夏目

長い文章を書きます

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最近の記事

光る風

「私の将来の夢は歌手になることです」 小学校の卒業式だったか、私はそんなことを言っていた。小学生らしいありきたりな夢。当たり前に叶うはずもなくそこまで本気で思っていたわけでもなく、普通に進学して普通に就職した。 小5のときにYUIと出会った。社会や大人たちにナイフを向けるように歌う姿がとにかく格好良かった。初めて買ったCDもYUIだった。 ギターをやりたい、と両親に言ったとき、「いつかそう言うと思ったよ」と父が古いエレキギターを貸してくれた。チューニングと基本的な弦の押

    • 坂を上る、星と出会う

      坂はいつも緩やかなわけではない。 それでもその先の景色の美しさを知っているから、見たいと思うから、今ここにいるのだと実感した日々だった。 追い風が背中を押してくれるような坂も、前が滲んで見えなくなるほどの険しい坂も、紛れもなく、私の坂。 2023.9.30/佐野 この週をまたいで千葉で長期出張があり、北海道から栃木は行くのが大変でも千葉スタートなら余裕では?と思って行くことにした。 公演の2日ほど前、その日の行程が終わってスマホを見た時だったか、佐野公演の中止が発表さ

      • 日の落ちる瞬間が一番眩しい

        北海道の夏フェス「JOIN ALIVE」などを手掛けるイベントプロモーター・Mount Aliveのスタッフコラム(※)で「落日飛車(Sunset Rollercoaster)」というバンドが紹介されていた。 まだ知らない音楽を新たに聴き始めるきっかけとなるのは、フェスやイベントで直接ライブを観て興味を持つか自分の好みをよく知っている友人から薦められるか、ほとんどがその2択だった。 だから、このコラムを読んだだけでAppleMusicを開いている自分が意外だった。 トッ

        • 旅の続きを

          優游涵泳(ゆうゆうかんえい): ゆったりとした心のままに、じっくりと学問や芸術を深く味わうこと。 フレデリックの楽曲を聴いて、ライブを観て抱いた感情を言葉で説明するのに、この4文字が一番しっくりくる。 アルバムタイトルが発表された時もそう感じたし、CDを手に取って全曲聴いた今、さらに強く感じている。 心の奥深くで自由に音楽に没頭できる、23分34秒の旅へ。 M1.MYSTERY JOURNEY 配信リリース当時の、Zepp編の旅に出るワクワク感から、今はツアーの楽しか

        マガジン

        • ゴスペラーズ
          5本
        • フレデリック
          8本
        • グワィニャオン
          1本

        記事

          フレデリックとの音楽の旅

          「フレデリックの音楽の楽しみ方はいろいろあります。踊ったり手を上げたりして一体感を楽しむ、それぞれの楽器の音や歌のニュアンスをじっくり聴く、歌詞を聴いて自分なりに解釈してあなたの人生に落とし込む……自由に、あなたなりの楽しみ方を見つけてください」 ミュージックジャーニーで健司さんが投げかけてくれた言葉。 フレデリックの好きなところは、聴き手が楽曲を自由に解釈できる余白があること。 新曲がリリースされた時、SNSで他の人の感想を見ているとまるで同じ曲とは思えないくらいバラバ

          フレデリックとの音楽の旅

          時計と羅針盤

          「あ〜〜〜〜〜幸せ」 このツアーで何回この言葉を口にしただろう。 ゴスペラーズ坂ツアー2022「まだまだいくよ」 ゴスペラーズの久しぶりの長旅、完走おめでとうございます。 なんとかここまで走り抜けられてよかった。本当にお疲れさまでした。 Twitterの140文字じゃ足りなさすぎるので、この場所で私のまだまだいくよを振り返ります。 ライブのこと 2022.5.1 函館市民会館 2022.5.3 札幌文化芸術劇場hitaru 2022.6.11 名古屋センチュリーホー

          時計と羅針盤

          愛はうだるように

          フレデリック「FREDERITHM ARENA 2022 ~ミュージックジャンキー~」 2022.6.29 @東京 国立代々木競技場第一体育館 開催が発表されてから半年間、この日をずっと待っていました。 まだまだ余韻は覚めないけれど、感想を綴っていきます。 最初に余談:ライブ前の話 暑い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!北海道民こんなの経験したことない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! あの炎天下でグッズ並んだらきっと倒れてたから整理券があって本当によかった

          愛はうだるように

          客観と、「なら私は?」

          flumpool Special対バンツアー2022「Layered Music」2022.6.18 @大阪・オリックス劇場 w/フレデリック flumpoolとフレデリックの対バン1日目、フレデリックのファン目線でフレデリック中心の感想をまとめました。 オンリーワンダーホールでフレデリックのライブを観るのが初めてで、全体通して音の良さに感動した。 武さんがたくさんクラップ煽ってくれて楽しかった! 「扉を開くのは 君じゃないのか」の後の大サビの入りが今まで聴いた中で一番気

          客観と、「なら私は?」

          帰りに行く旅

          この3年ほど、年に1回以上は関西に行く機会がある。仕事もプライベートも関西には何かと縁がある。 社会人になってある程度収入を得て、行動範囲が数千km広がった。近場にはないもの、近場ではできない体験に対して諦めることをしなくなって、軽率に飛行機に乗るようになった。 新千歳空港から関西まで約2時間半。前後の移動も含めたら、自宅から目的地まで最低でも5時間はかかる。 それでも行く。行く理由がある。 元々苦ではなかった5時間超の移動も、現地で道に迷うのも、ひたすら遊んだ翌日の早起

          帰りに行く旅

          きっと私は私が思う以上に、ゴスペラーズが好きなんだ

          ゴスペラーズを好きになったのは2013年、「ハモ騒動」がきっかけ。 高2だった私も社会人3年目になった。 大学に入ってからライブにも行くようになったけど、ファンクラブに入るのは社会人になってから、と決めていたのでGOSMANIA歴は3年目。 1月29日、Zepp Sapporoにて。 8年目にして1年越し、初めてのファンの集い。 約1時間半、通常のツアーよりも少し短い時間だけど、短さや物足りなさを一切感じない、お腹いっぱいのライブだった。 まずセトリが濃い。「この曲

          きっと私は私が思う以上に、ゴスペラーズが好きなんだ

          FREDERITHM TOUR 2021-2022 ~朝日も嫉妬する程に~ 感想まとめ

          FREDERITHM TOUR 2021 ~思い出にされるくらいなら二度とあなたに歌わないよ~ FREDERITHM TOUR 2021-2022 ~朝日も嫉妬する程に~ ツアー完走おめでとうございます!! 参戦した 2021.12.11 Zepp Sapporo 2021.12.18 Zepp Osaka Bayside の感想をセトリ順に書いていきます。長いので注意! 1日目前半(札幌)名悪役 1曲目は名悪役だったらいいな、と思ってたら名悪役!ありがとう! 去年

          FREDERITHM TOUR 2021-2022 ~朝日も嫉妬する程に~ 感想まとめ

          【再掲】会わなくなっても、慣れるはずなかった──「ゴスペラーズ坂ツアー2021 "アカペラ" #あなたの街にハーモニーを」に行かなかった話

          ※この記事は2022年3月末でサービスを終了したrockin’on.com「音楽文」へ2021年8月に投稿したものを再掲しています。 ✎︎____________ 私の選択は間違っていたのだろう。 大切だからこそ。愛しているからこそ。 「ゴスペラーズ坂ツアー2021 "アカペラ" #あなたの街にハーモニーを」 私にとって予定より3ヶ月遅れの初日だった。5月に札幌・カナモトホールで観る予定だったそれは、8月22日、WOWOWの放送で観ることとなった。 札幌公演の2日間、

          【再掲】会わなくなっても、慣れるはずなかった──「ゴスペラーズ坂ツアー2021 "アカペラ" #あなたの街にハーモニーを」に行かなかった話

          【再掲】〈もう 全部作っちまうさ〉の精神で──フレデリック「FRDC DIY STUDIO」に寄せて

          ※この記事は2022年3月末でサービスを終了したrockin’on.com「音楽文」へ2021年6月に投稿したものを再掲しています。 ✎︎____________ 6月26日、21時。 フレデリックの公式YouTubeチャンネルで一夜限りの動画がプレミア公開された。 その名も「FRDC DIY STUDIO」 昨年末にも「FRDC STUDIO」と題してYouTubeでアーカイブなしの生配信が行われた。 年末フェスの中止が次々と決まる中で、フェスのステージを再現し、かつ

          【再掲】〈もう 全部作っちまうさ〉の精神で──フレデリック「FRDC DIY STUDIO」に寄せて

          【再掲】出会い、つながり、繰り返す──フレデリックとの2年間を振り返る

          ※この記事は2022年3月末でサービスを終了したrockin’on.com「音楽文」へ2021年5月に投稿したものを再掲しています。 ✎︎____________ 人生を変える音楽との出会いは、いつだって想定外だ。 愛するアーティストのうちの一組、フレデリックと出会ってからもうすぐ2年が経とうとしている。好きでいることについて考えた結果をどうにか形にしたいと思い、少し過去を振り返ることにした。 2019年5月。社会人1年目の私は、頼まれた仕事に向かうため社用車を走らせ

          【再掲】出会い、つながり、繰り返す──フレデリックとの2年間を振り返る

          【再掲】苦しくない、その先を見ていこう。

          ※この文章は、2019年12月に自分のはてなブログに投稿したものを再掲しています。 ✎︎____________ グワィニャオン2020年特別公演「刹那的な暮らしと丸腰の新選組」 11月26日~29日にかけて行われた公演の感想を書いていきます。 私は地方に住んでいて現地には行けなかったため、27日・28日(昼)・29日に配信で観劇しました。 前半で「刹那的な暮らし~」での役者さんお一人お一人の好きなところを、後半で作品を見て個人的に考えたことを書いていきます。後半で

          【再掲】苦しくない、その先を見ていこう。

          【再掲】この広い音楽の海の中で

          ※この文章は、2019年12月に自分のはてなブログに投稿したものを再掲しています。 ✎︎____________ ずっとまとめたいと思っていた、私がゴスペラーズに出逢ってから今までの記録を残したいと思います。 時系列はちょっとバラバラだけど、当時のリアルな感情を思い起こせたら。 当時高校2年だった2013年9月、たまたま見ていたミュージックステーションの音楽情報を紹介するコーナー「Mトピ」でゴスペラーズがカバーアルバムをリリースする、というニュースを見た。 収録曲は

          【再掲】この広い音楽の海の中で