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「あるはなく」(千葉優作さん)
千葉優作歌集『あるはなく』を読みました。好きだった歌などを。
装幀も良いのです。ちらちらと細くひかる金が美しい。箔押しはともすれば華美になりそうなものですが、タイトルと著者名が黒字であるためか、落ち着いた風合い。手触りはちょっと布のようなざらつきがあって、ああ紙の本は良いなぁと改めて思いました。
《こはれもの注意》の札を このところ海を見たがる君の背中に
たはむれに君に蹴らるるよろこびのくすぐ
ワクチン(モデルナ)を打った話
新型コロナのワクチン(モデルナ)を打ちました。たくさんの方がすでに書かれているのでもうあれかもしれませんが、自分用にメモしていたものを一応載せておきます。
念のため2回とも接種当日と翌日は仕事の休みを取っていました。
●1回目
午前中接種
7時間後 筋肉痛的な痛みがはじまる。
12時間後 筋肉痛悪化。
翌日 ひどめの筋肉痛継続。痛みは引かないがしょせん筋肉痛的な痛みなので、心のなかでイテテテ
私家版『ドラマ』の通販について
昨年の7月に『ドラマ』という私家版の歌集を作りました。
通販サイトboothで自家通販をしていたのですが、現在庫がなくなり次第販売を終了します。
私家版ということでもともと永続的な販売は考えておらず、在庫も程良く減ってきて、作ってから一年ちょっとというこのタイミングがちょうど良いのかなと思いました。
葉ね文庫さんやがたんごとんさんというすてきな本屋さんに置いていただいたり、文フリで委託販売をし
天坂さんといちごつみ
1月26日、天坂さんといちごつみを始めました。天坂さんは主に、天坂寝覚というお名前で自由律俳句を作っておられる方です。
10首完結、奇数が天坂さん、偶数がナタカです。
振り返り。
1. 青空を知ることもなく骨だけになってしまった傘を弔う/天坂
→かっちりしたのが来た!天坂さんの歌は固体・液体・気体でいうと液体っぽいと思うのですが、これは固体っぽい(何言ってるのか分からなかったらすみません。雰囲
ともだちにならう蜜柑を剥いてあげる/喪字男
ともだちにならう蜜柑を剥いてあげる/喪字男(「彼方からの手紙」9号)*1
初めてこの句を見たとき、怖いと思った。今でもそう思っている。一見どこにも怖い要素はないのに怖さを感じさせる、すごい句だと思う。それは、怖い言葉を使って人を怖がらせるよりもずっと難しいことだ。
蜜柑を剥くことで友達になろうとする不器用で温かい句という読み方もできるようだし、もしかすると作者の意図はそちらかもしれない。
しかし
桔梗さんといちごつみ
桔梗さんと100首でいちごつみをしました。
奇数がナタカ、偶数が桔梗さんで、桔梗さんの歌にいくつか感想をつけています。
(桔梗さんは旧仮名、私は現代仮名で詠んでいるので単語の表記は変わってます。)
1. 風の背を追う人だったいつだって先頭をゆく人だったから
2. はじまりと終はりの夏が過ぎてゆく 翼などない背骨が軋む 【背】
3. 翼持つものになりたいきみひとりくらいをちょうど包めるような
連作「鉄は熱いうちに打てと言うから」
タイトルが雑ですが忘れないうちに20首。
「鉄は熱いうちに打てと言うから」 ナタカ
四時はまだ夜だと思う止まらない誰かの咳を遠くに聞いて
朝五時の駅で大縄飛びをする人にはFacebookが似合う
守るべきものはなくても言われるがままにシートベルトを締める
離陸する瞬間ふっと息を吐くような機体の震えがあった
小雨降る北口を出てさまよえばこんなところに魚民がある
バス停のすぐそばに海かん