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最期の恋人

「まだ僕に逢いに来るときじゃないよ」

「私あなたに逢いたいの!今すぐ連れて行ってよ!」

「君は勘違いしてるんだ。早く僕に対する想いが一時的なものだって気づくべきなんだ。立ち止まって本当に僕に会っていいのか考えるんだ。そしたら僕への恋なんて一時的なものだって気づくはずさ」

「一時的だって?私ずっと前から決めていたのよ!もう何もかも捨ててあなたのもとに旅立つんだって!」

「……君の決心がそこまで強いとは思わなかったよ。じゃあいいんだね。連れてっていいんだね。だけど僕にできるのは道案内ぐらいさ。目的地に着いたらさようならだ。そこで君は光など決して差さない暗闇の中を永遠に過ごすんだ。もしかしたらあったかもしれない明るい未来を過ごせなかった事を悔いながらね」

「……考え直したわ。……やっぱり私……あなたと付き合うのはあきらめる。私、自分がそんなに嫌われてるとは思わなかった。もっとあなたに好かれてると思ってた。じゃあさよなら。でも……一つお願いしていい?私がまたあなたに逢いたくなったらまた来てくれる?今日みたいにお話ししてくれる?」

「僕としてはそうならないことを願いたいね。君が僕なんかより遥かに素敵な恋人を選ぶことを祈っているよ。最後の恋人は生きていれば絶対に見つかるさ」

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