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🥶 父が腰を痛め、母が右往左往する🌀①3/4-3/5

さて、3月5日に起こったことを書こう。
正確には前日のことなのだが、私は皆さんご存知の通り、毎回、夕方に実家の様子を見に行っている。
その前日の夕方(4日)行ったときに、父の姿が見えなかった。

悪い予感がする。

当然だろう?
先日も百均に行って、反対方向から帰ってきたばかりだ。


私は母に父がどこか聞いた。

母曰く。

「もう、お父さんは、今日はどっかで腰やったとか言ってきて、それでもう夕飯も食べずに寝とるとよ。」

はい?
腰?
ぎっくり腰?

高齢者が腰を痛めて、それをきっかけに寝たきりになることは珍しいことではない。

私も当然心配した。
「え、大丈夫なん?
 そこまで(ひどくは)ないん?」

母の答えは胡乱だった。
「分からんけど、大丈夫っちゃない。もう晩御飯も食べんでから、もう何もせんでから、寝とうとよ。やおいかんかったとよ(とても大変だったのよ)。」
と言うばかり。

事情はよく分からなかった。

母が大変なのは分からないでもないが、一度の骨折をきっかけに急激に弱るということもあり得るため、本当はもうちょっと事情が知りたかった。

だが、もう寝てしまっているというのを叩きおこしてまで、対応しがたい。特に概ねうちの父は正直に病状も話さないだろうし、病院に行かないと言い出したら聞かないだろうから、徒労になる可能性が高い。

その日は木曜日だった。

土日に入ると病院の通常の往診は休みだろうし、病院に行くなら翌日の金曜日、午後からは私には所用があったので、午前中にしたいと思った。

何にしても翌日にならなければ会話もできないと思い、母に一旦帰宅する旨を告げる。

母は「大丈夫じゃないとね。なんか明日になったら起きてくると思うけど。」と言ってはいたが、当然そうは問屋がおろさない。

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翌朝午前9時。

当然のように私の携帯が鳴り響いた。予想の範疇である。

すわ、これだ、と思って取った電話は、うっかり留守電に切り替わっていた。

「お父さんがなんかぎっくり腰って言って、トイレもしきらんで、あんた暇になったら手伝いに来てよ。私は朝からご飯も食べる暇がなくて大変なんよ。もう、やおいかん。大変なんよ。いざとなったら病院に連れて行って入院って言うことになるかもしれん。あんた来て助けてよ。もうやおいかん。」

留守電の内容である(固有名詞以外ほぼ忠実)。

掛け直して、「すぐに行く」と言ったら、なぜか止められた。何故だ?

「いや、あんた、すぐじゃなくていい、私もご飯食べんといかんし。

あんたも朝ご飯食べてから来(き)ぃ。」

…いや、私が行く間にご飯を食べていればいいのでは?

さらに

「とにかくあんた、やおいかんとよ。

あんた来てお父さんに話聞いて、なんとかしちゃらんね。」

いやちょっと待て事情聴取からかい。

とりあえず実家に向かう。

多分、実家に着いたのは午前9時36分だったと思う。

行ってみたら、なぜか母は食卓に準備してある自分の朝食には手をつけないまま、血相を変えて父のズボン二枚をビシャビシャと縁側で打ちはたき、干そうとしていた。

そしてこれが謎なのだが、

父は何故か母の携帯を持って、ベッドに横になったまま、母の友人の渡鳥さんと電話をしていた。

(渡鳥さんはこちら登場)

なんでやねん。

なんだこのカオス…と思いながら、母に聞く(この時点では単に父が何故か寝たまま誰かと通話していると認識していた)。

「何してるん?

お父さん、誰と電話しとーと、話聞けんっちゃけど。」

母は、ズボンを振りながら、恐ろしいことを言った。

「お父さん、トイレも行けんでから漏らしたとよ。

だけん、もう、洗ってないけど干そうと思って。

ぎゃー!頼むからそのズボンをこっちに向けるな!

恐怖!失禁ズボンの回!

母は続いて電話の説明をする。

お父さんは渡鳥さんと電話しとうとよ。

ほら、渡鳥さんがこの間ぎっくり腰したろうが、だけんその時の話をきいとるとおもうとよ。」

いや、知らん。

渡鳥さんのぎっくり腰は初耳やけど、そもそも医師でもなんでもない八十代女性にぎっくり腰の話を聞いてどうする気なんだ。

いつも通り、さっぱり意味が分からんな!

話しているうちに、父の通話が終わったようだったので、父の部屋に行く。

いつも通り汚いのはまあ仕方ないが、股引姿である。

濡れてる。

…。

まあともかく、父に話をしようとすると、父がその瞬間だけ、寝たまま神妙に言った。

「病院に行く。」

お?と思ったら、渡鳥さんに話を聞いて、骨折などが無いかだけの検査はした方がいいと言われたらしい。渡鳥さんナイス!
この機を逃してはならんと思って、とりあえず車に運ぼうと思って起きれるか聞くが当然無理。

救急法の要領で一旦側位にしてからベッドから動かそうかと試みたが

「痛い!」

と叫ばれて終わる。

父は真剣な顔で

「担架なら行けると思う。

担架で運んで欲しい。」

と言い出した。

実家に担架の備え付けはないし、毛布を使った応急担架の作り方持ち方は把握してるが、知らんのかこの男は。

担架を運ぶには最低二人の人間が必要なんだぞ?

よいよいの母に片棒を担がせる訳にはいかんし、所詮私の車は普通乗用車で、担架で運んだ父をそのまま載せることはできない。

さらに病院に行ってから父を下ろすこともできない。

「無理。

救急車やな。」

救急車を呼ぶしかないなと思って、父に聞く。

保険証どこ?」

「あー、お母さんが知ってる。」

母に聞くと

「知るわけなかろうもん。

お父さん保険証どこにあると!」

と立腹した。

なんだこの茶番。

父は母に怒鳴られると、今度は

白い四角い箱を積んでる一番上にある。」

と言い出した。

どこだよ。

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もしかしてこういう半透明のプラスチック箱とか、これの類似品の箱とかのことか?
十数個あちこちにあるんだけど、どれのことだよ?

とりあえず母と父の部屋に行って探そうとするが…これを見て欲しい。

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これは父が書斎に使っている部屋の状況である。

白い箱のほう(上方)はどうやっても個人情報が写ってしまうので、下を晒した(なお上の方が書類や文具的にはカオスである)。

片付けてやれば良いのに、と思う人もいるかもしれないが、老人というものは思い通りにならないとキレるものである。

こちらで片付けようとするとキレ始めるので、腐るものがない限り、あまり手を出さないようにしている(洗濯物や食品などは母が回収しているので不潔域には達していない)。

しかし私は父はとうとうこのカーペットに引っかかって転倒したんじゃないかと疑っている(何故か頑として捨てさせない)。

保険証が見つからず、私は母に言った。

「もう良い、保険証後回しでいいから救急車呼ぼう。」

ピンポーン!
無施錠の玄関を誰かが覗き込む!

現れた渡鳥さん!なんで今来た野次馬か!?

途端に元気を出す母、玄関に一目散に行って、「ああ、ごめんなさいね。もうどこかで転んだとかと言ってあの人が起きんとよ〜!」突如始まる井戸端会議!
なんだこのカオス…と私はもう一度思った。

母は置いておいて、父のところへ向かう。

保険証見つからんけど、救急車呼ぶから。」

「それなんだけどな。」

父が言った。きっとロクでもないことを思いついたに違いない。

「改めて考えたんだが、病院はやめておこうと思う。」

保険証を探している間に掌を返しやがった!?

書くの疲れたので分けます!またね!


投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。