねない大問題があれば上司からのサポートは必要だし、経験が浅い仕事であれば細かく見てもらう必要はある)

その前の別の上司と比較すると、その人は、たいして重要でもないことなのに、報告していないことがあるとヘソを曲げることがある性格だったので(その割に重要なことを報告しても、あまり興味を示さず、ろくなアドバイスもない)、そんな「あまのじゃく」さんにどう対応すれば良いか悩んで、仕事を進めることが遅くなってしまうことが多々あった。

だから、そういう無駄な干渉がないと、スムーズに仕事が進められるので、とても快適だった。これはその後の上司達も同じで、細かい報告など求めず、部下をエンパワーして割と自由に仕事をさせてくれる人達が多かったので、非常にやりやすかった。

じゃあ、上司の役割って何?となると、私がその時、もっとこうだったら良かったのになと思ったのは、何かフィードバックをもらったり、チャレンジングな課題を設定してもらってコーチングしてもらいながら、よりパフォーマンスが上がる環境を整えてもらうとか、そういうやりとりがあればより良かったなと思う。

上司やマネージャーは、会社から、ある結果を出して下さい、と求められている。そしてそれは彼等1人で達成するのは難しい。その代わり、部下を会社から預かり、その限られたリソース(たいてい最低限のリソースしかない)で、最大限必要な結果を出して下さいと言われている。だから、割り当てられた部下の能力、ポテンシャルを引き出していくことは、当然マネージャー自身の成果に関わる。そのため部下の成長を促すことに時間を割くとういうのはマネージャー自身の成果のためにも必要なことだ。逆にいうと、部下にパワハラをして、その人のパフォーマンス能力を下げる上司がいると、本当に非合理に思える。

私自身も、部下の視点から、これはパフォーマンスが上がったなーという経験がある。それは新卒研修時代にその当時の上司にされたことだ。研修時、現場作業に2、3ヶ月従事したことがあった。あまり肉体労働系が得意ではないし、研修とはいえ、会社に入ってまさかそういうことをするとは思ってなかったので、精神的に辛かった。そんな私の後ろ姿が寂しげに見えたのか、当時の上司が、いきなり後ろから、「どうした?元気か?」と肩をたたいてくれたのだった。その時、私は救われた気がしたし、ちゃんと自分を守ってくれる人がいるんだなと安心した気がした。その結果、心折れず、前向きに学習意欲を持ち、研修を乗り切れた。最前線にいる現場の人々がどういう人達で、何をやっているか、体感したことがあるかないかは、仕事をする上で説得力に違いが出ると思っている。
ほんのささいなその当時の上司の行動は、確かに私のパフォーマンス能力を上げた。

なので、この考察の結論としては、上司の役割とは、会社から求められる成果を達成するために、預かった部下のパフォーマンスが最大限になるよう環境を整え、促し、支援し、成果を達成していくということになる。 そのアプローチの仕方は状況に応じて、フレキシブルに変えていく必要があり、それをどう遂行するかが、上司としての腕の見せどころかとは思うが、根本の目的は忘れないようにしたい。

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