見出し画像

何をしなくても

 しだいに、暗くなっていく部屋でひとり、時間の移ろいを見つめている。

 音もなく、ただ、ただ、その日差しの消えゆく姿と薄ぼやけていく視界が移ろいを感じさせているのを、見つめている。

 こうして何をしていなくても、世界は移ろい、変わり、過ぎていくのだと、実感できる。

 私が世界に与える影響など何もないのだと、痛感する。何もしなくても、一瞬、一瞬、刻々と、変わっていくのだから。

 あぁ、それなら、私に何が、できるのだろう。

 目は霞んでいくように何も映さず、光は飲まれ、音は相変わらず存在しない。

 暗闇の中、ひとり、きっと、ひとりで、部屋にいる。部屋に、いるのだろう。それさえも確信が持てないほどの、何もない空間の中に、私は今、思考している。

 そんな曖昧な私に、何が、できるのだろう。

 もはや、時間の移ろいさえ感じられない。

 わたしはわたしでわたしではないわたしがわたしとしてわたしのわたしをわたしにわたしである、と。

 思考、し続けている。

 思考し続けながら、何もできずにここにいる。

 そうして何もできなくても、世界は産声を上げて、明けていくだろう。私が何をしなくても、自然に、何も関係なく、何にもなかったかのように。移ろい、過ぎて、いくだろう。

 あぁ、それなら、私がここにいる意味は、何かあるのだろうか。

 それさえも今は、闇に包まれて、曖昧に漂っている。

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。