【小説】 苦しみよ、さようなら
悲しみがこんにちはと言ってやってくるなら、苦しみを見送りたい。
声を出してしっかりと「さようなら」したい。
後ろ髪引かれるさようならではなくて、「決別」という単語で締め括れるくらいの潔いさようならがいい。
私ならそうする。
そうしたい。
「そうさせて」
はっと目線を上げると、祖母と眼が合う。
「え?」
「そうさせてちょうだい。私がそうしたいのだから」
祖母はよくそう言った。
私が選ぶのが遅くても急かすことなく、私が選びたい時間をゆっくりと相談して決めた。そして、決まって私が申