婚約指輪 〜彼女に婚約指輪をあげたらいきなりうどんに落とされた話
これで全てが決まる。僕はジャケットのポケットから、ずっと弄っていた箱を掴んだ。もうこのタイミングしかない。この小箱の中には僕がこの間大金をはたいて買ったものが収められている。いや、大金っていったって今から手に入れるものに比べたら大したものじゃない。だって僕は今日彼女にプロポーズしようとしているんだから。たしかに別に今日でなくてもいいという思いは何度もかすめた。彼女とはいつでも逢えるし、明日でも明後日でもいいような気がする。だけどそうやってズルズルと決断を引き伸ばしにしていた