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コント集

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オチのない世界で僕らは一体何を語ればいいのだろう。
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2022年9月の記事一覧

あまりに不似合いなシュチュエーションでうどんを語る

 まるでアメリカの夜のような人工的夜景を眺めながら僕は一人うどんを啜っていた。全てが可視…

15

小物ルシファー

 公金横領の罪に問われたルシファーは天国から追放されて堕天使となった。彼は天国から追放さ…

8

キャラクターを救え!

 ヒーローはピンチの時にやってくる。その通りに彼はピンチの青年の前に現れた。 「おい、君…

8

自意識過剰男

 俺が席に座ると隣に座っている奴はいつも立ってどっかに行ってしまう。女は勿論男もだ。俺は…

6

ムード歌謡歌手二時間ドラマに出る!

 ムード歌謡の大御所天極千鳥が二時間ドラマに出演することになったというニュースはたちまち…

12

曽根崎心中裁判

 人は死んだ後、輪廻転生しまた新たに生まれ変わるというのはよく言われる話だ。だが輪廻転生…

12

大阪人はカレーに卵を乗せる

「大阪人はカレーに卵を乗せるんだぜ」 と僕は言った。 それを聞いた君は突然どうしたのと僕に聞いてくる。 僕は別に意味はないさと笑う。 「ふ〜ん」なんて君は少し不満げな顔をする。 大阪人はカレーに卵を乗せる。 僕はさっきと同じ事を台風一過の青空の下で繰り返す。 君はそんな僕に「君って面白いね」と微笑んだ。 突然午後の授業の開始を告げる鐘が鳴った。 それを聞いた僕らは太陽の下教室へと全速力で走る 微笑む君 息を切らす僕 大阪人はカレーに卵を乗せる 大阪人

エヴリシング・マスト・ゴー

 終わりってやつはいつも呆気ない。この間病院で死んだアイツだって寝ていたらいつの間にか死…

3

ぼくら

 ココは全てが取り上げられた世界。僕ら男には自由というものがなかった。スマホの情報は妻に…

7

第三の小説

第一の小説 現代の無頼派と呼ばれていた純文学作家鬼嶋健介が急死してから半年が経った。鬼嶋…

11

おっさんたまご

 同じパックに入れられたたまごたちは初めて会う他のたまごに「短い間ですけどよろしゅうお願…

9

高級つけ麺

「やれやれすっかり高級店になっちまったな。昔はくだらねえラップかけてたのに今じゃクラシッ…

15

ハードボイルドカフェ

 全く呆れたもんだ。俺がカフェに入った途端客どもは一斉に端っこに逃げやがった。女は勿論男…

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山水画

「なんだこれは!」と現代最高の山水絵師桃山原郷は私の山水画を酷評した。 「お主は山水画を南蛮の風景画と勘違いしておるのか?なんだ平ぺったい川は!なんだこの写真からコピーしたような山は!なんだこの川の真ん中の将棋のような岩は!なんだこの川辺の土は!よいか山水画は風景画ではなくて仙人の詩境を書くものぞ!目の前の風景をただ模写するのとは違うのじゃぞ!よしワシがお主に本物の山水画を教えてやる!早う筆を持ってそこになおれ!」  それから桃山は床に真っ白な掛け軸を敷いて私を座わらせて