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「コロナ後も生き残る企業の特徴とは?」-電通、メルカリを渡ったマーケターが語るアフターコロナの広告市場|イベントレポート

「デジタルマーケティングのトレンドとアフターコロナの広告市場」と題し電通、メルカリを渡ったマーケター南坊泰司さん(以下、南坊)とNatee代表取締役の小島、取締役の朝戸が5/22 (金)にウェビナーにてパネルディスカッションを行ないました。

<この記事がオススメの方>
1.アフターコロナの市場の動きを捉えておきたい方
2.アフターコロナのマーケティング手法をキャッチアップしたい方
3.アフターコロナに生き残る企業の特徴を知りたい方
<この記事を読んでわかること>
1.「コロナ禍」後における消費行動の変化とは?
2.リーマンショック時と比較した広告の動きは?
3.ズバリ語るコロナ中でも強い企業の特徴とは?
▼登壇者
南坊 泰司 株式会社 NORTH AND SOUTH Founder / Marketing Director
2011年株式会社電通入社。デジタルからマスまでを横断するメディア プランニング、顧客分析に基づくマーケティング戦略立案、メディア PDCAツールSTADIAの開発・運用などを担当。株式会社メルカリの マーケティング・マネージャー、OMO(Online merged offline)戦略 チームリーダーを経て、2020年、NORTH AND SOUTH inc.を設立。

小島 領剣 株式会社Natee  代表取締役
2016年にビズリーチに新卒入社し、新規事業のプロダクト開発にエンジニアとして携わる。ショートムービーの勃興と、個がメディアになり活躍する未来を強く信じNateeを創業。

朝戸 太將 株式会社Natee  取締役
2016年にリクルートキャリアに新卒入社し、東京・大阪にて人材領域全般のコンサル営業に従事。個性と才能溢れる世界の実現に共感し、2019年5月よりNatee参画。目指すは「令和を代表するグレイテストショーマン」


コロナがもたらした消費者行動の変化


朝戸)
コロナによる消費者行動の変化を教えて頂けますか?
まずは小島から。

小島)
皆様も生活の変化が起きていると思いますが、投影資料(※1)を見ると分かるように、巣篭もり需要からペットDIYが流行り、ホームセンターの売り上げが好調ですね。
また今だからできるスキンケアを、ということで美容品も好調です。Wi-Fiも伸びていることがわかります。

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※1 参照:https://www.bcnretail.com/market/detail/20200511_172941.html


4月はおもちゃが伸びていて、世代関係なくそのほとんどは任天堂Switchの売り上げです。ウェブアプリでいうと漫画アプリが広告で伸びています。週別トレンドとして3月末になると家での消費に移っている傾向が分かります。

コロナ後「飲食」「旅行」を始めとした産業は復活する

朝戸)
南坊さん、コロナ後にもたらされる消費者行動を教えて下さい。

南坊)
短期的に見ると旅行が減っていますが、国内旅行はかなりのスピードで戻ると予想しています。星野リゾートの金額推移を見ると分かりやすいです。コロナによるフラストレーションが旅行産業を戻す一手になるでしょう。

漫画、Netflix、アマゾンプライムをはじめとしたコンテンツを楽しむようになった人は、今後もある程度楽しむと予想しています。
「梨泰院クラス」、「愛の不時着」といったNetflixで配信されているものがTwitterのトレンドに入っていることも見受けられます。
サイバーエージェントの社員も、「AbemaTVもコロナ期間で伸びて、不振と思われていた昨年と逆の状況になった」と言っていましたよ。

朝戸)
小島からは何かありますか?

小島)
中国の現在の状況はコロナ後の消費行動を推測するヒントになると思います。まず、飲食店は9割くらい売り上げが戻っています。第二の不安を残しつつもフラストレーションが爆発して街中に人が戻っています。

南坊)
ここで、コロナに配慮したプランを作ってしまうと、楽しみ方がニューノーマルになり特殊感が出てしまうことで、マイナスになると予想されます。


ネット広告は好調、リーマンショック時もネット広告は売り上げが20%以上も上昇


朝戸)
広告の出し方は変化しますか?広告とデジタルマーケティングの力関係は?

小島)
まず昨年、ようやくWEBが逆転しましたね。(※1)
これからの広告費の動きはリーマンショックの時を参考にするとわかりやすいです。広告費全体では20%減少しましたがネット広告は20%以上の売り上げ上昇でした。その状況を今回にも当てはめると、2020年もインターネット広告は伸びると思います。

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※2 参照:https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0311-010027.html

テレビを始めとしたマス広告ではCM出稿が軒並み減っています。某テレビ関係者によると、認知を目的としたテレビCMは減っているとのことでした。これはインターネットでも言えることで、これからダイレクトコンバージョンのトレンドが加速していくでしょう。

朝戸)
南坊さんはマス広告もデジタル広告も経験されてますが、いかがですか?

南坊)
まず、テレビとデジタルとを比較するのはおかしいと思います。
テレビは1デバイス。デジタルは複数デバイス。違う条件なので一概に比較はできないと思います。

また、コロナの間はテレビの視聴率は2-3%、報道番組においては3-5%も上昇しています。在宅率が高まるとテレビを見る機会が増えると言えそうです。
テレビの強さとしては圧倒的なリーチ数同時性、つまり同じタイミングで多くの人々が目にするという強さがあります。一方デジタルは、ターゲティングオンデマンドという特徴があります。
この2つの特徴をどう使い分けるかが重要であり、デジタルマーケティングの視点から言うならば、これからはテレビのような同時性をいかに演出していくかが取り組みとして面白いのではないかと思います。

例えば、Netflixをみんなで見るという企画がありましたよね。
こんな風にみんなで一緒に見るという体験ができると良いと言えます。

Twitterでトレンドに入るのも良いでしょう。一般的に、500人が同時に呟くとトレンドに入り1000人が同時に呟くと東京のトレンド10位に入ります。仕掛けるタグを決めて、みんなが一緒に呟く事で、話題性を作る事ができます。

現にコロナの影響で、共通の話題を作ろうという風潮になってきています。昔のテレビがそうだったように、同じ話題をみんなで共有する、発信するといったトレンドになってきているのです。これも同時性とデジタルの掛け合わせであると言えます。

コロナでも強い企業は「顧客との関係性」が強い

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朝戸)
ズバリ今企業が取り組むべき施策とは一体何でしょうか?

南坊)
顧客との関係性を作ることです。
スノーピークはオンライン接客を始めています。これからは顧客との関係性を常にインタラクティブに保つために、インスタライブやYouTubeを活用して顧客との対話を進めるべきです。レストランを始めとした店舗が顧客との接点である場合は、如何にしてWEB上で接点を作るかが重要です。


地方では「直」でやる方が効率的

朝戸)
地方における戦略は何かありますでしょうか?

南坊)
メルカリでの経験ですが、シニアはデジタルでもマスでも獲得できなかったです。メルカリは2000万円を使ってもデジタルリテラシーの壁を超えられませんでした。そんな中で、メルカリ教室というのをやりました。シニアの方たちとオフラインで喋る機会を作ってメルカリのやり方を教えるんです。シニアの方って、処分したいものが多くあるので、投資期間としては3年くらいかかるのですが、それでも回収できると推測して行いました。
このようなケースにおいては、デジタルを超える「直」がキーワードで、手紙や雑誌と行った接点が必要です。

これからの広告は「商品購入に繋がったか」が重視される

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朝戸)
広告費が落ちる中でメディアはどう対処していくべきですか?

南坊)
過去の配信結果をまとめたレポートや事例を作ること、効果を可視化する事が重要です。

小島)
まさにそうですよね。アメリカのデータを見ていてもTwitter、Googleの広告費は落ちていない

 PV数みたいな購買に繋がるか分からない部分はきついと思います。その点では、紹介して売れるインフルエンサーは伸びる一方で、売れないインフルエンサーは成り立たなくなるでしょう。

南坊)
広告を依頼したものとしては、効果が可視化が出来ないと上司に説明しづらいんですよね。

小島)
数字が見れる方が予算を取りやすいですよね。

南坊)
インフルエンサーを使った後のCVに到るまでの道筋を設計をするべきです。単にインフルエンサーを起用するだけではなく、顧客が動いた時の導線まで用意したほうが良いでしょう。

小島)
また、意味のない数字に踊らされるのは良くないです。フォロワーが多い=意味がある指標ではないですね。
再生回数広告クリックCVRなどの値を見るべきです。

南坊)
インフルエンサーのリストしか出さない会社は使わない方がいいですよね。
メルカリではインフルエンサーを多く起用しましたが、沢山やるより強いインフルエンサーを1回起用する方が効果的と分かりました。

これからは「資料作りがうまい人」が勝つ時代

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朝戸)
営業が必要な業界はどうなりますか?

南坊)
リモートで大事なのは「コンテンツ作り」です。これからは喋りがうまい人が勝つのではなく、動画コンテンツを作成して見せたりとコンテンツが良くないと厳しい時代です。

小島)
BtoBの60%は会うまでに決めていると言われています。
ある程度決定できる段階までリサーチしてから営業マンと会っているケースが多いのでしょう。したがって、その前段階でマーケティング、特にコンテンツマーケティングをどこまでできるかが重要です。
資料作りがうまい人が勝つのがアフターコロナの営業だと推測しています。

Q&A

朝戸)
それではQ&Aに移りたいと思います。

Q.紙媒体の広告は減りますか?

南坊)
紙でいうと雑誌はきついと思います。紙媒体での純粋な求人広告とかは苦しいのではないかと。紙というリアルな物質に価値はありますが、広告はきついのではないかと思います。

小島)
アメリカのメガネブランド「Warby Parker」はD2Cブランドなのですが、店舗が図書館のレイアウトになっています。
その会社は雑誌などフリーペーパーを発行しているのですが、ここにはマテリアルとしての紙に価値があります。

南坊)
体験を格上げするための紙はありますね。私もそこでメガネを買ったので連絡が来ますが、コロナの中でも連絡が来るんですよね。
コロナの中大変だけどこんなことしてるよ、みたいなレポートが来るんです。こういうコミュニケーションこそがエモーショナルでインタラクティブな体験だよなぁと思うわけです。


Q.EC移行において留意すべきことはありますか?

南坊)
純粋に移行したとしても、そこにいく理由がないとだめですね。
ですので、自社ECが良いのか、それともプラットフォームが良いのか、カスタマージャーニーをちゃんと考えて決める必要があります。

Q.イベントや展示会は変わりますか?

南坊)
やらなきゃいけないから復活はするが、客足は半分になるかと思います。
大規模なやつは厳しそうですよね。BtoBではそこに山をもっていくところが多いので大変だと思います。あとウェビナーは飽和してますね。
これからは近しい会社とコラボでやっていくのがいいかなと思います。

Q.CXの需要は伸びますか?

南坊)
カスタマーサポートは重要になっていくでしょう。既存顧客の体験をどこまであげるかがすごく大事になってきます。ユーザー体験がゆるいと離反しちゃいます。離反した客を取り戻すのは大変ですね。

小島)
デジタルマーケティングは手法だけで考えるとうまくいかないです。オンライン・オフラインを分けて考えずに、ユーザー視点で考えたときに何が一番良いんだっけ?をちゃんと考えるのが大事ですね。

南坊)
コロナ渦においては、「うちに必要だったっけ?」が見直しされる傾向にあります。

Q.海外旅行のPRで興味深いものがあれば教えてください

南坊)
オーストラリアで、「ドローンの撮影が出来るポイントがある」みたいなのを打ち出しているPRがありました。
「風景がいいですよ」だけでなく、スポットでの体験を設計して、そこに訪れるまでのわくわくと、撮れた写真を後から見ることへのワクワクと、そしてそれをまたシェアするといった何重もの体験が出来る。
そこにあるのは、綺麗な風景とドローンだけな訳ですから、もともとあるアセットをうまく組み合わせた事例だなと、凄くおもしろかったです。

最後に

小島)
この活動の中でどこの企業も工夫されてると思いますが、「トレンドを読む」みたいな未来の話ってバズりやすいですよね。

でもそれよりも、現状を正しく見ることの方が凄く大事だと思います。
今どういう消費が行われているのか、いまのユーザーの行動にきちんと向き合い、それを線でとらえることが重要です。

南坊)
変化っていまの延長線上にしかないから、今の状態から変化を考えて対応するのが大事。今、できることをちゃんとやる。これが結論です。

朝戸)
すごく学びのある時間になったかと思います。お二人とも、本日はありがとうございました!


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Nateeでは、TikTokに特化したMCN(マルチチャンネルネットワーク)を展開しており、TikTokを用いたプロモーションの企画・制作・運用を一気通貫して行っております。

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