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「LGBT当事者」という枠大き過ぎませんか?

こんにちは、椎名です。
あと2ヶ月で新年度。1月は行く2月は逃げる、3月は去ると言うくらいなのでおそらくあっという間に4月がやってくるのでしょう。
新年度である22年度、東京都は都としてパートナーシップ制度の導入を目指します。

同性婚がいまだ国で導入されていない中、法的拘束力はなくてもその前段階として、パートナーシップ制度は「同性婚が必要なカップル」を数値的に可視化出来る制度だと思っています。僕たちカップルも都のパートナーシップを利用予定。

世の中的にも認知度はどんどん上がって来ている中、ふと思ったことがあります。

LGBTQ+当事者という枠(カテゴライズ)大き過ぎませんか?

こう書いてしまうと、「LGBTQ+の枠をやめてほしいの?」「じゃあなんて言えばいいんだよ」と思われるかもしれませんがそうではありません。
もちろん枠自体に問題が生じてくれば適宜撤廃や言い方を変える必要があると思います。
しかし今回僕が言いたいのはそうではなくて、「LGBTQ+の広い枠に向けられて発信されたことすべてを必ずしも受け止めなくていいのでは?」ということなんです。


“LGBTQ+”に含まれる人々

改めて考えると、“LGBTQ+”ってカテゴライズってすごく広い。「LGBTQ+」を1文字毎に分けて考えてみても、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシャル)、T(トランスジェンダー)、Q(クエスチョニング、クィア)、+(その他の多様なセクシャリティ)ととても幅が広い。
Xジェンダーでパンセクシャルな僕は+に含まれます。
LGBTQ+ってひと言に言っても、本当にいろんな人が含まれているんです。


マイノリティとカテゴライズ

性的少数者、セクシャルマイノリティとして暮らしてきて、特に自分がマイノリティであると気付いた頃は自分が何者であるのかというカテゴライズを探そうとしていました。
カテゴライズ出来るということは自分と同様か近しいセクシャリティの人がいるということであり、「自分以外にも同じセクシャリティの人がいる」というのはとても安心出来ることです。「男」「女」もしくは「異性愛者」というマジョリティが属するカテゴリーに当てはまらなかったからこそ、自分をなんらかのカテゴリーに当てはめたいと考えることがあります。(そうでない人もいらっしゃるので必ずしも全員ではありません)
セクシャリティに対し理解が進み、企業などでも社員研修のひとつとして取り組むようになった昨今、社会的に「LGBT」というワードがあまりにも認知度が高く、理解してもらいやすい看板になっています。僕自身、当事者以外に自分のことを話すときに“LGBTQ+当事者”と伝えてしまうことが多いし、その方が言われた相手もわかりやすいだろうなぁなんて考えてしまっています。
実際のセクシャリティがXジェンダーのパンセクシャルであっても、カムアウトしない相手や公に対しては、身体の性である女性として生きてきたので「女性のパートナーがいる」だけを伝えてしまうとレズビアンに見えるでしょう。学生時代、男性とお付き合いしていた頃を知る人にはバイセクシャルに見えると思います。その時に相手に知見がなければXジェンダーの…パンセクシャルで…と言うよりは「LGBT当事者」であるとした方が認識してもらいやすいと感じ、思わずそのわかりやすさを選択してしまっています。
そのせいか「LGBT当事者」という言葉が前述の通り本来その4文字では足りない程、多様なセクシャリティをひとまとめにする言葉になってしまっていて、これから理解していく当事者以外の層にとっては、クエスチョニングもXジェンダーも「LGBT当事者」なんだなと感じることが少なくありません。


“LGBTQ+向け”が“自分向け”じゃなくてもいい

範囲が広くてわかりやすいことからLGBTQ+当事者向けのサービスにはよく、「LGBTフレンドリー」という看板が掲げられます。
例えば「LGBTフレンドリー」を掲げるサービスにはリクルートや住宅の仲介業もあります。

最近、賃貸住宅における「LGBTフレンドリー」に対して「ペット可と同じ扱いをされているように感じる」という旨の意見も見かけて正直ハッとしました。賃貸住宅業界的にはどちらかというと「二人入居可」の表記に近い考え方でしょう。しかしおそらくその意見を言った背景には、LGBTフレンドリーはあくまで「オプション」でありそのオプションを必須条件にする、物件が見つかりにくい人たちという位置づけにされたように感じたのかなと思いました。(憶測ですが)
因みに男女カップルだからといってこの「二人入居可」に必ず含まれるというわけでもないそうです。「二人入居可」は夫婦や親子、兄弟など婚姻関係もしくは家族での入居を想定していることが多く、婚姻関係にないカップルは断られる場合もあります。男女のカップルは友人同士のルームシェアと同じく「ルームシェア可」物件が対象なのだそうです。なので男女でも収入に関係なく審査が通らないこともあります。個人的にはそれもよくわからないなと思うんですけどね。よく「悪用される可能性がある」という話が出ますがそれってどうなんですかね。男女だろうが同性だろうが支払い能力があって悪用しなさそうなカップルや友人同士なら良くないですか?ほんとに悪用が主たる使われ方するのかな。
……話が逸れてしまいました。
リクルートの場合ならばLGBTフレンドリーを掲げることは福利厚生のような位置づけに感じるかもしれません。従業員のセクシャリティを尊重することが福利厚生なのはおかしな話ですね。

そういった「LGBTフレンドリー」のサービスが自分のニーズに向けられたものかと必ずしもそうではなかったりして。僕の場合身体が女性で、Xジェンダーのパンセクシャルなので同じLGBTQ+の枠組みだとしても、ゲイやFtM、MtFのサービスは僕向けではないことがほとんどです。しかしそういったサービスも広義ではLGBTQ+向けのサービスですよね。
そういう時は「自分向けではないな」と思っていて良いと思うんです。それは自分のセクシャリティ由来ではなく、自分の考え方やニーズ由来であってもです。住宅にしろリクルートにしろ、当事者でも利用したいかたも、利用したいと思わない、LGBTフレンドリーを掲げていない企業でもいいと思うかたと意見は分かれます。「LGBTフレンドリーを掲げていない企業でもいい」と考える方はLGBTフレンドリーのリクルートはニーズ外と言えます。
男女に置き換えても女性向け、男性向けがすべての女性、男性に当てハマることはないですよね。レディースセットを食べたい男性もいるし、男性客が多いお店のメニューが好きな女性もいます。そのカテゴライズに属しているのに、そのカテゴリー向けのサービスを「自分向けではない」と感じてしまうのは大きすぎる枠でのカテゴライズをした事によって生じた“ズレ”だと考えます。今回の場合は「LGBT」というワードの認知度の高さとわかりやすさ、包含するセクシャリティの幅から生まれたズレ。
ズレによって同じLGBTQ+の枠組みに属していても、ニーズ外であることが起きているのだと思います。
「LGBTフレンドリー」という看板はあくまでそれが必要な人へのサービスに付けられた、利用する当事者が傷つかないための目印だと思いましょう。


これからもっと増える「LGBTフレンドリー」

東京都が都としてパートナーシップ制度を導入して利用するカップルが目に見えて増えれば、国の同性婚導入にも近づくと思います。
そうなれば、これまで導入していなった企業や業界でもLGBTQ+カップルに向けられた「LGBTフレンドリー」なサービスは今以上に増えるでしょう。もちろんそれは喜ばしいことで、僕は増えて当然、増えるべきだと考えています。
しかし増えれば増えるほど、同時に自分向けではないサービスも増えるんです。そのひとつひとつにモヤモヤしてしまいそうなかたは、「これは自分向けではないな」と離れることが出来るようになるといいなと思います。

というか……
そもそもでLGBTフレンドリー物件もリクルートも少ない!!!!!

※絶賛転職活動中(カムアウトして働けたらいいなと考えています)

それはまた別の問題ですね。
でももっと増えてください。全然足りてませんからね!!!!!

では。



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