NAOTO@TOKYO

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最近の記事

灼熱の渋谷で香りと声に触れ きっと忘れない気がする雨

渋谷・MIYASHITA PARK内のVISIONARIUM THREE SHIBUYAで開催中のインスタレーション「THREE ESSENTIAL SCENTS / MOBILE INSTALLATION “THE ROOM OF(IN)SCENTS”」。会場には、歌人の伊藤紺さんがいらしており、伊藤さんが直近のTakram Radioのゲストだったこともあって興味を持ち、足を運んだ。 はじめは遠目で眺めようかと思っていたが、インスタレーションの体験後 に、伊藤さんのサイ

    • TAKRAM RADIO|Vol.240 言い淀みに現れる人の心〜計画外に「私」が訂正される

      IntroductionJ-WAVEのTAKRAM RADIO。近内悠太さんをゲストに迎えた、2週目の放送のメモ。 メモケアの定義 渡邉:前回の体感は? 近内:互いの言語ゲームがわかるので、やりやすい。身体的なリアクションもわかり、セッションのよう。 渡邉:哲学者という肩書を他者から受け取ること、関西のアメちゃん文化はニュータウン発なのでは、他人への祝福、贈与は数年に一度のレベルであるがケアは日常に埋め込まれている、などなど。遡及して劇が変わることは、アートの解釈や無

      • 映画『悪は存在しない』~水および巧の視点からの深読み

        はじめに濱口竜介監督の最新作『悪は存在しない』。1回目に受けた衝撃から、思わず2回目の鑑賞をした。主に水および巧の視点から、2度目の鑑賞をとおして、理解や思考が深まった箇所を記載する。 ※ネタバレも含むので留意ください。できれば、前情報はなるべく入れずに映画を鑑賞することをオススメします。 映画のあらすじを公式サイトから引用する。 水の視点オープニング オープニングで木々を見上げる映像は、流れる水の視点からなのだと解釈した。滑らかな移行は、人が歩きながら見上げるときの

        • 『人類の会話のための哲学』刊行記念トークイベントの振り返り~映画『悪は存在しない』への連想とともに

          Introduction 2024年3月31日(日)に青山ブックセンター本店で開催された、朱喜哲さんと渡邉康太郎さんのトークイベント、『人類の会話のための哲学』刊行記念「〈人類の会話〉をデザインする」の振り返り。 『人類の会話のための哲学』は、朱さんの博士論文をもとにした書籍だけあり、内容はもちろん表紙の写真にまで重厚さがある。イベント前に一度、 書店で中身を見てみたが、難解な雰囲気を感じて実は購入を見送っていた。 個人的には、イベントに先立ち、2024年2月放送のNH

        灼熱の渋谷で香りと声に触れ きっと忘れない気がする雨

        • TAKRAM RADIO|Vol.240 言い淀みに現れる人の心〜計画外に「私」が訂正される

        • 映画『悪は存在しない』~水および巧の視点からの深読み

        • 『人類の会話のための哲学』刊行記念トークイベントの振り返り~映画『悪は存在しない』への連想とともに

          DISTANCE.mediaのトークイベント「記憶のデザイン」~記憶が消えないうちの記録

          2024年3月17日(日)に開催されたDISTANCE.mediaのトークイベント「記憶のデザイン」。記憶が消えないうちの記録を残す。 【第1部】「記憶と場所」 柴崎友香×山本貴光会場のミラーボールがいつ回るか。 『記憶とデザイン』の出版。SNSを日々使うが、翌日には内容を忘れる。白昼夢を見る感覚で、覚えていない。 記憶を助けるようにできないか、情報を見晴らせないか、という問題意識。 岸政彦さんとの共著エッセイ『大阪』。こどものころの記憶は、比較的覚えているほう。 時系列に

          DISTANCE.mediaのトークイベント「記憶のデザイン」~記憶が消えないうちの記録

          TAKRAM RADIO|Vol.207 会話のなかでの引用のかたち〜他者の言葉・自分の言葉

          IntroductionJ-WAVEのTAKRAM RADIO。引用をテーマとした、渡邉康太郎さんのひとり語り回の第1週目のメモ。 振り返り哲学研究者・永井玲衣さんの「対話のための三つの約束」の話は、『DESIGN AND PEOPLE』にも記載があり興味があったところ。 偉い人の言葉を使うことで、あたかもそれが正解であるかのように思考停止してしまうことは、よろしくない。ただ、自分なりの解釈や実感のズレを追加できることがよいのはもちろん、事例として紹介するだけでも十分に意

          TAKRAM RADIO|Vol.207 会話のなかでの引用のかたち〜他者の言葉・自分の言葉

          『DESIGN AND PEOPLE|Issue No. 1』刊行記念 ABC CROSS TALK 01 のメモランダム

          『DESIGN AND PEOPLE』株式会社コンセント発行の『DESIGN AND PEOPLE』。刊行記念として青山ブックセンター本店で開催されたトークイベントの内容をもとに、気づきや問いを書き残す。 トークイベントでは、「デザインと教育」という切り口のもと、寄稿者の中から教育者としての顔を持つ方々(渡邉康太郎さん・佐賀一郎さん・ 脇田あすかさん・ 赤羽太郎さん)をスピーカーに迎え、『DESIGN AND PEOPLE』の編集長を務めるコンセントの吉田知哉さんをモデレー

          『DESIGN AND PEOPLE|Issue No. 1』刊行記念 ABC CROSS TALK 01 のメモランダム

          TAKRAM RADIO|Vol.193 要約で広がる本の世界〜タイパに抗うためのタイパ

          IntroductionJ-WAVEのTAKRAM RADIO。株式会社フライヤーから代表取締役CEOの大賀康史さんと執行役員の久保彩さんを迎えた、第1週目のPodcastのメモ。 AIによる音声の自動文字起こしや要約が進化を遂げる中で、人間がPodcastのメモをとる行為の意味に思いを巡らせる。 たとえば、印象に残った箇所を太字で記載することで、鑑賞後の映画のように他者との着眼点の違いを面白がれること? または、自身の脳内で台詞を反芻して言葉を整理・選択することで、既

          TAKRAM RADIO|Vol.193 要約で広がる本の世界〜タイパに抗うためのタイパ

          『嶋浩一郎&渡邉康太郎の、一見役に立たない、けれども大事な読書会2023〜第二回「硬い柔らかい」』からの脱線

          Introduction2023年7月23日(日)に青山ブックセンター本店で開催された、『嶋浩一郎&渡邉康太郎の、一見役に立たない、けれども大事な読書会2023〜』シリーズ。第2回のテーマは「硬い柔らかい」。「脱線」と称して、連想されたPodcast・曲・本などのコンテンツとともに振り返る。 ※第一回「長い短い」のnote記事はこちら。 今回の選書今回は、互いに3冊ずつの選書。 嶋浩一郎さん 川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 北尾トロ・えのきどいちろう『愛

          『嶋浩一郎&渡邉康太郎の、一見役に立たない、けれども大事な読書会2023〜第二回「硬い柔らかい」』からの脱線

          TAKRAM RADIO|Vol.184 「学びの成長痛」との向き合い方

          IntroductionJ-WAVEのTAKRAM RADIO。株式会社学びデザイン代表取締役の荒木博行さんをゲストに迎えた、第2週目のPodcastのメモ。 Podcastで公開されたフル尺の会話により、荒木さんの以下のツイートへの納得がさらに深まった。後半の畳みかける展開が、非常に刺激的。 「下手の楽しみ方」からの思考のジャンプは、ゲストに和田夏美さんを迎えた、超相対性理論の 「人はいかにして主人公になれるのか」回の延長戦を聴いているような感覚でもあった。 メモ学び

          TAKRAM RADIO|Vol.184 「学びの成長痛」との向き合い方

          『嶋浩一郎&渡邉康太郎の、一見役に立たない、けれども大事な読書会2023〜第一回「長い短い」』の走馬灯

          Introduction2023年5月20日(土)に青山ブックセンターで開催された、『嶋浩一郎&渡邉康太郎の、一見役に立たない、けれども大事な読書会2023〜第一回「長い短い」』。 死の間際、きわめて"短い"刹那の間に、"長い"人生が思い返されるという走馬灯のように、イベントを振り返る──。 "走馬灯"という振り返りの手法とその実践は、以下のPodcastの渡邉康太郎さんの語りを参照。 課題図書今回選書された課題図書は、以下の6冊。 嶋浩一郎さん 『君のクイズ』 -

          『嶋浩一郎&渡邉康太郎の、一見役に立たない、けれども大事な読書会2023〜第一回「長い短い」』の走馬灯

          TAKRAM RADIO|Vol.182『「時間の奪い合い」時代の「鈍さ」のススメ』

          IntroductionJ-WAVEのTAKRAM RADIO。有限会社BACH代表/ブックディレクターの幅允孝さんをゲストに迎えた、第2週目のPodcastのメモ。 メモ先週の振り返り 幅:だらだら喋ってしまった。考え続けることが重要。とても楽しかった。 渡邉:ゆっくり歩くことで、道端の大事なものを見つけられる、と寺田寅彦もいう。 京都の私設図書室「鈍考」 幅:私設図書室兼喫茶店である、「鈍考」をオープン予定。手回しで1kgしか焙煎できないコーヒーをネルドリップと

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          荒木博行『独学の地図』

          荒木博行さんの『独学の地図』の感想を記す。再読して言葉に出会い直すたびに、また違った感想を得られるものと想像するが、まずは初読でのメモ。 本書を通して、学びはきわめて日常的なものであることが強調される。その中で、「実用的な知的欲求」だけがモーターだった人に対して、「純粋知的欲求」の駆動法をはやいうちに体感として知っておいたほうがいい、と説くことが荒木さんからの強いメッセージであると解釈した。 安易な「それっぽい一般論」に逃げず、いったん経験を描写するだけにとどめる 経歴

          荒木博行『独学の地図』

          若松英輔『生きる哲学』からの引用 ~志村ふくみ~

          上記の記事に続き、批評家・若松英輔さんの『生きる哲学』からの引用。 第五章「聴く 志村ふくみと呼びかける色」より。 染織家・随筆家の志村ふくみさんの『一色一生』にて、彼女が引いたという十八世紀のドイツの作家・ノヴァーリスの一節が印象的。 顕在した表現は、その裏にある潜在した表現と隣り合わせである。 表現されたコトバと表現されなかったコトバの「あわい」は、分離されているのではなく、緩やかにつながっているのかもしれない。 以下は、志村ふくみさんが『色を奏でる』にて紡いだ言葉

          若松英輔『生きる哲学』からの引用 ~志村ふくみ~

          TAKRAM RADIO|Vol.179『聴く力〜居心地の悪さを分かち合う』

          IntroductionJ-WAVEのTAKRAM RADIO。エール株式会社取締役の篠田真貴子さんをゲストに迎えた、第1週目のPodcastのメモ。 メモ「聴く力を高める」エール株式会社の取組み エール株式会社取締役の篠田真貴子さん 渡邉:気恥ずかしくなり、TAKRAM RADIOがカタカナ読みに。 渡邉:お互いの独り占めタイム。 篠田:組織開発を手伝う。外部の人が企業の人に1on1を実施する。聞く力を高めることで、企業の打ち手のラストワンマイルをつなぐ。 エー

          TAKRAM RADIO|Vol.179『聴く力〜居心地の悪さを分かち合う』

          TAKRAM RADIO|Vol.178 メタファーは思考をあさってに跳躍させるか

          IntroductionTAKRAM RADIOの谷川嘉浩さんのゲスト回、非常に面白かった。Podcastが公開されたタイミングで改めて聴き直し、ツイートに収まりきらない感想とともに、メモ書きをnoteに記載しました。 感想渡邉康太郎さんと谷川さんの間で、考えの共振する箇所が多い分、寄り道しながら発散が膨らんだことが何よりも面白かった。 その中で、谷川さんの挟む具体例やエピソードが、これまでに渡邉さんが挙げてきた範囲にはない角度からだったことが印象的。 まさに「どこに辿

          TAKRAM RADIO|Vol.178 メタファーは思考をあさってに跳躍させるか