マガジンのカバー画像

新解釈 竹簡孫子の兵法

62
世界最古の兵法書「孫子の兵法」。その孫子の兵法の中でも最も古い「竹簡孫子」を研究しているマガジンです。孫子の兵法理論である「正奇」や「虚実」「形勢」などの追概念は「陰陽理論」が適…
運営しているクリエイター

#計篇

https://youtu.be/CEk8Bhw0Zrk

この動画は、孫子の兵法の全体像、計篇第一の概要を説明しています。

(9)詭道について-竹簡孫子 計篇第一

(9)詭道について-竹簡孫子 計篇第一

私が「竹簡孫子」の研究を行なっている中で、五つほど大きな発見があり、その度に孫子の兵法理論をバージョンアップさせてきました。

(1)孫子と陰陽相対原理との合致(2)天の解釈の発見(3)圮地と絶地の関係の発見(4)九地篇の構成(5)詭道の新発見

今回の軌道の新解釈の発見は、他の4つの発見を土台にしなければ発見できませんでした。

私は、「詭道」を「騙す事」「詐術」ではなく、目に見えない不思議な要

もっとみる
(8)権と正勢について-竹簡孫子 計篇第一

(8)権と正勢について-竹簡孫子 計篇第一

孫子では、「勢」という概念が出てきます。

「計篇第一」や「勢篇第五」をはじめに多くの篇で、「勢」について述べられており、「勢」という文字が出ていなくとも、「勢」の概念が根底にあるので「勢」の理解が、孫子の兵法理論全体の理解に繋がります。

では、「勢」とは何でしょうか。
色々な角度から述べられているのと、漢文で書かられていることから、結局何であるのか全体像を理解することは容易ではありません。

もっとみる
(7)七計について-竹簡孫子 計篇第一

(7)七計について-竹簡孫子 計篇第一

それでは「七計」について解説をしていきます。
「七計」とは敵国と自国との間に、死生の立場を決定するための比較事項です。

主は孰(いず)れか賢なるか、
将は孰れか能(のう)なるか、
天地は孰れか得たるか、
法令は孰れか行われるか、
兵衆は孰れか強きか、
士卒は孰れか練れたるか、
賞罰は孰れか明らかなるか。

まず孫子を読み解く一つのルールとして、順番に意味や繋がりがあるということです。

この「七

もっとみる
(6)法/主用について-竹簡孫子 計篇第一

(6)法/主用について-竹簡孫子 計篇第一

法とは、曲制(きょくせい)・官道(かんどう)・主用(しゅよう)なり。

次は、「法」とは何かついて解説していきたい。
「法」で挙げられる三つの項目「曲制」「官道」「主用」は、訳者によって解釈が分かれるので、読む孫子本によっては大きく変わってくる。特に「主用」は意味がまったく違っているのが特徴です。

私は、「主用」を「君命・マネジメント(統治)」であると解釈したい。その理由は三つあります。

一つ

もっとみる
(5)将/智について-竹簡孫子 計篇第一

(5)将/智について-竹簡孫子 計篇第一

将とは、智・信・仁・勇・厳なり。

五事の4つ目は、「将」、君主の代理となって戦場で戦う将軍です。「孫子」では「智」「信」「仁」「勇」「厳」の5つの徳目を重視、その中でもはじめにあげた「智」を重視しております。

なぜ、「智」がもっとも大事なのでしょうか?それは「孫子」の兵法理論を体現するために最も重要な能力だからです。

智者の慮は必ず利害に雑う(九篇第八)
とあるように、物事の両面から考えるの

もっとみる
(4)地形について-竹簡孫子 計篇第一

(4)地形について-竹簡孫子 計篇第一

「天」がそうであったように、「孫子」の中に出てくる言葉は、孫子の本文の中で説明があるという仮説を立てて読んでいくと、意味がわからないとされていたところでも意味を解読することができるようになっていきます。

地とは、高下・広狭・遠近・険易、死生なり。
「地」については、孫子の全文の中で様々な解説がされておりますが、特に地形篇第十の冒頭の文章が、計篇の五事の内容に合致していることが読み解けます。

もっとみる
(3)天について-竹簡孫子 計篇第一

(3)天について-竹簡孫子 計篇第一

天とは、陰陽(いんよう)、寒暑(かんしょ)・時制(じせい)なり。順逆(じゅんぎゃく)にして兵は勝つなり。

孫子にとってこれまで「天」は謎であった。従来の解釈では、「天」についての説明がないとされていた。「孫子」の中には「地」についての説明はあるのに対して、「天」の説明がない。

また、武経七書をはじめとする現行孫子と竹簡孫子の間にも記述の相違がある。「順逆(じゅんぎゃく)にして兵は勝つなり」の記

もっとみる
(2)兵は国の大事-竹簡孫子 計篇第一

(2)兵は国の大事-竹簡孫子 計篇第一

「兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」

「孫子」の冒頭の一文は、名文中の名文であり、世界最古で且つ最高の兵法書が、軍事戦略がどういうものであるのか、この後の孫子の本文の中で何を伝えようとしているのかがわかる、孫子の本質です。

著者は、「兵」とは、「軍事」もしくは「軍事戦略」(=兵法)とし、「死生の地」は敵味方の有利不利といった立場のこと、「存亡の道」は国が存続するか滅

もっとみる
計篇 第一(新解釈/竹簡孫子)

計篇 第一(新解釈/竹簡孫子)

【現代訳】
孫子は言う。「軍事は国の命運を分ける重大事である」と。
彼我の「死地と生地」を決し、国家の「存続と滅亡」を司る根本であるから、十分に明察しなければならない。
そこで自国と敵国の「存亡」を見極めて整えるのに「五事」(根本事項)を使い、彼我の「死生」を作り出すために「七計」(比較・検討事項)を使い、その優劣や実情を求めるのです。

「五事」とは、「道」、「天」、「地」、「将」、「法」の五つ

もっとみる