秋(空き)時間さんの世界文学案内 第一回:失われた時を求めて マルセル・プルースト作
はい、始まりました。秋(空き)時間さんの世界文学案内です。ここでは世界文学好きなら誰でも知っている名作から、世界文学好きでも知る人は少ないであろう隠れた作品まで独自の視点で出来る限り簡潔に紹介していきます。
で、記念すべき第一回目はあの二十世紀文学の大名作、M・プルーストの『失われた時を求めて』です。
この小説は、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』と共に20世紀文学に新しい地平を切り開いた小説として知られていますが、今読んでもやっぱり素晴らしいですね。とても100年も前に書かれた作品とは思えません。読んでいると、まるで今現在のことが書かれている錯覚を覚えます。
さてその小説の内容ですが、主人公のマルセルという一人のおじいさんがいます。このお爺さんですが、気の毒なことにボケてしまって、記憶力がほとんどなくなってしまったのですね。それでこのお爺さんは失われた時を求めて街を延々と徘徊するわけです。家族は老人がいなくなったと大騒ぎし警察に捜索を依頼しますが、なかなか見つかりません。なんか今の徘徊老人問題そのまんまですね。さすが20世紀文学の大名作です。プルーストは今の徘徊老人が問題になっている現代を予見したのでしょうか。
この名作を読まれたいという方は岩波文庫と集英社文庫とちくま文庫がありますので是非ご一読を!
この連載は本来世界文学の名作を一言で紹介するエッセイですが、栄えある第一回目という気負いと、この小説の素晴らしさを語りたいという熱い思いのせいで若干長めの文章となってしまいました。次からはもう少し短く紹介します。