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(対談レポ)「法人化ってぶっちゃけどう?」夏野かおる×片岡由衣さん

去る11月10日(金)、X(旧Twitter)にてスペース(音声ライブ)を開催いたしました。この記事はそのアーカイブです。

執筆はライターの浜本さん(https://note.com/onigiritsumeyo)にご依頼いたしました。ありがとうございます!

先日公開したnote『【フリーランス】5年間の売上を公開します(去年は3200万円です)』は1週間で100スキを超え、大勢の方に法人化のリアルをお伝えするきっかけになりました。

収支を1円単位で公開していることもあって、「ここまで詳しく書く人はあまり見ないです」「法人化についてもっと知りたくなった」などのご反応をいただいています。

そこで今回は皆さんのご質問にお答えするべく、3人のお子さんを子育て中のライター片岡由衣さんをお招きして雑談スペースを開催しました。法人化を決めるまでの話や、その後のワークライフバランスなど、「法人化ってぶっちゃけどう?」について赤裸々にお答えします!

スピーカー

夏野かおる

片岡由衣さん

法人化する「まで」の話

扶養内から扶養外へ、ライフスタイルも変化

夏野かおる(以下、夏野):先日はnoteにたくさんのご反応をいただきまして、本当にありがとうございます。

さて、皆さんのリアクションを見ていると、「法人化の前に、まずは扶養から抜けるかどうかが一番迷う」といった声もありました。

片岡さんは扶養内でフリーランスとして活動されているそうですが、現在の働き方についてはどのように感じていますか?

片岡由衣さん(以下、片岡):オンラインでの仕事が多く、働く時間や場所が比較的、自由になるのが良いですね。

それから、在宅フリーランスだと家賃や光熱費の一部、パソコン代などが経費になるのも良いところです。パートに比べて経費にできる範囲が広くなるので、パート収入より見かけの売り上げが多くても、扶養内でいられるのもメリットだと思います。

ただ、扶養外が見えてくるとお金の面で不安になる気持ちもわかりますね。今年はまだ売り上げと経費を計算していませんが、どのくらいの売り上げだと扶養を抜けた方が良いのか悩みます。

夏野:最近では103万の壁というのが社会問題になっていますが、たとえば年収120万円くらいだと微妙なラインだと聞きます。明確なメリットを見出すには、扶養内だった頃に比べて3、4倍ほど稼がないといけないとかで、それは辛いですよね。

片岡:そう考えると、扶養をギリギリ抜けるくらいが一番損なのかな。扶養内・扶養外の選択は、ライフスタイルが大きく変化するきっかけになりそうですね。

苦労話もできる同業者との出会い

片岡:そういえば、夏野さんの社名の『株式会社バレー』の由来をお聞きしてもいいですか?

夏野:社名は、会社の所在地である渋谷がビットバレーと呼ばれていることに由来しています。IT企業やベンチャー企業が集まる地域なので、アメリカのシリコンバレーにかけて、「ビット(bitter:渋い/bit:情報量の単位「ビット」)」「バレー(valley:谷)」ってことなんですね。

片岡:そういうことだったんですね!会社HPも拝見しましたが、きっちりした雰囲気が伝わってくるサイトですよね。デザインは個人で作成されたんですか?

夏野:以前はお付き合いのあったフリーランスの方にサイト制作をご依頼していたのですが、当時はまだ私がイメージを固めていなかったこともあって、そろそろ方向性を変えたいなと思ったんです。

そこで会社の2周年を機に、今回はふたり広報さんに依頼しました。

ふたり広報さんのWebサイトは優しげでほっこりしたイメージですが、私は「女性らしさとか共感性は一切NG、強そうなイメージで」のように依頼したんです。要望どおり、すっきりアーバンな雰囲気に仕上げてくださいました。

Webサイトだけでなく名刺のデザイン、noteのリブランディングも一括でお願いしているのですが、全部任せられるのが嬉しいですね。

片岡:ふたり広報さんとは元々お知り合いだったんですか?それとも自分で探して見つけられたとか?

夏野:私は定期的に同業者さんとお話する機会を設けていて、その際に代表のあいさんからご連絡をいただいたんです。私の方が1年ほど早く法人化していたのもあって、渋谷西村フルーツパーラーっていう美味しいカフェで苦労話をしました(笑)。

あいさんは本当に機動力が高く、やり取りの中で「めちゃめちゃ出来る人やな!」と感じました。もう、ありとあらゆることを司ってほしいくらいです。

フリーランスは選択の連続、決断の決め手は

夏野:次の話題ですが、法人化記事を読んだ方から「法人化の決断はお一人でされたのでしょうか?」というご質問をいただきました。その方は、法人化について話せる友人や専門家がいないんだそうです。

ちなみに私の場合、人の話は聞かないようにしています。「悩んでる暇があったら100個やれ!」みたいなタイプです。もちろん他者の意見は情報として取り入れますが、最終的に決断するのは自分。人の意見に左右されると、その人のせいにしてしまうからです。

だんだん法人化が見え始めた頃も、お客様からは「法人化した方が依頼を増やせる」といったお話もいただきつつ、1年ほど様子を見てタイミングを決めました。

片岡:私は優柔不断で迷ってしまうタイプです。法人化も興味がありますが、いざとなったら迷ってしまいそうです。

現在のフリーランスのお仕事は、流れに乗って進めてきたイメージです。夫の転勤をきっかけに離島暮らしになり、子どもの手も離れてきたので働こうと考え始めました。島には働く場所が少なく、コロナ禍が重なったことで、「在宅ワーク」の選択肢が現実的になったんです。

たまたま仕事が軌道に乗って、3年ほどフリーランスを続けていますが、せっかく離島にいたので、もっとのんびり過ごしてもよかったかなとも思います。フリーランスは全てを一人で決断する必要があるので、最近は「週3会社員や、業務委託などでどこかに所属して働くのもアリかも」とも思っています。

夏野:フリーランスをやってみて、心境の変化を感じているのですね。

「働ける場所がないな〜」って言いながら海を眺めて過ごす選択肢もあったわけで、アクションを起こされたのは素晴らしいことだと思いますよ。

税理士に依頼するかどうか

夏野:読者さんからは「税理士に依頼するかどうか迷っている」とのメッセージもいただきました。税理士さんに頼むと、なんか怒られそうで相談しづらいって声もあるんですね。

私は家計簿アプリを初めて入れたときに同じ気持ちになりました(笑)。体重計なんかもそうですが、自分の浪費癖とか、怠けた結果が可視化されてしまうので抵抗感がありますよね。

実際に怒られたことはないですが、数字を人に見られる!となると、緊張する気持ちはわかります。

片岡:子育て中のママで個人事業主の知人が、自治体の確定申告の無料相談を利用した際に、とても親身になってもらったと言っていました。

「このペースで売り上げが延びたら法人化した方が良い」と具体的なアドバイスももらったそうです。税理士に相談することで背中を押してもらえることもありますよね。

夏野さんは記事で、「税理士事務所に飛び込んだ」と書かれていましたが、相談先はどのように選びましたか?

夏野:依頼先選びは、フィーリングが合うかどうかが重要なポイントです。私の場合は、ネットを使いこなしている方でリモート対応できる方を選びました。

特にWebサイトがしっかりしていることが大前提で、私の事業内容を理解できる人じゃないとスムーズにやり取りができないと思ったんです。依頼先の方はサイトに料金表を全て記載されていたので、私と気が合いそうな雰囲気でした。

その方には全てのデータをスプレッドシートで送っていますが、効率化にも対応いただき頼もしいです。

片岡:なるほど。自分の求める要素に応じて選んだんですね。参考になります。私は親しい親戚が税理士なので、相談してみようかなと思いつつ、自分のクレカの使い方やレシート管理などを見せるのが恥ずかしい気持ちが先立っています。

普段は実店舗の経営者を中心にサポートしているそうなので、夏野さんのお話を聞いて、フリーランスに慣れている方を探すのが良いのかもと感じました。

夏野:私だったら身内は頼らないかな。忙しい時期は後回しにされてしまいそう。

年齢でいうと、私はできれば年齢が若い方を希望していました。依頼先を探していた当時は20代でしたが、「若いのに頑張ってるね」「今は女の子でもなんでもできるから良いよね」と言われたことがあったからです。シニアの方からナメられることが多かった当時の苦い思い出です。

法人化ラインに乗るくらい稼ぐために

片岡:法人化ラインを目指すにあたって、業界選びが難しいといった声も聞かれますよね。私はまだ法人化していませんが売り上げは思いのほか伸びていて、子育て中でワンオペの身としては働き方に満足しています。

夏野:超人ですよ。右肩上がりで成果を伸ばし続けるのは相当難しいことだと思っています。仕事も筋トレも、同じことだけやっていたら良くて横ばいか、ちょっと下がってくるのが普通ですから。思いのほか順調というのは素晴らしい努力の結果ですよ。

片岡:振り返ってみると、コミュニティの力は大きいです。今まで色々なコミュニティや講座に参加していて、親しくなった人から依頼を受けたり紹介してもらったりといった形もありました。出たり入ったりですが、現在は2つのコミュニティに所属しています。

それから、今年は時給契約の編集業も行っていました。プロジェクト自体は最近終了しましたが、変動的な仕事と安定した仕事との掛け合わせは収入の安定に繋がりました。

夏野:編集業は名前の出ない裏方の仕事だったそうですが、そこを割り切って前向きに取り組まれたことが売り上げにかなり貢献したのではないでしょうか。記名記事にこだわるとどうしても幅が狭まってしまうので。

業界選びに関して言うと、「希望通りの進路で働けていますか」といった質問もいただいてるのですが、私の場合は希望通りの進路で働けています。もともと新しいものが好きで、意思決定が早い業界を希望していたので、テック領域で働けているのは希望通りですね。

業界によっては話を通すまでに3ヶ月とか、1年以上かかることもザラにあるそうですが、今いる業界はプロジェクトのスピード感が速いです。さっきも、「ちょっと○○のサービスで開業してきてよ」みたいな雑談をSlackでしてました(笑)。

世の中、必ずしも得意なものがお金になるわけじゃないので、その場合は強みを掛け算して横展開することをおすすめします。「観光×IT」とか「文房具×IT」とか。

例えばコクヨさんのIoT文具『しゅくだいやる気ペン』はめちゃめちゃ面白いんですよ。鉛筆にキャップをつけて、アプリを通してやる気を可視化する仕組みです。

出典:しゅくだいやる気ペン|コクヨ公式

自分の得意だけではなくイケてる業界の要素も取り入れながら、柔軟に進路を選ぶのが良いのではないでしょうか。

片岡:確かに、私も教育×国内移住の記事をいくつか書いたところ、それを見た他の編集者さんから問い合わせが来たことがあります。これも掛け合わせですね。

法人化して「から」の話

法人化してワークライフバランスが変化

夏野:ワークライフバランスについてのご質問もいただきましたが、結論から言うと、法人化1年目は過労死しかけました(笑)。会社となると「チーム組んでいいから30本受けてね」のような仕事がくるので、スケジュールが合わなければ自分が巻き取るしかありません。

また、信用度が上がれば個人としての依頼も増えるので、1日の休憩がたったの1時間なんて日もザラでした。

これではさすがにマズいので、今年は仕事を切り出す取り組みを意識しました。現在は、ギュっとすると週1〜2でしか働いてません。

片岡:夏野さんは研究もされているんですよね。具体的に週1〜2日でどんなお仕事をされているのかが気になります。

夏野:週に1日はPMとして常駐しています。朝から晩まで会議をしたり、記事を見たり、企画をまとめたり。もう1日は常駐ではなくて、1日に2時間×4日分くらいの頻度であらゆる仕事をこなしていくイメージです。

(夏野メモ)
ときには美容院で髪の毛を染めながらSlack対応をしていることもあります。そのくらい柔軟に働けるのは、フリーランスや一人法人のいいところですね。

仲間さがしで重要視していること

夏野:フリーランスさんの募集にあたっては、すべてを備えた人間はいないという割り切りが大事だと思っています。思わず自分のコピーを作りたくなってしまうんですが、欲張って条件を出さないことが大事だと思っています。

それから、たとえ稼働時間が短くてもコンスタントに稼働できる人を切望しています。業務は定常的にあるわけで、1週間にたった1時間でも良いので、定期的に稼働してくれる人が良いですね。

片岡:現在外注している方は何名くらいいらっしゃるのですか?

夏野:会社からお願いしている方は3名です。お一人は1週間に1~2時間ほどだけお願いしている方で、創業当時からお世話になっています。あとの2名はSEO専門のスタッフです。

さらにお客様の会社では15名ほどのフリーランスのマネジメントをおこなっています。合計20名弱の方とお仕事をしていることになりますね。

皆さんからの信頼を得るために、3ヶ月〜半年に1回は希望者に面談を実施して、プライベートなお悩みや最近興味を持っていることについて聞くようにしています。ざっくばらんな近況報告が仕事に繋がることもあり、面談をきっかけに動画や資料作りをお願いしている方もいます。

その他の取り組みとしては、クライアントさんとの橋渡しでミートアップ開催を行ったり、年末にはAmazonギフト券を送ったり、色々な形でコミュニケーションを図っています。

多様な働き方で叶える、それぞれの目標

夏野:世間では「バリバリ働くぞ!」という方が法人化するイメージなようです。読者さんからは「ズバリ、お仕事は好きですか?」といった質問もいただきました。

個人的には、仕事が好きというよりは、効率化が好きです。自分の仕事をなるべく減らす方向性でお客様の利益を作ろうとしています。

付け加えると、調子が悪い時のパフォーマンスこそ稼ぎを左右するので、やる気がなくてもできる作業を仕事にしたほうがいいと思っています。

片岡:私の場合、仕事が好きかどうかはわかりません。でも、ついやっちゃうので(笑)、好きなのかもしれません。会社員時代は「しんどい〜辞めたい〜」とも思っていたし、今も「抱えてる案件が全て手離れしたら一度休もうかな……」と思うことも、たまにあります。

ネットでは専業主婦の再就職は難しいとの意見も見かけていたので、始めた頃はオンラインでの取材や打ち合わせなど、「これでいいのかな?」と不安で、緊張していました。

ただ、専業主婦で収入がなく「自分で収入を得ることなんてできない」「社会とつながれないかも」と焦っていた時期を経験しているので、お金をいただけること、仕事があることがありがたいし、嬉しいですね。

ちなみに、夏野さんは今後の目標はあったりしますか?

夏野:私は「老後2000万円問題」を解決するために2000万円貯めるのが1つ目の目標だったんです。もうすぐこの目標が叶いますので、これを達成したらその先を考えようと思っています。

片岡:素晴らしいですね!私は大きな目標はありませんが、子どもの学費を稼げるように頑張りたいなと思っています。

夏野:自分が働いたお金でお子さんの進路の幅が広がるのは誇らしいことですよね。応援しております。

今回はnote記事公開をきっかけに「法人化ってぶっちゃけどう?」にまつわるご質問を中心にお答えしました。片岡さん、本日はありがとうございました!

(夏野メモ)
貴重なお話を聞かせてくださったゆいさん、素敵な記事を執筆してくださった浜本さん、そして、お忙しい中リアルタイムで聞いてくださった皆様、ありがとうございました!


フリーランスさんを随時募集しています

というわけで弊社では、優秀なフリーランスさんとのご縁を常に待ち望んでおります。とくに最近は年末に向けて忙しくなってまいりましたので、力を貸してくださる方はいつでも募集中です。

取引先でも、年末に向けてライターさんを募集しています。取材ライターさんはもちろん、SEOライターさんも大募集中なのだとか。ご興味のある方はぜひ、リンク先からご応募ください。(なんかOGP出てないけど、怪しいサイトではないです!)

ならびに、いろいろな方とのご縁を得るためには、いろいろな場所で顔を出しておくことが大切だなと実感しています。つきましては各種イベントへの登壇や寄稿など、どのようなことでもお気軽にご連絡ください。

登壇料などはもちろんいただきませんし、気難しくない人間なので、やりとりで煩わせることもないかと思います。

とくにフリーランス系のイベントに呼んでいただければ、多分いくらかはニュースバリューのあるお話ができるかと思いますので、ぜひ前向きにご検討ください。

ご連絡先:natsuno.kaoru@natsuno.biz

とっても嬉しいです。サン宝石で豪遊します。