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豊臣秀頼

 大阪城は家康の軍勢に完全に取り囲まれていた。豊臣軍はもはや敗北寸前で奇跡の到来を待つしかなかった。猛将真田幸村、毛利勝永はすでに倒れ、後は家康軍の総攻撃を待つのみとなった。豊臣秀頼とその母の淀殿はもはや敗北は必至と覚悟して死出の旅路の支度を整え始めた。その二人を見て家来は思わず涙した。この美熟女の母とイケメンの眩いばかりの親子。特に秀頼は光GENJIすら霞むほどの美丈夫でとてもあの毛だらけで全身真っ黒な猿の子供とは思えなかった。母の淀殿は立ち上がると秀頼にさあ一緒に来てたもれと呼びかけた。しかし秀頼は立ち上がらず母に向かってこう言った。

「母上、死ぬ前にどうしても知りたい事がある。私の父は一体誰なのですか?」

 この秀頼の突然の問いに淀殿は狼狽して御身の父は亡き太閤殿下ですぞと諭した。しかし秀頼は母の言葉を無視してさらに我が真の父は誰ぞと重ねて尋ねたのである。淀殿は息子の真剣な眼を見て口籠もり、ここでは到底言えぬ別の部屋へと手で呼んだが秀頼はまったく動かず、ここで、家来のいる前で話してくれと言った。

「母上、死ぬ前に全てを話してくだされ!私はあの毛だらけで全身真っ黒な太閤殿下の子ではないのでしょう。私は生まれてからずっとあの子は太閤の子供ではないと陰口を叩かれてきました。だって見たらわかるじゃないですか。私はザバスを飲み続けたらこんなナイスボディになれますよというCM通りの体でムダ毛も生えなかったし、肌の色だって程よく焼けたいい感じの色で真っ黒では無いのです。それと太閤みたいに皺だらけじゃないし、あんな猿とは比較にならないほどのイケメンなんです。私はずっと本当の父を探していたのです。母上死ぬ前に本当のことを言ってください。私は誰の子供なんですか。あの関ヶ原で死んだ石田治部少三成ですか?それとも茶臼山で戦死した真田幸村ですか?ああ!それか今ここにいる大野治長ですか?そういえば母上はこの治長と乳兄弟だった。おっしゃってください!私の真の父はここにいる大野治長なのですね?」

 秀頼の言葉を聞いた家来たちは一斉に泣き伏した。いくら戦国の世といえど父を求める子の熱き想いは涙を誘うものだ。母の淀殿も我が子の真の父を求める想いに負けてとうとう重い口を開いた。

「我が子秀頼よ。母は今まで御身を苦しめていたことを深く謝ります。たしかに御身はあの毛だらけで全身真っ黒な太閤の子供ではありません。御身の誠の父は……」

 その時脇に控えていた大野治長が立ち上がって叫んだ。

「政所様やめてくだされ!私が話します!上様、あなたの父は……」

 治長がここまで言ったところで何故か他の家来も立ち上がった。

「いや、上様の父は俺です!俺はしっかり政所様とハメた日を覚えている!」

「出鱈目言うな!俺に決まってるだろうが!あの夜政所様はこんなにいっぱい出してとか言って俺を褒めてくれたんだ!」

「いや俺に決まってるだろうが!政所様はあなた三成とか幸村なんかと比較にならないましてや治長なんかあなたに比べたら折れたポッキーよ!って言ってたんだ!」

 俺だ!いや俺だとその場にいた者たちはもちろん戦場に出ていた者たちも戻ってきて口々に叫んだ。さらには死んだ三成や幸村まであの世から帰ってきて俺の子だと叫んだ。母の淀殿は男達の熱き愛の言葉に顔を顔を赤らめてうっとりしたように男たちを見つめている。秀頼は男たちの言葉に完全にブチ切れてしまった。俺がこんな父が誰だか分からないほどヤリマンの息子だったとは。彼は男たちを一人ずつ捕まえては天守閣からぶん投げた。大坂城からは狂人のように男達を片っ端からぶん投げる秀頼の姿とともに男達の断末魔が鳴り響いた。

 大阪城のそとからその光景を眺めていた家康は、秀頼がとうとう自分の出生の秘密を知ったなと勘付いた。彼は自分も淀殿とハメまくっいたので、秀頼と一度面会した時の事を思い出しながら、あの時バレてたら自分も投げられていたなとゾッとして自分はなんと運がいいのだろうと天に感謝したのであった。


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