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アンドロイドになったらやたらモテまくったのだが・・・

 ヴァージニア州のドーテータウンにある大病院の理事長の息子にマークス・ホガースという高校生がいた。マークス少年は幼い頃から発明の才能を発揮し数々の発明品を作っていた。その発明品の殆どは実用化され父親が経営する病院でも使われていた。そんなマークス少年であるが、天才にはありがちだが女性に対して非常に奥手で童貞であった。しかし数々の発明をしているマークスは有名人であるから女性から勝手に誘ってくるかもしれないではないかと人は言うかもしれない。たしかに女性は彼の元にやってきはした。だがマークス少年は不細工すぎる少年であり、彼を訪ねてきた女性たちは皆あんなの食べるぐらいだったらもやし食べた方がマシよと言ってさっさと去ってしまうのだった。マークスは思いやりのある少年で、現に今も死の病に犯されている友人を毎日見舞っていたのだ。だがマークス少年の不細工さはそんな思いやりのある心優しい性格であるという評判さえふっとばすほどだった。悲しい事だがこれは人間の真実である。ドストエフスキーも言っているように思いやりのある人間は思いやりのあるような顔をしていないとだれもそのようにみてくれないのだ。

 さて私は先程マークスが毎日死の病に犯されている友人を見舞っていると書いた。その友人のヘンリー・トーマスという少年はマークスと同じように不細工で二人揃ってクラスメイトからは不細工ブラザーズと散々揶揄われていた。彼らは悔しくて悔しくてクラスメイトを全員銃でぶっ殺そうかと思ったが、しかしぶっ殺したところで自分たちがイケメンになるわけではないことに思い至り泣きながら自分の不細工な顔を恨んだのである。しかし彼らは別れざるを得なかった。ヘンリーが重い病に倒れたからである。

 マークスは今日も死の淵にいるヘンリーを見舞っていた。しかしいつもだったらマークスの見舞いを喜んで発明の事を聞きまくるヘンリーが今日は何故か何も喋らなかった。マークスはなぜだろうと思いながらヘンリーを見たのだが、その時今まで黙っていたヘンリーが喋ってきたのである。ヘンリーはこう言った。

「マークス、俺はもうダメだ。今日か長くて明日には天国に旅立たなきゃ行けない。医者がダディに喋ってたのを聞いたんだ。息子さんは明日で死亡しますって。これで不細工ブラザーズも解散だな。だけど俺死にたくないよ……。童貞のまま死ぬなんて嫌だよ」

 マークスは友と一緒に泣いた。自分にはどうすることもできない悔しさに泣いた。だが友人は突然身体を起こしてマークスを見たのだ。マークスは余命幾許もない友人の無茶に慌てやめるように言った。しかしヘンリーはマークスの言うことを聞かず十字にクロスして跪いて彼に懇願したのだ。

「マークス。俺をお前のアンドロイドの実験台にしてくれ!お前この前言ってただろ?アンドロイドは着々と完成しつつあるって。あとは生き物の脳で実験をするだけだって。お願いだ!俺を実験台にしてくれ!スマホでアンドロイド見せてくれたじゃないか!このお前のダディが経営する病院のイケメンの死亡者から抽出した細胞を培養して作ったあのギリシャ彫刻みたいなイケメンアンドロイドだよ!あのアンドロイドの頭に俺の脳を入れてほしいんだ!出来れば今すぐ俺が天国に召される前に早くやってくれ!もう脳のDNAの完全転用装置は出来てるんだろ?なら迷う事はない!俺はあのアンドロイドに文字通り自分の生命をかけたいんだ!早くしてくれ!」

 マークスにこの友人の頼みが断れるはずがなかった。唯一人の親友を助けたい。そんな思いが彼を突き動かした。マークスは友人にちょっと待ってろ!僕が帰ってくるまで死ぬんじゃないぞと呼びかけてすぐさま地下にある脳の完全DNA転用装置を持ってきた。そしてすぐに友人の脳の完全DNAを取り出した。理論上これで友人の生前の記憶は全て保存されるはずマークスは完全に取り込むとすぐさまアンドロイドが格納されている自宅の地下室へと向かった。

 さて読者は話の落ちとしてやっぱり失敗だったとか。友人のヘンリーはアンドロイドになったもののやっぱり不細工だったとかいうのがお好みだろう。私もそうだと思っていた。しかし現実とは想像のはるか上をいくものでなんとヘンリーは見事アンドロイドとして蘇生してしまったのだ。蘇生したイケメンアンドロイドのヘンリーはすぐさまマークスと一緒に自分が生前住んでいた家に向かって葬儀に参列して過去の不細工の極みだった自分に涙涙のお別れをした。ヘンリーはアンドロイドになって感じたが、実は人間よりアンドロイドの方が生きてゆくのに遥かに好都合だった。アンドロイドは飯を食わなくてもいきていけるし風呂に入らなくても全く臭くならないのだ。そして一番いいと思ったのはアンドロイドが全く年をとらない事だった。ヘンリーはなんか街歩きたくなったなとマークスに言うとマークスが止めるのも聞かずさっさと繁華街に消えてしまったのである。

 イケメンアンドロイドのヘンリーはもうあり得ないぐらいのイケメンだったので当然女性にモテまくった。ヘンリーは早速彼を誘ってきた女性とホテルに入った。しかしいくらイケメンアンドロイドでも頭の中は不細工童貞のヘンリーである。当然女性経験などない。だからヘンリーは自分が童貞であることを告白せざるを得なかった。しかしである。いくら中身は不細工童貞のヘンリーでも外見はイケメンアンドロイドなのだ。女性はイケメンであるヘンリーのこの告白を聞いて胸がキュンとなってしまった。彼女は私が全部教えてあげるといきなりヘンリーアンドロイド巨根を頬張りだした。その頬張りでイケメンアンドロイドヘンリーは覚醒してしまった。彼は女性に教わるがままに股の間をほじくり出しあっという間に女性をイカせてしまった。しかし当然これだけでは治らなかった。ヘンリーはこれまた女性に教わった通りに自分の濡れて光るアンドロイドスティックを女性の股の間にぶち込んだ。ヘンリーのアンドロイドスティックに感激した女性がアッ、アッー!とか叫び出した。アンドロイドヘンリーは勇者のような気分になり、ついには女性を四つん這いにさせて後ろからアンドロイドスティックをぶち込んだ。ヘンリーは立て続けにボーガンを押し引きして叫んだ。

「ファック!ファック!ファック!マザーファッカー!」

 翌日一晩中ヘンリーを探し回っていたマークスの元にイケメンアンドロイドヘンリーが帰ってきた。マークスはヘンリーが見つかったことに感激して抱きしめようと近寄ったが、近くで見たヘンリーがなんか雰囲気が変わっていたので抱きしめるのをやめた。ヘンリーは何故か蔑みの視線をマークスに向けてそのまま部屋の中に入ってコーヒーを飲み出した。そしてヘンリーはソファーに座るとテーブルの前にスマホを投げた。

「コイツを見ろよ。マークス」

 マークスはヘンリーに言われるがままにスマホを覗き、そしてビックリして顔を赤らめた。スマホに写っていたのは今まで彼が見たこともない全裸の女性の露わな肢体だったのである。しかもそこにはマークスが想像すら出来なかった女性の性器が鮮明に写っているではないか。

 ヘンリーはマークスのあまりに童貞臭い反応をせせら笑ってから上機嫌で自分をイケメンアンドロイドにしてくれた彼に感謝し始めた。

「いやぁ〜、全部お前のおかげだよ。あんな醜い不細工だった俺がたった一日でイケメンのモテまくりになれたんだから。お前がいなかったら俺不細工のまま死んでたもんな。お前こそ本物の友だよ。だけどさ」

 とヘンリーはマークスに頭を近づけてじっくりと彼の顔を見た。

「なんでお前あんなもの作れるのにその不細工なツラを治さなかったわけ?もしかして手の施しようがなくてアンドロイドにならなきゃいけないほど不細工なのか?まぁ俺も昔そうだったからあんまり人のこと言えないけど、いくらなんでも酷すぎるぜ。お前ちゃんと自分の顔の酷さ自覚してる?してるんだったら俺にしたように自分でイケメンアンドロイドになれよ。でなきゃ一緒に街歩けないぜ。……あっごめん!いくら天才のお前でも自分で自分の脳の転送できるはずねえわな。まぁとにかくなんだこれからは街中俺と一緒に歩かないでもらえる?申し訳ないけど一緒にいるとお前の不細工童貞菌が感染るようなきがしてイヤなんだよね。ところでさ」

 とヘンリーの話が続いている間マークスは彼をアンドロイドにしたことを本気で後悔し出した。あの優しかったヘンリーがアンドロイドになった途端こんなクズ男になってしまうなんて。ああヘンリー!あの君はどこに行ってしまったんだ。

「おいマークス聞いてんのかよ。俺はまたお前に頼みがあるんだよ。ちゃんと聞けよ。その頼みってのはやっぱりエッチのことでさ。もっとパワーつけて欲しいわけよ。あの女とは立て続けに5回やったんだけど俺それでヘトヘトになっちまってさ。けどそんなこと知らねえ他の女たちは俺を誘ってくるでしょ。俺も女たちと片っ端からやりまくりたかったけど肝心の息子がうんともすんとも言わねえんだよ。だから改造して俺をパワーアップさせてくれよ。なぁ一生のお願い!マークスちゃん夕方までにお願いしましゅ!今夜も女が大量に待ってるんだから」

 マークス少年は目を瞑って友人の頼みを聞くと分かったと答えて夕方どころか今すぐにでも出来ると言った。イケメンアンドロイドのヘンリーは喜んでガッツポーズをとったが、マークスはそのヘンリーにこれを口につけてくれと言ってチューブ付きのマスクみたいなものを渡した。

「それを口にはめるんだ。はめたら自動ロックがかかるから僕が外すまで自分で外そうとしても絶対にできないよ」

「おおわかったわかった!これをはめてお前がなんかしたらパワーアップできるんだな。よしいつでも来いや!」

 ヘンリーがチューブ付きのマスクみたいなものをつけるとマークスはすぐさま自転車の空気ポンプみたいなものを高速で押し引きした。

「おい!それ空気ポンプじゃねえか!やめろ口の中に空気が入って腹が膨れちまうよぉ!マークス!マークス!やめてくれ!頭おかしくなったのか!」

 だがマークスにはヘンリーの叫びは聞こえなかった。それどころかヘンリーが叫べば叫ぶほどマークスの押し引きはどんどん高速化していった。そしてパーンという音が部屋中に響きイケメンアンドロイドヘンリーは破裂した。

 マークスはその破裂した残骸を見つめてこう思った。やっぱり人間をアンドロイドにするのはやめよう。今度からは亡くなったペットを蘇生させることにしようと。



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