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フランスは木漏れ日のネオン

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とある物理学者の男と出会い、突然フランスへ行くことになってしまった私。しかも無期限。フランス語はおろか英語もろくに喋れないのに、おフランスでどうやったら生活ができるの?日本で築い…
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#5プロポーズは新聞紙の薔薇で

#5プロポーズは新聞紙の薔薇で

プロポーズをされた。
まさかこのタイミングで。

ドラマのように一瞬で雑踏が消え、バラードが流れる…というようなことはなかった。むしろ周囲の音はより鮮明に聞こえ、人々の視線が急に自分たちの半径1.5mくらいに集中していたことは感じとれていた。

ただ、聴いたこともないような心音と、脳内に確かに流れる音楽のようなものが私を包んでいた。なるほどこれを人はロマンスなどという言葉で片づけるのかもしれないが

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夏の月
割引あり ¥400〜
#3ホームレスなおフランス

#3ホームレスなおフランス

【フランス渡航シリーズバックナンバーを先に読みたい方はこちら】
第一回
第二回

ホームレスな、おフランス

日本人が「フランス」と聞くと、優美で甘い憧れが真っ先に浮かぶ。

しかし実際に私を待ち構えていたのは、ただのホームレス極貧生活だった。

渡仏まであと2ヶ月ちょっと!という時に、将来の旦那さまは一生懸命2人で暮らす家を探していた。フランスは日本のような「不動産屋」というものがなく、不動産サ

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夏の月
割引あり ¥250〜
#2経験の蝶番

#2経験の蝶番

前回、私がとある物理学者に出会い、フランスに移住することになった経緯について話をした。不安で仕方のない私がそれでも「彼について行く」と決めた理由や、それによって起きたよもやま話を今回はお話ししよう。

なぜ、それでも行くのか

「自分の仕事の都合がつかなさそうだから待つ」という決断をしたって、特に問題はないはずだ。むしろ将来家庭を築く上でも研究者である彼の給与を一切当てにできない分、私がモリモリ働

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夏の月
割引あり ¥300〜
#1「憧れ」の暴力、フランス。

#1「憧れ」の暴力、フランス。

私は普段とても動かない。変化はこわいから。
「きっとここで動いた方が後がラクだろう」という要所でサッと動き、仕事めいたことをし、暮らせる基盤を作ったらまた、安定にしがみつく。そんな人生だった。

そんな中、突如 “フランス” が私に殴りかかってきた。

「あのフランスさんがそんな暴力を?」とお思いだろう。そうなのだ。意外かもしれないが、彼女はこの数ヶ月間、私をタコ殴りにし続けている。

彼女の暴力

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