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時計と羅針盤

「あ〜〜〜〜〜幸せ」

このツアーで何回この言葉を口にしただろう。



ゴスペラーズ坂ツアー2022「まだまだいくよ」

ゴスペラーズの久しぶりの長旅、完走おめでとうございます。
なんとかここまで走り抜けられてよかった。本当にお疲れさまでした。

Twitterの140文字じゃ足りなさすぎるので、この場所で私のまだまだいくよを振り返ります。

ライブのこと


2022.5.1 函館市民会館
2022.5.3 札幌文化芸術劇場hitaru
2022.6.11 名古屋センチュリーホール
2022.7.23 東京国際フォーラム

同じツアーに4回も行ったのは初めてだった。
というより、やっと初めてになった。

2019年から2020年にかけて行われていたG25ツアー。本当なら9公演行く予定でいたけど、それは叶わぬまま中止となった。

コロナ禍でライブが再開されてからしばらく経ったとはいえ、たぶん多くのゴスマニの中でなんとなく残っていたG25ツアーの悔しさとやりきれなさ。
その想いを汲み取って、さらにアップデートして魅せてくれたのが今回のツアーだった。


まだ明るい客席とクロスフェードで流れ始めるのは、一筋の軌跡を歌う観客の声。メンバーの挨拶。
すぐにこの音源がG25ツアーのものだと分かった。

唯一行くことができたG25下関公演の楽しかった思い出も、苗場から春、夏、そして全公演の中止が決まったときの絶望感も。
すべてが蘇り、歌が始まる。


《いつの日にも We never stop 歌い続けよう》

G25ツアーのセットリスト最後の曲。
ライブが止まってからも何度も歌い続けて、届け続けてくれた。いつの日か #心はNeverstop なんてタグもできた。
配信で、音源で、悔しさとか悲しみとかぐちゃぐちゃになって泣きながら聴いたこの曲。このツアーで、やっと嬉し涙に変わった。
客席の椅子から立ち上がるだけなのにこんなに幸せだったっけ。

コロナ禍になってから初めてライブに行ったとき、止まっていた時間がようやく動き出したと感じた。その感覚は自分だけではなく、人それぞれのタイミングであったと思う。
けど今回はゴスペラーズとしてもう一度、自分たちと観客の時計の針を動かす、そんなライブになっていたんだと振り返ってみて感じる。


靴は履いたまま、シークレット、パスワード。
全部大好きな踊る曲。久しぶりのゴスバンドの演奏も、立って踊れるのも本当に嬉しい。
パスワードで叫ばなかった私偉い。声にならないうめき声みたいなのは出たけど。
国フォではシークレットとパスワードが熱帯夜に変わった。初めてライブで観る熱帯夜、叫ばなかった私偉い。動揺してあんまり記憶がないけど。


札幌で聴いたひとりと風が聴こえるの響きが本当に良かった。
hitaruでのゴスのライブはW2N2ツアー以来の2回目、当時も音の良さに驚いたけど今回も最高で、音楽も拍手もキラキラ降り注ぐような感じだった。
11月のオーケストラツアーも楽しみ。

五時までにとDONUTSの振り幅がすごい。Works2の音源を聴く前と後でライブを観れたのが嬉しかった。

ライブは始まったら終わってしまうのがどうしようもなく寂しい。けど、リミットの時間の最後の最後まで《大丈夫 まだ 夜は長いよ》と寄り添ってくれる歌詩に毎公演救われていた。

DONUTSでバンマスの本間さんがドーナツのクッション?を振っていたのがかわいかった。キャッチーな振り付けでゴスもバンメンもわちゃわちゃしていて目が足りない。
国フォ1日目はKeep It Goin' OnでPenthouseの浪岡さんと大島さんがサプライズで登場。7人の生のハーモニーと音圧がすごく気持ちよかった。

ラヴ・ノーツのサビの真っ赤な照明がすごく好き。音源よりもアレンジに激しさがあってぴったりの演出だった。

MCで一番嬉しかったのが函館のイカ踊り。
G25ベスト盤のキャンペーンの時から、リーダーが「函館でイカ踊りをやる」ってずっと言ってくれていたからようやく叶って嬉しかった。
リーダーがうちハモで着ていたイカ踊りTシャツを公演中から仕込んでくれていたのも愛でしかない。
次にゴスが函館に来る時は、みんな立ち上がって客席を大移動するイカ踊りをフルコーラスでやりたい🦑


いろは2010は高崎GBBでしか観たことがなかったからゴスバンドver.が新鮮だった。
バンメンのソロ回しが過去一でかっこよかったし、酒井さんの《言ってみな 吹いてみな ほーんままさとー!》が本間さんの名前とhornをかけてる!って気づいてテンション上がった。
座って聴くパートだったけど、楽しすぎて座りながら踊り出しそうなくらいだった。


客席をスポットライトが流れ星のように駆け抜けて始まる愛のシューティング・スター、ずっとライブで聴きたかったから本当に嬉しかった。

満天の星のような照明をバックに披露された星屑の街。
歌う前にリーダーが、「夜空にゴスペラーズという星を見つけて、少しでも気持ちが明るくなったり元気になったりしてもらえるならこんなに嬉しいことはない」そう話してくれた。

ゴスに出会えたこと、ゴスをきっかけにかけがえのない友人に出会えたこと、ライブや旅の思い出、私の空にはゴスにまつわるたくさんの星がある。それはこれからも増えていって、いつかきっと大きな星座になる。
立ち止まった時、大丈夫、と思える歌がそばにあってよかった。
もう何回も言ってるけど何回でも言う。ゴスペラーズに出会えてよかった。


アンコール1曲目のVOXers。生で聴くのがG25ツアー以来で、当時の1曲目をアンコールで聴けるのが嬉しかった。

ライブで初めて聴くことができたBRIDGE。
名古屋で北山さんが今まで観たことのないくらい熱のこもった歌い方をしていたのが印象的だった。一つ一つの言葉を噛み締めて音に乗せて、マイクを握る手が震えるくらい気持ちが現れているのを観て涙が止まらなかった。



「今ライブをやっているのは、今日ここに来れなかった人もいつかまた来れるような未来を守るため」
国フォの最後の挨拶で、北山さんがそんな話をしていた。

この2年間で自分も周りも行くのをやめたライブが何本もあって、それを経験する度、見る度に、本当に悔しくて辛い。それでもこの言葉の意味を実感しているし、信じていくしかない。

一方で、このツアーでやっとコロナ禍以降初めてゴスのライブに行けた、という人が周りに多かった。それが自分のことのように嬉しかった。

前のようなライブにいつ戻るのか、戻れるのかさえ分からない。
でも、これまでの自分や他の人の行く選択、行かない選択で守られてきた未来が今なんだと思う。

それなら。
このツアーで守った未来は、きっと今よりも楽しくなる。そう信じている。
次の未来でまた、ゴスペラーズと会えるのを楽しみに。


旅のこと


今回のツアーは充実した旅とともにあった。
特に函館と名古屋。

道内在住といえど、函館はほぼ遠征。道内の移動だけど今回は飛行機を選んだ。

4月は残業と休日出勤の毎日で、ゴールデンウィークも仕事になりそうなほど忙しかった。

函館も札幌も直前まで確実に行ける保証がなくて、気持ちも死にかけていた。私は一度諦めモードになると何もかもどうでもよくなってしまうから、ライブに行きたい気持ちを保つのが大変だった。

結果なんとか仕事を終わらせて休みも勝ち取って、函館で友人と合流したときの安心感は半端じゃなかった。

海鮮丼とスナッフルスのチーズケーキを食べて街を歩いて、終演後は雨の中函館山に登って買ったばかりのアクスタで撮影会をして、閉店間際のラッキーピエロに並んで。翌日は五稜郭と八幡坂。

アクスタ撮るのへたくそ選手権ノミネート作品


心も身体も解放された2日間はとんでもないご褒美だった。折れずに仕事頑張ってよかった。


ほぼ初めての名古屋。着いてから帰るまでひたすら名古屋グルメを食べまくった。
味噌カツ、味噌煮込みうどん、名古屋モーニング、ひつまぶし。ライブの数日前にNagie Laneが訪れたカフェにも行った。幸せ。

そして名古屋といえば(?)の、伝説の酒井雄二ショーの聖地にも行ってきた。

深いよ!


ライブ目的で来ているはずなのにライブ以外も充実しすぎて、こんなに幸せでいいのかな、と思うくらいに幸せだった。

この時期も仕事がきつかったけど、この遠征がすごく心の栄養になった。


ライブで時計の針が動いたのなら、ライブ以外の時間は、この2年間家に眠ったままの羅針盤をようやく持ち出したような気分だった。

もちろん対策は徹底した上で、行きたい場所に行きたいように。やりたいことを好きなだけ。

旅をすると「せっかく来たんだから」と予定を詰めすぎてついハードスケジュールにしてしまう。だけどそのハードさも楽しい。
いろんな所を回って美味しいものを食べて、会場に向かって友人に会ってライブを観てまた美味しいものを食べて。当たり前だった非日常がやっと少しずつ戻ってきた。


メンバーがそれぞれの赴くままに街を歩いて、街を愛して。そんな街が全国各地に溢れている。
ゴスペラーズの旅と自分の旅が交わるような瞬間が愛おしくて、自分にとって大切な街が増えていくのが嬉しくて、私は何度でも飛行機に乗ってしまうのだと思う。

まだまだいくよをG25の続きとは表現したくないけど、G25下関のときに感じた幸せに限りなく近づいたような気がする。
まさに波のように状況は変わるけど、それでも前に進んでいる。それが何よりも嬉しかったし希望だった。

いつか47都道府県すべてを訪れてみたい。ライブでも旅行でも。
魅力のない土地なんてきっとない。ツアー中のメンバーの様子を見ていてそう思う。

長い長い夢になりそうだけど、ゴスペラーズが歌い続けてくれる限りいつか叶えられる気がしている。

ツアーは終わるけど、ゴスペラーズの旅も私の旅も終わらない。
これからも、まだまだいくよ!!!!!