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世界は俺の庭

 世界はポエジーに満ちている。外に出て空気を吸い込めばたちまちのうちにポエムが浮かんでくる。溢れ出す言葉は吐き出されるのを待っている。生まれる寸前の赤子。ポエムの陣痛に苦しむ僕。君は僕のポエムを読んでなんて思うだろう。ビートニクの精神はケンドリック・ラマーに受け継がれ、僕は彼らの精神を引き継いだ。白から黒へ。黒から黄色へ。そして全ては混じり合い、混沌とした世界の果てで僕は君に向かってポエムを叫ぶだろう。激しく突き動かす衝動。新たなるポエムの誕生を待ち侘びるポエジー。歌え、そして踊れ、古代の部族たちのように。血と体液ともに生まれる新たなるポエム。血の猛りのままに僕は新しいポエムをコンクリートの壁に書く。伝われよ俺のポエジー。君に叩きつける俺のポエム。ああ!世界は俺の庭。世界はポエジーに満ちている!

『〇〇さん、あなたが好きです!』

 この一言に集約された僕のポエム。君は自分のマンションの入り口に刻まれたこのポエムをどう読むんだろう。衝撃を受けたように立ち止まるかい?このポエムを書いた人間を探すかい?ポエジーに圧倒されてその場に崩れ落ちる君。だけどこれが僕のポエム。君だけに捧げる俺の言葉なんだ。だけどそんな僕のポエジーは突然の警察の来訪で覚まされる。

「あの、マンションに落書きしたのあなたですよね。今から器物損壊罪プラスストーカー行為罪で取り調べしたいんですが、今から同行してもらっていいですか?」


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