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クリスマスマーケットは縁日だ

12月25日、クリスマス。

社会人になると12月末というのはバタバタしていてゆっくりクリスマス気分を味わう間もないことが多い。
そんな忙しい社会人にとって有難いのが、町中がクリスマスムードに包まれていることだ。わざわざクリスマスらしさを求めてどこかへ行かなくても日常を過ごすだけでお祭りムードが味わえてしまう。
例えば通りかかったショッピングモールの入口にクリスマスツリーが飾ってあったり、道端の家が素敵にライトアップされていたり、喫茶店で流れるBGMがマライアキャリーだったり。

クリスマスはすごい。
ムードのおこぼれを貰うだけでも、なんだか気分が上がってきてワクワクしてくる。町中が独特の祭りムードに包まれるこの時期が私は好きだ。

そんなクリスマスの祭りムードを味わうことのできる場所の一つにクリスマスマーケットがある。
元々はドイツやオーストリア中心に始まり、今ではヨーロッパ全土に広まっている。
私はそんなクリスマスマーケットにまだ学生の頃に行ったことがある。まだ10代で、イギリス留学中の話だ。
近年は日本でも大規模なクリスマスマーケットが開催されており賑わいを見せていると聞くが、その当時は私の育った街にはマーケットが来ておらず完全に旅行ガイドや旅サラダの中でだけ見る存在だった。
期待に胸膨らませ、友人に連れられるまま、いざバーミンガムへ!


着いた瞬間の感想はま、眩い…!そして人が多い!である。
クリスマスツリーだけでなく、露店や建物も立派にライトアップされていた。町中がキラキラ光り輝いていて、あたりを物珍しく見回していたら人波に飲まれそうになる。
今の世の中では考えられないが、大勢の人がおしくらまんじゅう状態だ。

バーミンガムのクリスマスマーケット

露店ではクリスマスの飾りがたくさん売られていて、祭りムードに飲まれた私たちはどうにも欲しくなってしまう。
「かさばりすぎないものにしろ」
という友人の妙に冷静な一言を受けて私は小さな雪だるまの飾りを買った。アドバイスをくれた本人は木製のクリスマスツリーを買っていて、運ぶのが大変そうだった。

2個買うと少し割引
どれか欲しくなりますよね

買い物を済ませ、ぶらぶら町を見物していると、ひと際大勢の人が集う屋台を見つけた。屋台で用事を済ませた人は片手にコップを握りしめている。ヒトをかき分けながら進む私たち。すれ違った人のコップからシナモンの良い香りがした。
皆のお目当てはグリューワイン(とビール)だったのだ。
グリューワインとはシナモンなどの香辛料やオレンジピールを入れたホットワインの事。
日が落ちてかなり寒さだったのであったか~い飲み物が売れるのはよく分かる。ましてそれがお酒なら猶更だろう。友人もご多分に漏れず1杯買っていた。イギリスでは飲酒OKな年齢だった私もお相伴に預かる。
甘くて温かい…。初詣で飲んだ子供用甘酒を思い出す。体の隅々までエネルギーが行きわたる感覚がする。

めちゃくちゃ立派な屋台。イッツアスモールワールドみたいである。

コップ片手に更に歩みを進めると、広場の中心に出た。
マーケットの中央の一番目立つ場所にはなんとメリーゴーランドがあった。遊園地とかで見るアレである。
ほろ酔いだった私たちは迷わずメリーゴーランドに乗ることを決めた。足元がおぼつかないわけではなかったけれど、座りやすいそり型のベンチを選んだ。

子供だけでなく大人も楽しむメリーゴーランド

動き出したメリーゴーランド。軽快な音楽と共に景色も流れていく。
飾り付けられた屋台や人の波が現れては過ぎてを繰り返す。

「なんだか…縁日みたいだよね。冬だけど」
と景色を眺めていた友人がぽつりと言った。
私はその言葉を聞いて母国の夏祭りを思い返した。
人が多すぎてはぐれそうになったり、ノリでお面を買ってしまったり、大人たちはアサヒスーパードライを美味しそうに煽っていたり。
確かにクリスマスマーケットの賑わい、空気感、人の多さは花火大会や夏祭りのそれを思い出すものだった。
「ここにはベビーカステラ、無いけどね」
と真面目な顔で付け加えた友人は余程ベビーカステラが好きだったに違いない。

人は祭りのために広場に集う。
そこには魅力的な屋台がたくさん出ていて、あちこちから食べ物の良い匂いがする。
雰囲気にのまれて余計な買い物をしてしまうことも。
お酒に酔って、上機嫌になったり。
やることは案外、世界中どこでも一緒なのかもしれない。


世界中の人に幸あれ。
メリークリスマス!



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