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グッドナイト、マミー(2022)の感想(ネタバレあり)

シネマクティフ東京支部さんでやっているPodcastの「Diggin' Amazon Prime Video」というコーナーに参加させて頂いていて、今月のお題になっているのでよろしければこちらもお願い致します。
↓こちらのPodcastではネタバレなしでお話しさせてもらっています。

リメイク元の2014年のオーストリア版は未見。

引き込まれるストーリー力

久しぶりに会った整形手術をしたという素顔を隠した母親は本物なのか?というミステリー的な所から始まって、どんどん全ての印象が変わっていき、「そういう話か、、、」と今まで観てたものが繋がるラストまでの流れが本当に面白くて、この大元のストーリーがとても強いので、ハリウッド版としてリメイクされるのも納得。

というかどの国でもリメイク可能な普遍的な面白さがあるので、Jホラー演出モリモリにして日本でのリメイクとかも出来て面白そうな題材だと思う。

出だしで予想したお話とは全く違う結末に向かっていく話運びがとにかく上手くて、限られた場所のみで進むのに、新しい展開になる度にいちいち驚きながら観ていた。

合間に入る主人公が恐れる母親像が別人じゃないか?という疑念を象徴する皮を剥いだ黒い人間の造形とか、それが襲ってくる空き家でのくだり等、シーン単位で怖いホラー表現はかなり上手いと思う。特に空き家で一旦窓の手形を見せてからのビックリ描写への流れはかなり怖かった。

エリアス

ラストから振り返ると彼が一番信用出来ない語り部であった事が分かるのだけど、子供故の不安定さに感じるバランスでもあったので、終盤までこういう話だと全く気がつかなかった。

側にいるルーカスの言葉によって母親への敵意を煽る様な展開になっていくのだけど、このルーカス自体も彼が作り出したものな訳で、自分の心を守る為の防衛術にも感じるし、本人の意思は母親を信じたいと思っていたりするので、現実逃避と過去と向き合う事の間でずっと無意識に揺れ動いている気がした。

しかし、結局そこから更により深い闇に落ちていくラストが彼にとっての唯一の救いになってしまうのが切なかった。

二回観ると、初見での彼女の情緒不安定さが全て腑に落ちる作りで、彼女がエリアスとどういう話題になった時に激情に駆られた行動を起こすのか?という部分が辛い。

彼女の仕事が何かを演じないといけない女優であるというのもラストにエリアスに話す「もう偽る事は出来ない」という内容を考えると凄い皮肉になっている気がした。

演じたナオミ・ワッツはまあ流石の演技力で怖さと人間味のバランス感覚が本当絶妙だったと思う。特に中盤で警官も話す所があるのだけど、そこの訴えかける様な表情が名演だと思った。

後、今回吹き替えを担当した三石琴乃が凄く良かった。ナオミ・ワッツを担当してる映画は多くないはずなのだけど、今回の精神的に不安定な女優という、ちょっとトゲがある話し方をする母親役にピッタリはまっていて、後半の真相を話す所とかも凄く鬼気迫る感じで素晴らしい。

あとこの舞台である家が田舎にあるのに、凄い近代的なスタイリッシュさがあって、最新ハイテク家電とかがいちいち面白かった。
特に壁に埋め込まれてボタン押すだけでコーヒー出てくるマシーンとかうらやましい。

そういえば、よく分からなかった排水溝の中にミキサーみたいのがあってスマホを入れて壊すシーンがあるのだけど、あれは何に使うなんなんだろうか、、、。

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