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サ酒にもんじゃ、マジ最高!

 僕が小中学生だった80年代、住んでいる埼玉の外れや東京の葛飾区や足立区では、駄菓子屋でもんじゃを食べることができた。いわゆるうまい棒なんかが置いてある駄菓子のコーナー以外に、鉄板の付いた小さなテーブルが2~3台置いてあり、そこでもんじゃ焼きを食べることができたのだ。
 だし汁にキャベツと紅生姜、揚げ玉くらいだけのベースもんじゃが80円。そこにトッピングを足していく方式だ。卵やひき肉やゲソいか、チーズなんかは各50円。カレー粉が30円くらい。ラメックというベビースターみたいな小袋入りのおやつは5円だったが、いつの間にか10円に値上がりした。それでもカレー、卵、ひき肉、チーズとラメック2袋くらい入れて合計280円。こんな金額で手軽にもんじゃを楽しめたのだった。
 中学生になると、一杯では足りず、かといって贅沢にお金も使えないから、カレーチーズバージョンと卵ひき肉バージョンの2杯にし、それぞれにラメックを3袋くらい入れてお腹も満たしていた。

 西新井のサウナ「TheSPA」で、ととのい椅子に横たわってウトウトしていたら、そんな中学の頃のことを思い出した。中学生の頃を思い出すなんてめったにない。というか過去30年間を振り返ってもふと中学時代を思い出すことなんてなかったと思う。あれ? まさか、フラグ立った?  走馬灯的なヤツ? ヤバい、僕、もしかして近いうちに死ぬのかしら? それとも単に腹が減ってそんなことを思い出しただけか?

 ちょっと前に、ここ西新井「TheSPA」からのサ飯の最適ルーティーンを発見したのだが、

「ムルギー」は昼しか営業してないため、今日みたいに夕方からサウナに寄った場合は別の選択肢になる。もちろん「TheSPA」内でサ飯・サ酒というのも悪くはない。

 ただ、この思い出のせいで、脳がもんじゃ気分にととのってしまった。 

 もんじゃと共に思春期を過ごした僕にとって、もんじゃは時々食べたくなるものの一つである。あの頃と違うのは、もんじゃをつまみにだらだらと酒を飲むという楽しみが増えたこと。もんじゃは熱いからね。たまに口の中、火傷するし。そんなアツアツを口にいれて、キンキンに冷えたビールやハイボールでキューっと流し込むのがたまらない。しかもサウナ後だ。サ酒で、もんじゃはやったことない。そんなことを考えたら、生唾が湧いてくる。たまらなくもんじゃが食べたい。

 「TheSPA」から出たのが21時。微妙な時間なので、最寄りの金町駅まで戻ろうと思った。金町には僕が「もんじゃビル」と勝手に呼んでいる場所がある。単にそのビルには1Fにも2Fにも別々のもんじゃ焼き屋が入っているのだ。金町にもんじゃ屋なんてそう多くないのに、なぜ、Why、わざわざ同じ立地に同じような店を作ったのだろう。意味不明だ。まあ、そのおかげでもんじゃビルと記憶しているのだけど。ん? ということは、意味不明と言ったものの、そういう刷り込み戦略だとしたら、僕はまんまと罠にハメられたことになるのか。てへ。

 もんじゃビルは駅から歩いて5分くらいの場所にある。
 1Fのお店は「もんじゃOHANA」。ハワイアンテイストなもんじゃ屋さん。もんじゃとハワイって、どういうコンセプト? ただ金曜の夜だからか結構混んでいた。2Fの方に行ってみるか。2Fは「JuJu」。1Fとは変わってちょっと暗めの店内。こっちも混んでいたが、2テーブルほど空いていて席へ通された。

 ホールの店員さんは1人だけだったので、ちょっと忙しそう。まず飲み物だけ聞かれたので、メガハイボールを頼んだ。僕はメガがあるような店ではほぼメガハイボールを頼む。何回も頼むのめんどくさいから。混んでいる店では尚更だ。

 さて、メニューを見ながら何を頼もうかと悩む。もんじゃってたいてい2~3人で来ることが多いから、もち明太チーズ、豚カレーチーズの鉄板メニューとあとは変わり種を頼むってパターンなんだけど、一人だとそうはいかない。どれかひとつ、または頑張って2つに絞るしかない。本当は1.5人前くらいは食べれるので、ハーフとかあったら嬉しいんだけど、そんなのは見たことない。まあ、月島とかにはあるかもしれないけど。だから鉄板焼きメニューともんじゃ1杯が一人もんじゃでの王道になる。

 先にもんじゃから選ぶことにする。ちなみに、もんじゃはグルテンフリーだ。つい最近まで知らなかったけど片栗粉はグルテンを含んでない。だからベビースターとかうどんとかをもんじゃに入れなければ、基本グルテン制限に合致する食なのだ。

メニューと変わり種

 もち明太は王道で僕も大好きなんだけど、今日はサ飯ということもあり、もうちょっとパンチあるヤツにしようと思う。牛すじカレーもんじゃとかチーズハンバーグもんじゃとかの変わり種が気になる。もちろんカルボナーラもんじゃとかも気になるけど、麺入ってるよねきっと。と、今日の僕を惹きつけたのはコンビーフ。よしコンビーフにカレーとチーズを加えよう、そうしよう。本当はベビースターとかも入れたいけど、そこは我慢。

トッピング

 あとは鉄板焼きに何を頼むか? ちなみに、もんじゃでの鉄板焼きについてもちょっとした豆知識がある。月島のお店で女将に教えてもらったヤツだ(正しいのかはわからないけど)。

 20年以上前に彼女と2人で月島でもんじゃを食べた時の話だ。もんじゃの前に食べる鉄板焼きで、ちょうどアワビのバター焼きというのがその日のおすすめにあってそれを食べた。食べ終えて次にもち明太を食べるべく鉄板をヘラで綺麗にしようとすると
「何やってんの! ダメよ!」
 と女将に怒られた。女将が言うには、そのコゲには旨みが詰まっているから、それをもんじゃの汁で溶かせば、旨みが出汁に入ってより美味しくなるのだそうだ。フレンチではシュックというらしい。よくステーキとか焼いた時にメイラード反応でフライパンについたコゲに旨みが凝縮されていて、それをワインとかでこそぎながら溶かしてソースにしたりするヤツと同じことをしろというのだ。海鮮の鉄板焼きなら、牡蠣とかホタテとか特に貝類は旨みが残りやすいそうだ。
「アワビの出汁は特にすごく美味しいわよ」
 確かにそのもち明太はすごく美味しい気がした。
 以来、もんじゃの前の鉄板焼きに意味を求めるようになってしまった。そしてコゲをそのまま取らずにもんじゃを焼くのがデフォルトだ。そのせいで、とんぺい焼きとか大好きなのにもんじゃ前の鉄板焼きとしては頼めなくなってしまっている。牡蠣バターとかホタテバターとかなんなら牛ステーキとかそういうのじゃないと出汁にならないから。牡蠣もホタテもあったのだけど、なんか気分じゃない。チョリソーがあったので、ハイボールのつまみにもなるし、これでいいかと思う。チョリソーも多少は味出るだろうし。

 店員さんに、カレーチーズコンビーフもんじゃとチョリソーを頼むと、チョリソー今日終わっちゃったんですよと言われる。うーん。じゃあ、もんじゃだけでいいですと伝えた。
 まあ、無理に鉄板焼きを頼む必要もないしね。もしかしたらもんじゃ2杯食べれるかもだし。そもそも女将に言われて以来、もんじゃを食べる前に何か出汁が出そうなものを焼くという窮屈な考え方に囚われてしまっていたものを是正するいい機会だ。

カレーチーズコンビーフもんじゃ

 しばらくして、もんじゃがやってきた。
 さっそく、土手を作って焼く。

土手を作って焼く

 いい感じにカレーの匂いが漂ってくる。

焼き上がり

 完成。ついでにもんじゃだと僕はあんまりやらないけど、青のりもふりかけてみる。青のりって旨みのスーパーフードで、イノシン酸、グルタミン酸、グアニル酸の3つのうまみ成分が含まれているのだ。この熱々を口にしてのハイボールはきっと旨いぞ。カラダもカラカラだし、この時間だし。

ヘラでもんじゃを掬う

 グレート。熱々。危うく火傷しそうになったけど、まじコンビーフ最高! そういや、このお店のトッピングに卵なかったけど、卵入れてふわふわにしても旨そうだなと思う。とにかくハイボールがすすむくん。ゴキュゴキュしてしまう。やっぱり、特に何か焼かなくてももんじゃは最高なのだ!
 これ、初めてやったけど、最高かよ。サ飯・サ酒にもんじゃってヤバいぞ。

 もとから一人飯、一人酒が結構好きなんだけど、このままサ酒を繰り返していくと、人と呑むより一人酒の方が好きになってしまいそうで怖い。

 もう一杯、もんじゃを頼もうか迷った。もんじゃって具材を相当加えない限りは、実はそんなに質量ある食べ物ではないので、少しすると急に腹が減る。だけど、やめることにした。今はそれなりに腹一杯なのだ。今日はこれで終わりにしよう。ほっとくとハイボールも飲み過ぎてしまいそうだし。

 店を出て、1Fの「OHANA」を覗く。そんなに時間が経っていないが、だいぶ席は空いたようだ。今度は、サ飯にもんじゃするならこっちに来てみようと思う。

 今日の発見はサ酒にもんじゃは最高! ってことだ。


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