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味噌ラーメン好きは札幌の夢を見るか

濃厚味噌らーめん 麺屋 雪風 すすきの店@札幌


 ある企画を進めるために、一泊二日で北海道へ向かった。
 新千歳空港を降りて、なんだ北海道も割と暖かいんだなと思ったが、朝晩はまだまだ寒かった。厚手のコートを持ってきて正解。ただし、その夜の冷え込みは、ラーメンには最高の環境と言える。
 しかも、ここは札幌。ならば味噌。
 絶対に夜は味噌ラーメン食べよう!

 問題はただ一つ。店選びがとにかく難しいこと。
 流石に2杯も3杯も食べられるほどの大食漢ではない。むしろつけ麺だったら小盛りでもいいくらいなので、この1杯をどこで食べるか? が、本当に悩ましい。「さっぽろ純連」「すみれ」「麺屋 彩未」「けやき」などなど名だたる名店がこの界隈だけでも凝縮されている。純すみ系の味噌ラーメンは東京にもあるから、いくつかの店は行っているのだが、本当の「純連」や「すみれ」で食べてみたいという夢がある。「彩未」も代々木公園とか駒澤公園のラーメンフェスに来ていたこともあり、食べてはいるのだが、本当のお店で堪能してみたい野望もある。

 僕は純すみ系のラードで湯気が立たない感じの味噌ラーメンが大好物なのだけど、しかし、この札幌でしか食べられないラーメンがもう一つあり、いつか食べてみたいと思いを馳せていた。

 それが「雪風」。

 店の前には15人ほど先客がいた。旅の高揚感も手伝っているので、15人くらいなら今の僕には楽勝だった。「皆のもの、ラーメンをゆっくりと味わいたまえ」と思える心の余裕すらある。いや、僕自身がゆっくりと「雪風」を味わい尽くしたいと思っているだけかもしれない。

 頼んだのは濃厚味噌らーめん。
 そう、これぞまさしく夢に見たラーメン。

濃厚味噌らーめん

 スープを一口飲んで、痺れた。
 いろんな人がレビューしている通り、ラードの脂やスパイスなどが強い純すみ系の札幌味噌とは異なるものの、めちゃくちゃ濃厚なスープだ。脂ではないタイプの札幌味噌と言える。白味噌、赤味噌のブレンドもさながら、豚骨と鶏からとったベーススープの濃さとなめらかさが凄まじい。どろりとしているのにさっぱりとした飲み口のベーススープは、味噌を使わなくても豚骨Wスープ系の名店になると思われる。そこに絶妙なバランスでブレンドされた味噌のコクが加わることで圧倒的な旨さのハーモニーを奏でている。しかも飲んだ時はパンチある味噌の濃さを感じるのに、飲み終わった後には、ほんのり甘さが口に残る。一口ごとにちょっとした多幸感すら味わえてしまう旨さなのだ。
 そして西山製麺の中太ちぢれ麺が最高なタッグを組む。この中太ちぢれ麺がそもそも旨い。「すみれ」など他の店でも多用されているのがうなづける。濃厚な札幌味噌のスープにこれほど合う麺は他にはないだろう。中太なツルツルもっちりが濃厚なスープと絡んでたまらない旨さ。さらに白髪ネギや時々見え隠れするひき肉と合わせれば、これまた旨し。
 チャーシューも旨い。とろっとろ。あと、キクラゲのアクセントもかなり良い。

 今まで食べた味噌ラーメンで一番好きかもしれない。

 店を出て夜風に吹かれながら、口に残る甘みの余韻に浸る。
 また札幌に訪れたらぜひ再訪したい。
 しかし、札幌の別の店にも行ってみたい…。

 味噌ラーメンを堪能するのなら、札幌には相当通わなければならない。
 またひとつ新しい夢が増えた夜だった。


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