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海底散歩1

岬、みさきは、友達と海に遊びに来ている。

友達の名前は、リカ。

2人とも高校生だ。

みさきの家の近くの海には、飛び込み台がある。飛び込み台は、この海で、一番の名物アトラクションだ。夏になると、たくさんの子供たちが飛び込み台から飛び込んでいる。子供たちが遊んでいるからといって侮ってはいけない。

大人でもつい、足がすくんでしまうほど、こわいのだ。水面から160cmほどの高さにある台。そこから、真っ直ぐ下の海に飛び込む。


いや、飛び込むというよりも「落下する」といった方が正しいだろう。




みさきはリカに言う。

「ねぇ、リカ〜、ほんとに飛び込むの?」

「当たり前じゃん!」と、楽しそうなリカ


みさきは海が好きだ。

でも、飛び込み台は、、


苦手、

というか、飛び込めたことがない。

いつも、怖くなってやめてしまうのだった。

みさきは、なんでみんな飛び込み台が好きなんだろう、と思った。


「わざわざ怖い思いして、何が楽しいの。」

「なんか言った?」とリカが振り返る。

「なんでもなーい」とみさきは答えた。




水着に着替える。

リカとお揃いで買った水着だ。胸には大きく、ROXYの文字。かわいくて、着替えただけでウキウキしてくる。

「ねぇ、写真とろーよ」と、リカ。

「いいね!」

はい、チーズ!

カシャ


写真のあとは、早速海に入る

つめたーい!!!


みさきは叫んだ。

キャー!

と、はしゃぐみさきとリカ。

2人は飛び込み台まで泳いでいく。

飛び込み台は、沖の方にある。みさきとリカと同じくらい、高校生くらいの男の子たちが遊んでいる。

ばしゃーん。


ひとりの男の子が飛び込んだ。

少したって、男の子が水面から顔を出した。

「おい!おすなよ!」と叫んでいる。

どうやら、男の子の友達が押したらしい。

ほかの男の子たちがわははははっと笑った。

高い!

こわーい!

とリカ。

「リカ、ほんとに飛び込むの?」

「当たり前じゃん!」

「えぇ」とみさき。

「いくよ!!」そういうと、リカは飛び込んだ。

バシャン

水が飛ぶ

飛び込み台からは、1人ずつしか飛び込めない。

待っている男の子たちが、

おお〜

というようにリカを見た。

水面から顔を出したリカは、

気持ち良い!!

というと、笑った。

飛び込み台のハシゴを登ってきながら、上でみていたみさきに言った。

「みさき、今年こそは飛び込まなきゃだめだよ!」

そうだった。

みさきたちは、去年も海にきたのだった。


〜去年〜

「キャー!!」

リカは、去年は飛び込み台から元気よく飛び込んだ。

みさきは、飛び込むか迷っていた。

その時間、約、30分。

「ねえ、リカ〜」

「こわい〜〜〜」

と言いながら。



結局、去年は飛び込めずに、そのまま帰ったのだった

〜〜

今年は

「えー、リカ、どうしよう!!」

飛び込んでみたい気もある。

楽しそうだけど、やっぱりこわい。

「行っちゃいなよー!」

とリカは、飛び込み台から足をブラブラさせながらいう。

半分飽きてきているのか、目線は遠くの方を見ている。


迷っていると、男の子たちがきた。

「よっしゃー!次、オレ行くぜ!」

そういうと、男の子が飛び込んだ。

ふざけて変なポーズをしている。

それを見て、男の子たちや、リカは笑っている。

「あはははは!」

「ほら、みさきもはやく行かないと、抜かされちゃうよ?!」

「う、うん!」

といいつつ、男の子たちが飛び込んでいくのをただ見ていた。

私も飛び込みたい!!

今年こそは!

リカみたいに!!

みさきは決心をして、

飛び込み台の一番前にいく。

、、

、、、

、、、、

決心とは反対に、足がすくんで動かない。

と、後ろにいる男の子たちが

「まだ〜?」「後ろから押しちゃえよ!」「それはヤバイって」といいながら、笑った。

リカが男の子たちを睨みつける。

悔しくなったみさきは、

えいっ!!

と、思いっきりジャンプした。


ひゅん


体が宙に浮いた。


こわいっ


ドボーーンッ!!!!


体に衝撃が走る

すぐに、音が消えて、コポコポという、水の音だけがきこえた

みさきの体は、冷たい水の中にすっぽり包みこまれていた









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