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謝っても足りないのなら、謝ることをやめればいい。
ここ一年ほどの、主に彼に対しての嫉妬やヒステリックは本当に酷いものだった。
彼がテレビの芸能人を褒めただけで泣き出したり、ちょっと連絡がないだけで別れてしまいたくなったり、「大嫌い!」と怒鳴って電話を切ったこともある。
もともとそんな性格ではなかったから、わたしはわたしのことが本当にわからなくなり、このままならいつか彼に愛想を尽かされてしまう、こんなに迷惑をかけるなら別れたほうがいいのではないか。ずっとそんな風に思っていた。
そしてそれが、PMSに原因がありそうだと気づいたのは、一週間ほど前の話。
▼詳しくはこちら。
彼に、謝らなければいけない。
あんな自分勝手で理不尽な感情をひたすらにぶつけ続けたのだ、一年も。愛想を尽かされたって文句は言えないのに、それでもわたしと手を繋いでいてくれた。どんなに謝ったって、足りるわけがない。
けれど、わたしの謝罪に対する彼の言葉はとても意外なものだった。
「まあ、最近生理が辛いって言ってたもんね」
「女の人って色々あるよね」
・・・それだけ?
彼は本当に、それしか言わなかった。
他には、歯列矯正が嫌すぎて声を出して泣いて死のうと思った、という話や、ヒステリックが母の遺伝だと思ってDNAレベルで自分を呪っていた、という話に笑ってくれただけ。
もっと、
「泣いて怒鳴られる俺の気持ちにもなってよ」とか「忙しいときにあれは辛かったよ」とか「このままなら別れようかと思ってた」とか、とにかくそういう、わたしへの恨み言を受け止める気でいたのに。
どうして、怒っていないのだろうか?わたしが聞くと、
「別に、怒る理由もないでしょ」
そう、当たり前のように話す。
あまりに当然のように話すので、わたしはそれ以上の言葉を止めてしまった。
彼が優しい、というのももちろんそうなのだけれど、彼は本当に、わたしのヒステリックなど大した問題ではないと思っているようだった。
たとえわたしが謝らなくても、PMSが原因だと打ち明けなくても、何事もないようにわたしと一緒にいてくれる気さえした。
もちろんそんなことが許されるわけではないので、わたしはヒステリックにならないよう、自分の情緒ともPMSとも上手く折り合いをつけなければならない、それは怠ってはいけない。
けれど、「怒る理由もない」という言葉に、救われたわたしがいるのもまた事実で。こんな人だから好きになったんだって、大事なことなのにわたしはすぐに忘れてしまう。
彼がそう言ってくれるのであれば、わたしも言葉を変えなければ。
そう思ったら、自然と言葉が出た。どんなに謝っても足りないのなら、謝ることをやめればいい。たった一言、伝えればいいのだ。
「ありがとう」
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ