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ゴールのないエッセイ修行

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考え練った文章。エッセイってなんでしょうか。
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2022年6月の記事一覧

パワープレイ

丁寧、細やか、繊細。
目指したいし、そんな所作を見かければ嬉しさが込み上げます。

「目指したい」に透けてみえる、私の力ずくで適当でおおざっぱな一面。ふと思い出したので書いてみようかと思います。

大学生のときの話。
大学宿舎備え付けのベッドにはマットレスのみ置いてあり、他の寝具は自分で用意しなければいけないことが、入居後に判明しました。

シーツ、枕、掛け布団など最低限のものは貸し出し&クリーニ

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帰れる場所のような存在

数年前に一度読んだマンガを読み返していたら、絵も描写もことば選びも美しくて儚くて、本当に「その」通りだった。

ヤマシタトモコ「違国日記」。

ひとりで過ごす時間が好きな方だと思う。
本、お笑い、音楽、映画、まちあるき、カフェ、どれも好き。お店にひとりで入ることを厭わないし、足が向くままに、気の向くままに動けるのは、ラクで楽しい。

月に1回友人と会って話す時間があったら十分。そのひとときで全てが

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こころの梅雨と目の前の梅雨

梅雨入りしたらしい。

今のところ一日中雨の日はほとんどない。それでも、水分がたっぷりと含まれた空気は肌にまとわりつき、心身を少しずつ重くする。

沈みきる前に、外へ出る。
夕方になって出てきた太陽がわたしを照らす。風もわずかに吹いていた。さっきまでの鬱陶しさが、徐々にかたちを変える。

こころに描いていた梅雨と、いま目の前にある梅雨の違いに気づく。

ときどき見せる空の青さ。若葉から成長し深く色

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水浸し事件

大学2年の冬。フランス語の授業中に電話がかかってきた。
「お宅のトイレが水漏れして、大変なことになっています」

帰宅してみて呆然。ずぶ濡れのカーペットは外に干され、3、4人のおじさんたちがうちを出入りしていた。よくわからない機械で床にできた水たまりを吸引したり、トイレの前で何やら話したり。もはや私の部屋ではない。

トイレのタンク内の水がうまく流れなくなり、溢れ出したとのこと。真下の部屋の人が天

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ふわっふわの衣をまとったカッチカチのわたし

一生懸命学ぼうとするかわいい新人。
自分で言えちゃうくらい、社会人1年目のわたしはそう見えていたと思う。

Web/IT関連の企業に新卒入社し、編集部に配属された。「Webの世界で伝える力をつけたい!」と本気で思っていたし、先輩にも言っていた。

▼学生の頃ライターの師匠と出会い、書くことが心底好きになりました

研修課題も仕事もなんでも素直に真面目に取り組んでいた。力をつけたい一心だった。

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