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コロッセオに似ているこの建物は何?「マルケッルス劇場」

これは、コロッセオより85年前に建てられた、ローマに唯一残る古代劇場マルケッルス。コロッセオが円形闘技場なのに対し、こちらは直径130mの半円劇場。15000人の観客を収容することができました。

ローマが共和政から帝政へと移行する時代ギリシャ古代劇の影響を受けた演劇が大人気でした。そのため、権力者がこぞって劇場を建設します。

マルケッルス劇場は、カエサルがライバルのポンペイウスの劇場よりも、大きな劇場を建設するために着工したとも言われています。が、カエサルは自らの劇場建設の前に、火事で損害を受けたポンペイウス劇場を再建しており、また、マルケッルス劇場は、大きさではポンペイウス劇場にはかないませんでした。カエサルが暗殺された後は、初代皇帝アウグストゥスが建設を引き継ぎ、紀元前13年に完成させました。

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マルケッルスとは、皇帝が跡を継がせたいと思っていた夭折した甥の名前。劇場が完成する5年前に亡くなっています。

この劇場は、自然の傾斜を使って観客席をつくるギリシャ劇場と違って、石壁で観客席が建設される古代ローマ劇場の型となりました。

時が経ち、4世紀ごろまでは機能していましたが、ローマの栄光は衰え、また、キリスト教の布教により娯楽の演劇は弾圧され、マルケッルス劇場は中世に入ると貴族の城塞として使われるようになりました。

マルケッルス劇場背面。住居として使われていることがよくわかる。

今でもファサード上部に住居をみることができますが、1930年代に古代ローマ劇場部分はローマ市によって買い取られました。そして、ローマ帝国の栄光を再びイタリアに取り戻したいと願っていたムッソリーニにより、1926年から1936年にアーケードの中を占めていた、お店や住居、劇場を隠そうとしていた教会が取り払わられ、4m地中に埋もれていた1段目のアーチも掘り起こされ、今の姿になりました。

マルケッルス劇場は、ローマの中心、テヴェレ川のの中州ティベリーナ島の近くにあります。

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