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嘲笑の的

 私と彼は年が20才以上離れている。でも私は彼を愛しているし、彼も私を愛してると思う。だけど友達に彼を紹介するのは勇気がいるし、彼も私の友達には会いたくないって言っている。だって友達はいつもこう言っているから。
「ねぇ、うちの同僚にオヤジがいるんだけど、そいつ私によく話しかけてくるの。絶対私に気があるのよ。ホントコンプライアンス違反で訴えようかっておもってるんだけどぉ!」
「うわぁ!キモい!キモい!」
「パパ活でもあるまいし、あんなのパパ活でもやだよ!」
「でもさぁ、自分の両親みたいな親父とさぁ、パパ活以外でホントに付き合っている人っているのかなぁ!だって毎晩するわけでしょ!ハゲてるかもしれないオヤジとさぁ!」
「ああ!やめてやめて!キモすぎる!」
 言ってみれば私達の関係は嘲笑の的だ。彼は私の両親とほぼ同世代だし、そして大した財産があるわけでもない。自分でもなんでこんな人を好きになっちゃったんだろうと思う。馴れ初め的な事はここではあえて書かないが、精神分析の本なんか読んだら何かがわかるのかもしれない。
 私達は友人や同僚のいない所で落ち合い、たまにホテルで愛し合う。友人たちがこの事を知ったら、あるいは私がこの事実を告白したらどういう顔をするのだろう。私と彼を嘲笑するだろうか。あるいは何を言っていいかわからない顔で私を見るか。友人たちは多分後者の方のするだろう。そして私は自分にも問うてみる。彼との関係を公にすべきか、いっそ彼との関係を清算すべきか。彼は俺とはいつでも別れていいよ。やっぱり君は若いんだし、俺となんか付き合うべきじゃないよ。とよく言う。そこでいつもちょっとした喧嘩になるけど、そんな時は自分でも訳がわらないぐらい興奮していかに自分が彼を愛しているかを訴える。

 ホントにどうしたらいいのだろう。彼とは決して短くない付き合いだ。そろそろ自分たちの行先を決めなければいけない時がくる。やっぱり私たちの関係を公にすべきなのだろうか。世間から嘲笑の的になり、敬遠されても。


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