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妊娠…命の日記 第四日目

今病院にいます。生まれてくるベイビーと私の診察です。お前が心配だとパパが付き添ってくれています。

パパは待合室で二人で待ってる時もずっと黙ったまんま、例のしかめっ面で腕を組みながら偉そうに座っています。ママは、と私が聞くと、「アイツは今目の病気で外に出られないんだ。まあ大したことはないんだが……」と言いました。

パパの如何にも無愛想な言葉のなかに私は愛を感じました。ああ!毛だらけで全身真っ黒なダーリンを人間として認めていなかったパパがこうして私とベイビーの診察に付き添ってくれる!やっぱり人間には悪い人はいないんだわ!

やがて私は医者に呼ばれました。私が思わずパパをみると、パパは「さあ行け!早くしないと皆さんに迷惑がかかるからな!」と私を急かすのです。そんなパパ に、愛情を素直に伝えられない不器用な素顔をみて私はまた嬉しくなりました。

診察台に寝かされ股を開く。ああ!恥ずかしい……見ず知らずの男にダーリンにしかみせない秘密の泉を覗かれるなんて……。パパと同じぐらいの年の医者は油ぎった手で遠慮なしに扉をめくる、泉への扉を恥ぢらいもなくめくってしまう。

いつもと違う!なんで今日はジジイなの?いつもの担当の女の先生が何処行ったのよ! このジジイは、「はい、特に問題ありませんね。次はお腹の赤ちゃんをエコー検査しますか」と言いながら検査のの準備を始めたところで、 突然「一つ聞きたいことがあるんですが……」と話かけてきたのです。

「ごめんなさいね。いつも担当されてる先生は病気でずっと休んでいるんですよ。私は元々大学病院に勤めておりまして、退官後にこの病院の副医院長に招かれたのです。診察など滅多にしないんですが、あなたの父上から高いお金をもらったので今日は彼女の代わりにこうして診察しているわけです。まぁ、私はあなたに関して何も知らないもんだからね。取りあえず一緒に画面をみましょう」


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