デモ

　何が僕らを変えてしまったのか。どうして僕らの立場は変わったのか。社会の状況の変化、悪化する日本の景気、それらのものが一気に押し寄せて僕らをこのように変えてしまった。今は僕は君のいるオフィスのビルの前でスピーカーを持ってデモしている。我々の要求は苛烈だ。この要求だけは絶対に押し通して見せる。もはや状況はそこまで来ているのだ。たった一人のデモ。僕は必死にスピーカーで叫ぶ。

「戸川ハナコさんを僕の前に出せ！僕は彼女と話がしたいんだぁ～！」

　するとしばらくしてその戸川ハナコさんがこちらに歩いてきた。彼女は熱い目で僕を見つめて言った。

「いい加減にしろこのストーカーが！何回逮捕されたら諦めるんだ！」