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「自分にもできた。だから、誰でもできる」てな発言を信用しすぎない

6月開講の「ライターサバイバル講座(基礎編)」についてアレコレ思索を巡らせつつ、企画のタネや雑感を書き付けているネタ帳を繰っていたのですよ。そうしたら「あー、そういえば前に、こんなこと考えていたな」という話題を見つけたので、深夜の謎テンションでまとめてみました。

■それ、アナタだからうまくいっただけなのでは?

「オレ/ワタシでもできた。だから、誰でもできる」みたいな発言は素直に受け取りすぎないほうがいい。要は生存者バイアスにダマされるな、という話です。

売れてるライターさんのなかには「自分は出版や広告の出身でもないし、ライター講座みたいなところで教わったこともない」「見よう見まねでどうにでもなる」「ブログやnoteで好きなように書いていれば、活路は開ける」「結局は好感度(人間性)の問題」なんてことをおっしゃられる方が少なからず存在します。

「なんとなくやってきただけで、自分はいまの地位を獲得できた。ゆえに、余計なことは考えなくていい。ジタバタするな。学びや出会いにムダなコストをかける必要もない。そのままで、誰しも自分のようになれる」と。いや、ライターの世界にかぎった話じゃないかもしれません。どんなジャンルにも、その手の発言をする御仁がいたりするものです。

その方にとっては「事実」なのでしょうから一概に否定はできないのですが、「それ、アナタだからうまくいっただけでは?」「たまたま運に恵まれた結果でしょ?」というケースも多分にあるので、注意が必要です。

もともと文章センスや言語感覚が抜群で、独特な視点や耳目を引きそうな物・事を見極める嗅覚を持ち、対人スキルも高く、フットワークも軽い人……つまりは、元の性能、ポテンシャルが高かった人が、よき人との出会いやタイミングにも恵まれ、売れるべくして売れただけ。そのような御仁の説く「誰でもできる」がいかに信用ならないか、いうまでもないと思います。

■「誰でもできる!」の再現性、本当にあるのかな

たしかに「誰でもできる」「誰でもなれる」という言葉は、新しいことにチャレンジしたいけどなかなか踏み出せない人、少しでも楽をしたいと考えている人にとっては福音として響くかもしれません。ただ、それはごく一握りのハイパフォーマーが唱える「できる」に過ぎず、実際は著しく再現性が低い可能性があります。

もしくは、本当は陰で努力を重ねてきたけど、その姿を偉そうに披瀝するのは恥ずかしいので、ポーズとして「誰でもなれるよ。大したことないっスよ」と、かぶいているだけの可能性もあります。なかには、悩める人を一時的にでも楽にしてあげたい、という親切心から「誰でもできる」といってくれている場合もあるかもしれません。いずれにせよ、額面どおりに受け取ってしまうのは軽率でしょう。

■「売れている」の背後には、ちゃんと理由がある

少なくとも、一定程度のトライ・アンド・エラーを重ねて、経験や知識を獲得してからでないと、芯を食った思考や成功率の高い行動は、なかなか選択できるようにならないもの。経験にも知識にも乏しいのに短期間で売れているとしたら、その人は「神に愛されているレベルの、稀有な豪運の持ち主」もしくは「ただの天才」です。あなたは、そういうタイプの人間ですか? 違うなら、裏ワザやラッキーパンチばかり求めるのをやめて、目の前の課題に粛々と取り組むしかありません。

加えて、ひとつ確実にいえるのは「売れている人は、ちゃんと理由があって売れている」ということ。どうすればより多くの仕事、稼ぎのいい仕事を獲得できるか。どう立ち回れば自分の存在感や価値を高められるか。売れている人は、得られる利を最大化するため、スピード感を持って抜け目なく立ち回っているものです。そのさまを見て「ケッ、腹黒い計算野郎が」「うまいことやりやがって」と罵るのは簡単ですが、結局は嫉妬にすぎないでしょう。

周到に計算できること、目端が利くことも才覚のひとつです。誰にでも容易くできることではないので、むしろ参考にできる部分は素直に学ばせてもらい、少しでも自分の糧にするほうが賢い。

それに、売れている人は往々にして、睡眠時間を削りながら膨大なアウトプットを生み出していたり、コミュニケーションコストに糸目を付けず、誰にでも気軽に会って関係値を深めたり、なにか頼まれれば「喜んで!」と選り好みせず引き受けたり、リスクを承知で難易度の高いミッションに取り組んだり……といった努力や挑戦を怠りません。一見、調子よく、苦労もなく、お気楽そうに過ごしているように見えても、陰ではちゃんと「やるべきことをやっている」ものです。

■希望は捨てない

翻って「やるべきことを、怠りなくやる」「学び続ける」を職業生活において愚直に遂行していけば、より質の高いアウトプットが生み出せるようになり、巷間いわれるところの「売れている人」「ちゃんと稼げている人」になれる蓋然性を高めることができる、ともいえます。もしかしたら、自分が期待する以上の成果、評価が得られるかもしれない。そう考えると、希望はありますよね。

ここまで書いてみて「生存者バイアスにダマされるな。でも、希望は捨てるな。頑張ろう」という極めてベタな結論に落ち着きました。

みんな悩んでいる。みんな苦労している。みんな失敗している。みんな努力している。

そういうものです。

──なんていいながら、今日も自分を鼓舞しているわけですが。

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