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ゆるゆら音楽映画放談

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レビューやつらつらっと書いた感想置き場的マガジン。音楽関係はだいたいここ。
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2024年3月の記事一覧

四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

 「四月になれば彼女は」を、レイトショーで鑑賞した。サイモン&ガーファンクルの曲「April Come She Will」や同名別作品の舞台は馴染みがあるが、この映画の原作は未読。

 普段恋愛モノはあまり好んで観ない。恋愛は当人同士が好きにすればよく、わたしがそれを眺めるのも覗き込むようで腰がひける。明らかに恋愛を描いただろう予告編に、実は少しだけ怯んでいた。
 だが、喪失と惰性によるすれ違いか

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JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024

JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024

 Kアリーナ横浜、Janet Jackson & TLCのライブ「JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024」に行ってきた。TLCはジャパンツアー限定のオープニングアクト(Special Guest)だ。

 TLCが前座とは、幾らメインアクトがジャネットでも豪勢な話だ。
 しかもそのTLC、はじまってみれば45分ものステージでボリュームも内容もたっぷり充実。も

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満ちてゆく overflowing

恋愛をテーマにしたら、もっと大きな愛に辿り着く。極めて藤井風さんらしく死生観を内包した、極めて美しい楽曲。賛美歌のようであり、人間への賛歌でもあるように感じた。

映画の主題歌として作られたMVは短編映画のよう。なんて美しい循環なんだろう。
映画のために試写を観て書き下ろされた曲のために短編映画のようなMVが生まれ、その曲がまた映画館で流れる。
映画を観て曲を知った人が、そこからこの短編に出会うか
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all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

 「夜明けのすべて」を再び鑑賞してきた。胸がいっぱいになる。ずっと好きな作品として名前を挙げることになるだろう。開始すぐから涙が止まらなかった。

 封切りは2月9日だったので、もう1ヶ月も経つ。上映館が減ってくる頃合いだから、そろそろ多少ネタバレを含んだものを書いてもいいのかなと思っていた。
 ところが渋谷シネクイントでこの週末から上映されるらしい。リピートしたい人がきっと渋谷に集まるだろう。そ

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Incognito INTO YOU

Incognito INTO YOU

 日曜の夜。高崎芸術劇場スタジオシアターにて、Incognito JAPAN TOUR 2024 "INTO YOU"を。BLUE NOTE×高崎芸術劇場のコラボレーションシリーズ。
 間に合うギリギリの時間まですっかり日付を勘違いしていて、これまでライブに足を運んでいた時との自分の感覚のズレにちょっと悲しくなるも、何とか10分と少し前に到着。

 2022年末に同じこの劇場で、BLUE NOTE

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夜明けのすべて

夜明けのすべて

 映画「夜明けのすべて」をようやく鑑賞。

 原作とは異なる設定により、後半はオリジナルのストーリーが紡がれていく。それでもなお、素晴らしい。

 誇張も強調もなく、描かれていく日々。
 それぞれの生きにくさと癒えぬ悲しみが織り込まれた日常の中で、完全に知ることはかなわなくても心に手を添え慮る人々。
 歩んできた道は様々。
 その混ざり合うところで交わされる、繰り返す痛みを胸に秘めるからこその、確

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