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新米オーナーズストーリー archive

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雑誌『料理通信』2006年6月の創刊号から14年続いた連載〈新米オーナーズストーリー〉。自分の店を持ったばかりの店主たち、その店づくりに関する物語です。 全149回からセレクトし… もっと読む
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記事一覧

ビスポーク/東中野

ビスポーク/東中野

飲食店には、世の中の事情が直撃します。そして料理人の道を選んだ人は、働く店の一喜一憂に翻弄されることになります。
不景気、震災、といった事情で職場を失った野々下レイさんは「二度とクビになりたくない」から自分の店を構えました。
2014年4月号の『料理通信』新米オーナーズストーリーは「ビスポーク」。2012年2月22日に開店した、東中野のガズトロパブです。
当時は人通りの少ない寂しいエリアで、その年

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蕪木/浅草橋

蕪木/浅草橋

蕪木祐介(かぶきゆうすけ)さんが「蕪木」を開店した2016年は、海外からやってきたコーヒーカルチャーと、ビーン・トゥ・バー(カカオ豆から一貫して自社で製造するチョコレート)が席巻する世の中でした。
けれど、蕪木さんの出自は日本の喫茶店であり、日本のチョコレート。
彼は珈琲豆の焙煎士で、チョコレート職人で、喫茶店店主です。

外の世界がどうあろうと、自分の内面から生まれるものを軸につくられた「蕪木」

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L'AS/CORK /南青山

L'AS/CORK /南青山

2012年の開店当時、「L'AS(ラス)」は料理誌をはじめ、ありとあらゆる雑誌に掲載されたんじゃないかと思います。
なぜそんなに注目されたのかというと、大阪「ラ・ベカス」、東京「コート・ドール」、フランス修業を経て「カラペティバトゥバ!」を成功に導いた兼子大輔シェフへの期待感。
そして、彼の表現した「フランス料理店」が、日本では見たこともない世界だったからです。
厨房とフラットにつながる客席、引き

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ペレグリーノ/恵比寿

ペレグリーノ/恵比寿

自分は、何のためにこの仕事をしているのか。
コロナ禍では多くの人がこの言葉を口にしましたが、イタリア料理店「ペレグリーノ」の高橋隼人シェフから聞いたのは2015年。
2009年に開業した西麻布から恵比寿へ移転した、新米オーナーズストーリーの取材(料理通信2015年9月号)でのことでした。
「うまいものを作りたい」
答えは非常にシンプルなんですが、彼はそのために「土地を買って家と店舗を建てる」という

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SUPPLY サプライ/幡ヶ谷

SUPPLY サプライ/幡ヶ谷

2019.1.23 OPEN
「隠れたくない!」

 車がビュンビュン走る甲州街道に、冴え冴えと浮かぶ真っ白な暖簾。やや頼りなさげな、とぼけたような、浮遊感のある筆致でSUPPLYと書いてある。
 横長の店の幅いっぱいに全面ガラスのサッシ。
 カウンターにからりと並んだ背中。
 ラーメン屋?
 いや違う。お客はみんなナチュラルワインを呑み、イタリア料理をつまんでいるのだから。

「見え過ぎるくらい

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COFFEEHOUSE NISHIYA/渋谷

COFFEEHOUSE NISHIYA/渋谷

2013.9.17 OPEN
「町のコンシェルジュになる。」 雨の日、カラフルな傘の群れが、大きな窓の外を流れていく。近所の女子高生たち。店の中から西谷恭兵さんが手を振ると、いくつかの傘が気づいて振り返し、後から後から “交信”が連鎖した。
「通学路なんですよ。彼女たちはお客さんじゃないけど、毎日こうしてる」

 バールである。
 でも「日本で、BARと書いてバールと読む人が何人いる?」とあえて「

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デポーズィト バガーリ/三軒茶屋

デポーズィト バガーリ/三軒茶屋

飲食店を営む理由も、道のりも、店主の数だけあっていい。
連載「新米オーナーズストーリー」を始めてから12年後、『料理通信』2018年8月号のvol.130で、あらためてそのことを教えてくれたのが、イタリアワインバー「デポーズィト バガーリ」店主・佐久間努さんです。
飲食店は、訪れる人の存在を肯定してくれる場所。そんな店を作るための第一歩が、なぜか職業訓練校でした。大学を出て出版社に勤めていた28歳

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ペルテ/千葉・稲毛

ペルテ/千葉・稲毛

『料理通信』2019年10月号の第141回は、ナポリピッツァと南イタリア料理の店「ペルテ」。店主の鈴川充高(すずかわ・みつたか)さんは、ナポリピッツァの選手権「カプート杯」日本大会2018で優勝し、世界大会にも進出している職人です。すごいことです。そんなタイトルホルダーが、しかし都心ではなく千葉にお店を出すということに『料理通信』編集部と私は強く惹かれました。
これまでは、タイトルを獲って都心で華

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梅香(メイシャン)/神楽坂

梅香(メイシャン)/神楽坂

2008年12月、姉妹で営む可憐な名前の中国四川料理店「梅香」が誕生しました。
当時、女性料理人の独立は圧倒的に少なく、中国料理となればさらに希少。編集者と私はすぐ食べに行き、その場で取材をお願いして、翌年4月発売号の『料理通信』新米オーナーズストーリーに掲載させてもらいました。
今でもはっきりと憶えています。開店直後のまだ無名の店にもかかわらず満席、そこにいる全員がいい顔をしていたこと。
よい香

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ロマンティコ/白金台

ロマンティコ/白金台

2006年7月号。『料理通信』創刊号であり、新米オーナーズストーリーvol.1は白金台のイタリア料理店「ロマンティコ」でした。
シェフの中山健太郎さんは、日本におけるイタリアンがまだ「東京の知る人ぞ知る新しい料理」だった1980年代から修業を始め、研修機関のICIF(イチフ)1期生として1992年に渡伊。シェフとして多くの料理人も育ててきました。
その中山さんが独立したのは2005年12月、38歳

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コンフル/駒沢大学

コンフル/駒沢大学

渋谷駅から延びる田園都市線のベッドタウン、駒沢。大きな公園があって、昔から住んでいる戸建ての住民も、新しいマンションに越してきたファミリー層も、一人暮らしの人もいる。
この町に「コンフル」が開店したのは2008年9月、リーマンショックの年でした。『料理通信』では2009年9月号に掲載しています。
「コンフル」の取材は、私の記憶にひときわ深く刻まれています。2004年頃からみんなの心に芽生えていた「

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メッシタ/目黒

メッシタ/目黒

2011年4月、東日本大震災の翌月に開店した小さなイタリア料理店「メッシタ」。目黒駅からバスに乗るというはなはだ不利な立地にありながら、オーナーシェフ、鈴木美樹さんの料理はやがて、熱狂的に支持されていくこととなります。
5.19坪9席の店は深夜までフル回転。その中でともに働いていたお父さんは引退し、彼女も「料理人を続けていく」ための働き方を模索して、店の在り方はどんどん変化しました。「メッシタ」は

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SALUMERIA 69/成城学園前

SALUMERIA 69/成城学園前

今やさまざまなイベントで、DJがレコードを回すように生ハムを切っている新町賀信さん。そのフリーな生ハム職人の拠点は成城学園前にあります。選りすぐった生ハムやサラミを切り売りし、同じテーブルに載せる食材やワインも揃えた店「SALUMERIA 69(サルメリア ロッキュー)」。そもそもは練馬区で2005年に開店、2011年2月に成城学園前へ移転しました。
『料理通信』の連載「新米オーナーズストーリー」

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トラットリア シチリアーナ ドンチッチョ/渋谷

トラットリア シチリアーナ ドンチッチョ/渋谷

OPEN→2006.10.30前回「ロッツォシチリア」の店主2人が出会い、ともに育った店。
渋谷「トラットリア シチリアーナ ドンチッチョ」は、東京にシチリア料理の楽しさを教えてくれた石川勉シェフにとって再出発の店でもあった。
前店の閉店が急遽決まり、解散。それぞれの8カ月を経て、再び全員が集結したのが2006年10月のこと。
石川シェフはベテランながら初めてのオーナーシェフ、ということで『料理通

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