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なつみ みどり
2019年10月23日 23:59
彼が地元の北海道に、旅行を兼ねて帰省していた。旧友と会ったり、家族とご飯を食べたり、少し遠出して一人ドライブをしたり。彼は始終とても楽しそうにしていて、わたしもそんな様子をみているのが嬉しくて。けれど何より心に響いたのは、彼からのたくさんの言葉だった。「みどりが好きな景色だよ」「助手席にみどりがいないと変な感じ」「これ、みどりが絶対好きな味」「一緒にきたら楽しいよ」ねえねえ、もし
2019年10月31日 23:59
わたしの彼は27歳で、今年の春から社会人になった。それからと言うもの、彼の生活の中心は、わたしから仕事へと変わった。当たり前のことだけれど。毎日終電まで仕事をし、仕事が早く終われば終電まで飲み会に行く。絵に描いたような、ブラックよりのサラリーマン。慣れない環境の変化に戸惑いながらも、彼は楽しそうに働いていた。わたしはずっと寂しくて、とても心配だった。以前は一日中していたLINEは、かえ
2019年10月17日 23:58
「俺と付き合ったほうが、幸せになれるよ」終電間際。東京駅から少し離れてしまえば、そこは人影もないオフィス街になってしまう。数年前のわたしは、なぜそんな場所でそんな言葉で、男性に迫られていたのだろう。あのときの状況から察するに、彼はわたしの気を引くために本当に必死で。その言葉だって、重たい心臓から絞り出した悲痛なまでの思いだったはず。けれどそれはわたしに届かないばかりか、わたしの心を酷く遠
2019年10月15日 23:26
たとえば、朝。いつものバス停で、いつものように本を読んで待っているあなたの姿を探したり。あなたが書いた手書きのメモが読めなくて文句を言うことも、もうないのだと思ったり。お昼にはいつもアイスを食べていたね。仕事中にハーゲンダッツを食べて一緒に怒られたこともあったね。たまに外回りに行くと、海の見える場所に連れていってくれた。あなたも海が好きなこと、嬉しかった。わたしが上司からのいじめで