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オーケストラとふたりの男 チャイコフスキーとコバケン

オーケストラへの愛と独断のnote 第3弾
今回はオケに命がけの男性指揮者と、
イケメン、チャイコフスキーの話です!

小林研一郎氏、愛称コバケン。80才。
チャイコフスキー全曲を2月から8月にかけて6公演、演奏は日本フィルと名古屋フィル。

さらに別企画の演奏会や12月は恒例ベートーベン『第九』など。驚異的に体張ってます!

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チャイコフスキーはバレー組曲『くるみわり人形』や『白鳥の湖』が有名ですが、
この日の演奏は交響曲です。第1番と第4番。

写真は4/7、日フィル本番前の音出し場面。
チャイコフスキーはクラシックに馴染みのない人でも聴きやすいと言われます。

メロディが情緒的。少々陰がある、ですね。
北の大国ロシア、トロイカ、ペチカ、
極寒の地では気を抜くと死にますから。
南国ハワイアンのように楽観的になれない性分チャイコの眉間のシワに出てます。

あくまで私の独断ですが
モーツアルトは神童ですが、顔はイケメンではない。絵で判断してます。

バッハはモフモフの白いカツラをとれば、
お肉屋さんの大将か肉まん屋さん。絵で判断してます。才能は別ですよ。

ベートーベンはもはや人間というより、
魔力を持った生き物。ハリーポッターの魔法銀行の銀行員みたいな難しい顔です。絵で判断してます。

そんな中で、チャイコフスキーは違います。
あの渋い顔でドラマチックな曲を
作られたら、
たぶん女は、白鳥の湖のプリマドンナのように切ない顔して踊りたくなります。

交響曲は作った順番に番号がつきますから、
作曲者の成長も想像しながら聴けます。

チャイコフスキーの交響曲第1番は、
確かにいいのでしょうけど、たぶん半分の人は正直、途中で寝そうになったと思います。

でも!交響曲第4番、
通称チャイ4は寝ませんヨ!

(以後、字数が多いので、チャイコフスキーをチャイまたはチャイコにします)

交響曲は第1楽章〜第4楽章の4部構成ですが、
スタートからチャイコは、ぶっちぎってます!

実はこの頃、チャイコは
結婚してスピード離婚してます。そのせいか、

第1楽章から、もうラストですか?!
みたいな悲劇的なドラマチックメロディ
が、
ヌラヌラユラユラ、大きくうねります!

私生活混ざってるかのようです。
よっぽどだったのでしょう。

演奏者もうねります!特に弦楽器!
バイオリンパートが弓の動きを、全員ピタッと合わせて、全身でうねります!
(この弓の動きをボーイングと言います)

弓を下から上に、押すように弾くのをアップ
逆に上から下ろして、弾くのをダウンと言い、

この動きをピタリ合わせるのも
オーケストラには必要なこと。


アップでもダウンでも同じ音は出せますが、
誰かひとりでも逆をすると
めっちゃ変です。

だから、これは合わせる。
弦楽器はこれをちゃんとやってます。
チェロ、コントラバスもです。

オーケストラは見せるものでもあるんですね。
この躍動感に全身鳥肌
、酔わされます。

実は『チャイ4』の作曲中に、
チャイコ氏にパトロンの婦人がつきました。
お金の援助です!


パトロン婦人で、ひと皮むけたんです!
芸術にお金は必要ですよ。
精神を病むほど相性の悪かった女房と別れ、
その分、音楽に没頭したかったんでしょう。

第3楽章はピッチカートといって、
弦楽器全員爪弾きです!これ、痛そうです。

楽章の7割?くらい爪弾き。
後半は、フラメンコギターぐらい爪弾きます。あれは指、爪、痛いと思います。

で、第3楽章から、ほぼ、間が無く、
一気に第4楽章に入ります!

そして第4楽章は、とち狂ってます!
最後大騒ぎです!みんな、そんなに振り乱していいのか
⁉︎ 全部のパートが絶叫します!
ついに、むけた〜ッ!チャイコ!
気持ちよすぎます!

時々、呼吸整えて、そっと
肌を撫でてくる時間ありますけど、
すぐに攻撃してきます!

シンバル、それまでずっと座ってたのに、
ここの存在感半端ないです、叩きっ放し。
あの担当の方、耳大丈夫かな?笑
第四楽章のラストは、
エクスタシー オブ ジョイです!!


昔、この名前のバスクリンが出て、
すぐ消えました。
家庭浴用品の名前にはまずかったのでしょう。

でも思春期だったわたしには
しっかりプリントされました。
チャイ4は、痛みも伴う、
エクスタシー、オブ、ジョイです。

演奏後にコバケンさんの自由なトーク。

「この時期に、こんなにお客さまが入ってくださったんですけど、
(小さな声で) いいんでしょうかねえ」


それは誰にたずねているのですか、笑。

協賛各社の名前を言い始めたのですが、
途中からわからなくなったのか、
面倒くさくなったのか、

あの、僕はあまりよく知りません、で、
終わらせちゃって、ウケていました。さらに

「まさか、こんな時ですから
アンコールは考えてなかったんですけど、
こんだけお客様が残ってくださって、日フィルさん・・・あの、
・・・嫌でしょうけど・・・
第4(今演奏した曲)の最後だけ
もう一回やっていただけませんか?
どうです?」

と言って、コンマスの顔色を見ている。
観客大ウケです、正直ものです、笑

そして…いきなし!!!

フィニッシュ直前のエクスタシーの絶頂から
始める日本フィルハーモニーオーケストラ。
素晴らしいプロ根性です!
日フィルあっぱれ〜!

クラシックって堅苦しく敷居が高く思われますが、楽しむこともできます。

私のオーケストラnote、あくまで独断自分好みの内容ですが、ぜひまた次回もお楽しみに。

最後に第4番の第4楽章、カラヤン指揮ベルリンフィル1973年演奏。世代的にはコバケンさんの先輩世代の指揮者。ドイツ版の絶叫です。


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