花は咲く 人は歩く よるのなか

月にあたって、草は青く光る
暗がりに真っ白な花が群れて咲いてた
重なりあった白い花弁は
薄い闇に透けて
あでやかにそこに在った
命を結ぶときを密やかに待って

しんしんと夜は冷えていく

人は夜道にふろしきを広げて
星をかき集めた
何万年も何光年も前の、光の痕跡

わたしはわたしの気配を追って
ただただ歩いた
そうして月あかりにくるまれた
いくつものやさしい夢をみつけた

夜は深みを増していく
濃紺の空は宇宙へのびる

月は太陽をやさしくいなして
地球に光をこぼした

そして人は夜を吸い取るように
歩きつづけた

.

.

.

高校3年のとき学校に、谷川俊太郎さんを招いて「俊じいと遊ぶ会」

という会をひらくことが出来たのです。

その中の募集企画のひとつとして前日の夜、書いたもの。

俊じい に 読んでもらえて、このしと はしあわせだったな、と思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?