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藍色の空と君と

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小説と詩の混合作。 ブルーアワーを撮る君に惹かれた僕は目を擦り空を仰いだ。綺麗な空が1日に何度も色を変える。 素敵な事実を教えてくれた君に僕は何かを届けたいと思い…
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2020年7月の記事一覧

プロローグを経て

どこかで誰かが号泣必死の映画を観て泣く

「今日から人に優しくしよう」とSNSで決意した誰かは数日後、クラスメイトに平気な顔して罵詈雑言を浴びせる

物語は届かないの?
言葉は届かないの?
思いは届かないの?

私はそっと目を閉じた
私は部屋に閉じ籠った
私は前髪をより伸ばした

現実から逃げたくて
私は藍色の空を撮り始めた

明日なんて来るな
金輪際、夜は空けるな

祈りが通じるはずもなくて

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ブルーアワーを撮り続けて

君が撮ったブルーアワーが
コンテストで大賞を受賞して
第三者に評価された それは喜ばしい

でも実際のところは

君の辛さや願いが込められた
その写真が誰かに届いたこと

君が早く起きて撮り納め
努力が報われたこと

その背景に僕は心打たれるんだ

君が切り取る世界は
白昼に空を仰ぐことを躊躇う人に
きっと届くだろうね

明るくない空でも
日が出づる前の空でも
夜明けを望む空は綺麗だって

想いは

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マジックアワーをお返しに送る

いつか君に聞いたカメラの機種

そのカメラを購入して空の色が移ろいゆく中

日の入り後に映える、柔らかな金色の空を収めたよ

君が日の出前の空を送るから
僕は日の入り後の空を送るとしよう

君と共有できる趣味
君と僕を繋ぐ空

季節も空も留まることを知らない
1日でさえ幾度も空は色を変える

確かなものなんてあるのだろうか

思考も習慣も想いも不確かで
不変は約束できない

だから僕は写真を撮る

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