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【#ショートショート(410字)note杯】『コロコロ変わる名探偵』

この体験が無かったら、僕は東京を離れて田舎に帰っていただろう..

ここは無人島。
目の前には男性の死体が横たわっている。
僕の隣にいる老婆が呟いた。
「名探偵が来てくれないかねぇ…」
「実は僕の母はイタコなんです。そして僕もその能力を受け継いでます。まずホームズを呼びましょう!」

前日..
僕は派遣会社から、変わった仕事を依頼された。
『派遣会社フルタイムの阿倍と申しますが、山田さんって役者をされてるんですよね?』
その電話はミステリー好きなお婆さんと、誕生日に即興劇を演じてくれないか?という内容だった。

お婆さんは素人ながら、とてもイキイキと演じていた。
最初は恥ずかしさがあった僕も段々と気持ちが乗ってきて、清々しい気分で終える事が出来た。
「今日はありがとね!」
そう言って手を握るお婆さんに、僕はこう伝えた。
「こちらこそ有り難うございました。本当は辞めようと思っていたのですが、もう少し役者という仕事を続けてみたいと思います!」


サポートされたいなぁ..