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No.4 | 青山のケーキ屋兼カフェダイニング「FAVORITE THINGS」の舞台裏。

2021年12月22日に青山にオープンしたばかりのちいさなケーキ屋兼カフェダイニング。美味しいケーキとフード、こだわりのコーヒーが味わえる素敵なお店です。

オーナーの江原信吾さん・麻帆さんご夫妻との出会いは、弊社が日本橋高島屋の「タッチアンドフロー 日本橋髙島屋S.C.店」に催事出店した際、お店のオープン前にエプロンを探しに来ていたお二人がNorpa.のエプロンを気に入っていただいたことがきっかけです。
(麻帆さんが着用されているのがその時にご購入いただいたエプロンです。)

取材中にも仲の良さが伝わる江原さんご夫妻に、いろいろお話を伺ってきました。

― お店を始める前は、どんなお仕事をされていましたか?

江原信吾さん
「僕はホテルで長年パティシエとして働いていました。インターコンチネンタルホテルとかリッツ・カールトンとか…。
もともとは料理人で、フランスの学校行ったりフランス料理を学んでいましたが、やっぱりお菓子がやりたくて、料理を勉強してからお菓子に戻りました。ホテルで働きながら、いつか独立したいという想いがありました。」

― 最初にお菓子の道に進みたいと考えたのは、いつ頃ですか?

インタビュー

江原信吾さん
「高校時代、母や姉の影響でお菓子作りを始め、試作を友達に食べさせたりしていました。
高校卒業後の進路を考えた時、せっかくお菓子やってたしその道に進むことにしました。

一番やりたかったのは皿盛りデザートなんですが、せっかくなら自分の店を持ちたいと思いました。
皿盛りデザートといえばフランス料理とかイタリア料理のイメージだったのでどんな店があるのかチェックした時、一番偉いシェフがだいたい料理人だったので、調理師免許欲しいしまずは料理を勉強しようと思い、大阪に行ってからフランスの学校に行って勉強し、帰国しました。

フレンチレストランで修行し、たまたま知り合いにフォーシーズンズホテル丸の内のオープンを手伝ってくれと言われ、6年間勤務しました。
最初は料理人として就職して、途中レストランのコンセプトチェンジで人がいなくなった時に、仲が良かったペストリーシェフの誘いでお菓子を始めました。

その後にシャングリラホテルのオープンスタッフとして呼ばれました。
お菓子をやろうとしていたんですが、パン屋さんが全然いなかったので経験が無くてもいいからとりあえず手伝って欲しいと頼まれ、1年間パンをやってからお菓子に戻りました。
代理シェフもやりつつ、ワインが好きだったので勉強したいなーという思いがあり、その後はハイアットリージェンシー東京の二つ星レストラン(現在は閉店)でワインの勉強をしました。

このままだとお菓子を忘れてしまうと思い、ザ・リッツ・カールトンホテルのレストランでパティシエを2年弱やってから、ANAインターコンチネンタルホテルに知り合いがいたので紹介してもらいそこに行きました。
今までずっとレストランのパティシエとしてやっていたので、「ケーキ屋さんのケーキ」は得意じゃなかったんですが、自分の苦手なところを克服するいい機会だと思い、そこでパティシエとして管理職になるまで働きました。

その後は妻の後押しもあり、コロナ禍ですがお店を始めることにしました。

今はケーキ屋兼カフェですが、ゆくゆくは得意な皿盛りデザートに打ち込みたいと思っています。」


― 奥様はどういったお仕事を?

江原麻帆さん
「私は外資系の会社(アメリカ・ロサンゼルス)で、オーディオを売る営業職でした。
その前は日本の会社にいて英語はそこまで得意じゃなかったので、英語を頑張ろうと思っていた時、語学を通じて夫と知り合いました。
せっかく結婚したし自分のお店を持つ夢を頑張って欲しいと思い、自分に何ができるか考えた時に、今までの営業の経験を活かして「今度はこの人を売りこもう」と思いました(笑」

― 店名の由来を教えてください。

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江原麻帆さん
「カフェだけじゃなくグッズを作ったりイギリスから取り寄せたポストカードを販売したり、店の細部にまでこだわっているのも、私達が好きなものや気に入ったものを見つけてお店に出して、それをお客さんが好きになってくれたらいいなという想いから、店の名前も「FAVORITE THINGS(フェバリットシングス / お気に入りのもの)」にしました。
もともと私がオーディオ関係の仕事をしていたこともあり、JHON COLTRANE(ジョン・コルトレーン)の「My Favorite Things」という曲も店名の由来に含ませています。
音もこだわっているので、お店にお越しの際はぜひそこも楽しんでほしいですね。
壁はプロジェクターを投影できる塗装しているので、ゆくゆくはそこにみんなで音楽映像や映画を投影して楽しんでもらいたいと考えています。」


― 可愛らしいロゴですね

紙コップ

江原麻帆さん
「ロゴはコンペで募集しました。
店名は決まったけどロゴをどうしようか、もう時間もないし…と考えていた時に、夫がたまたまコンペでロゴを募集できるサイトを見つけて「それやってみよう」となりました。
2週間の期限内で100件超の応募があり、その中から選びました。
製作者さんにこのロゴの成り立ちが小文字のfとtの筆記体を混ぜたようなデザインにしたと教えてもらい、いろいろ相談しながら最終的にこのデザインに落ち着きました。」

江原信吾さん
「ロゴも色々なお店のものを見ましたが、良いところって結構シンプルなデザインのものが多いんですよ。」

江原麻帆さん
「本当にそう!やっぱりシンプルな物って飽きがこないんですよ。ハイブランドから安いところまで、飽きがこないものってシンプルな字体が多い印象です。
うちのロゴも、私達が60歳・70歳になった時にも飽きのこないものがいいなと思いました。
「あの時は若かったね」って思ってしまうようなものにはしたくなかったです。

ちなみに紙コップにもロゴがあるんですけど、これ、判子を作って一個一個私が手押ししています!(笑
印刷するとお金がかかってしまうので。
ロゴがシンプルなのでオシャレな雰囲気になってくれるのが嬉しいです。」

江原信吾さん
「ゆくゆくはポストカードとかクッキー型とかも作りたいと思っています。」

マグカップ

ロゴ入りマグカップは購入も可能


― 今までを振り返って、ここまでくる道のりは上手くいっていたと思えますか?

地図

土地との出会いも運命的


江原麻帆さん
「まずこの土地が見つかったことがラッキーですね。
家がある北参道の地域もこれから盛り上がっていくだろうエリアなので、そこでもいいかなと思っていたんですが、なかなか良い所が無かったり空きが出ずなくて悩んでいる内にこの場所のお話をもらいました。

お店の近くに金王八幡宮があって、コロナの時にあまり散歩するところも無くて、渋谷に金王八幡宮ってのがあるらしいよって話になり、二人で散歩しに行きました。
それがお店を決めるちょうど一年前の9月5日。この店を契約したのが、なんと一年後の同日だったんです。

このお店の氏神様が金王八幡宮だったり、自分たちの行動範囲がほぼ金王八幡宮の範囲だったりで、なんとなくスピリチュアルを感じて、もうここでいいんじゃない?みたいな感じで決めました。」

江原信吾さん
「御朱印を集めるのが趣味なんですけど、あれ?なんか見たことあるなと思って前の御朱印調べてビックリしましたね。全然意図しなかったのにそういった偶然が重なって、不思議な縁を感じました。」

江原麻帆さん
「あとはお皿。
この店を始めるにあたって、この皿はどうしようあの皿はどうしようと迷っている時に、結局答えが家にあったんです。
以前長野県の松本に出張に行った時に雑貨屋さんで見つけた、二人で食べるのにちょうどいい小さめのお皿があるんですけど、そのシリーズを今お店で使っています。
ご覧の通り狭い店舗なのでどうしようかなと思っていましたが、家のお皿を思い出して「あ、あれでいいじゃん」ってなりました。」

江原信吾さん
「お皿探しで色々な所を巡りましたがどれもしっくりこなくて…もちろん素敵なお皿はたくさんありましたけど金額の問題が…。
そしたら、値段もデザインもちょうどいいのが家にあったんです。」

江原麻帆さん
「そのお店を調べたら渋谷のほうに事務所があって、話を聞いたら新しいカラーを販売していたので、それをお店で使うことになりました。

あと、お店の内装についてもですね。
店のレイアウトはほぼ自分達で考えているんですが、母が建築の仕事をしているのでいろいろ相談しました。
この狭い店内に、どうやってベンチを設置するかってなった時、内装業者が提案してくれなかったので母に相談したら、ベンチやテーブルのレイアウトを考えてくれました。うまい具合に母の仕事も残せたので良かったです。

私も母の影響かDIYが好きで、お金を節約するために色々自分達で作ろうかということになり、棚とかはできる限り自分達で作りました。」

テーブルとベンチ

特徴的な形のテーブルとベンチ


― もともとDIYとかインテリアがお好きだったんですね。

棚

棚も手作り

江原麻帆さん
「そうですね。そういった部分でも2人とも趣味が合っていました」

江原信吾さん
「これにしようと思ってると妻も選んでて、「あ、同じじゃん」みたいな。そんなのばっかりです(笑」


― 結婚前も結婚後もいい事がいいタイミングで起きてる感じですね

江原麻帆さん
「今思い返すとそうですね、多かったと思います。」

江原信吾さん
「付き合ってからの全部がここに集約されてたんだなぁと。
良いことも悪いことも全部繋がってきていると感じます。」

江原麻帆さん
「このNorpa.のエプロンだってそうですよ。
オープン前にエプロンをどうするか悩んでいて、適当に買ったのがあったんですけど、それだとどうなんだろうと思っていて。
たまたま2人で出かけた時、店頭でこのエプロンを見かけて「これすごい素敵!」と思いました。
一回持ち帰ろうとしたんですけど、やっぱり買う!ってなって買っちゃいました。」

店頭_2

お二人がNorpa.エプロンを購入された日、エプロン開発者が陳列の手直しのために偶然催事会場にいました。

― あのタイミングは本当に奇跡的で感動しました。

江原麻帆さん
「製作者の方と会う機会なんて、なかなか無いですもんね。」

江原信吾さん
「こういった縁ってなかなかないじゃないですか。そういう小さな縁を大切にできたらいいなと思っています。」

江原麻帆さん
「私は身長が小さいのでなかなかちょうどいいエプロンが無いんです。
Norpa.のエプロンも結構すそが長いんですけど、すごく綺麗に着られるんですよ。こういうの、なかなか無いですよ。
ここにタオルをかけるバンドがあるのもすごくありがたいです。前じゃなくて後っていうのが本当にありがたい。」

江原信吾さん
「機能美ですよね。
エプロンって仕事をしていると汚れちゃうから、なるべく営業前までは普通のエプロンを着て営業開始前に着替えてるんですけど、それでもやっぱりエプロン欲しいなと思います。
僕も買おうかなぁ。

江原麻帆さん
「一緒に着る?(笑」


特集:『Norpa.(ノルパ)』ができるまで


― お店でケーキを作る時、一番大切にしている点やこだわりは?

ケーキ

江原信吾さん
「味や食感のトータルバランスにはこだわっています。
もっと色々トッピングしたほうが良いのかなと思いつつ、あえてシンプルにしています。そこまで手が回らないというのもありますが(笑)
自分が出来る範囲で最大限を出せるようにしたいとは思っています。
お客様に美味しいと言ってもらえるように努力していきたいですね。試行錯誤の日々です。

本当はもっとポンポン商品を出したほうが売り上げ的には良いんでしょうけど、だからと言って中途半端なものは出したくありません。
たとえ売り上げが上がったとしても変な物を出してガッカリされるくらいなら、売り上げが悪くてもちゃんとした物を作りたいというのがあるので、そこはこだわりですね。「このクオリティは守りたい」というラインは必ず守るようにしています。」


― 今後目指していることはありますか?

プレート

お花で縁取られたプレート。全てチョコレートで描かれています。

江原信吾さん
「やっぱり皿盛りデザートをやりたいですね。そっちのほうが得意分野ですので! 
僕はなんというか、アレンジがきく人間なんですね。「このデザート」というのが決まっていてもその時の状況によって全部変えることが出来るんです。それが特技。

以前ホテルで働いていた時に、サービスから「こういうメッセージを書いてほしいといっているお客様がいる」という連絡があって、そのメッセージの内容が中国語だったのでスタッフに聞いたら、ちょっと度忘れしちゃったんですけどとても素敵なメッセージでした。
僕なりに何とか良くしてあげたいと思い、ルームサービスのスタッフに「中国人にメッセージを送る時に良い絵って何かある?」と聞いたら、鳳凰とかいいよーって教えてくれました。
で、とりあえずお皿に書いておけば何にでも対応できるなと思い、メッセージと絵を描いて準備しておきました。
来店されたお客様が「こうしてほしい」と言ったことをその場でバッとデザインしたらすごく喜んでくれました。
テーブルまで呼ばれて挨拶してもらって、翌日シャンパンもいただいてしまい、ホテルから表彰までされてしまいました。

他にも、プロポーズをするというお客様に「プレートの表にhappy birthday、裏にwould you marry me?と書いてほしい」と言われたんですけど、これだとケーキに乗せた時に汚れちゃうじゃないですか。
自分なりにかみ砕いてどうしたらいいか考えて、クローシュに書けばいいのかなと思いつきまして。
蓋の表に絵やハッピーバースデーのメッセージを書いて、裏側にプロポーズの言葉を書いて出したところ、これもすごく喜んでいただきました。

とにかくお客様を喜ばせることが大好きなので、このお店でもお客様一人一人に喜んでいただきたいですね。」


江原麻帆さん
「サイネージの下に何か置こうと思って、「こういったこともできますよ」というアピールも兼ねて、手描きのプレートを置きました。
今はwelcomeですが、行事ごとにハッピーニューイヤーやバレンタインなど変えていこうと思っています。お楽しみに。」


― 絵を描くのがお好きなんですね

江原信吾さん
「そうですね。最近全然描いてないですが、油絵とかも独学で描いています。
デザインすることと発想することが好きです。
いつも感覚で作っているので、人に教えることは不得意ですが…。」


― オープンしてから今日までいかがですか?

ケーキ2

江原麻帆さん
「近所の方に愛されるお店になりたいっていうのが大きいです。
お隣のおじさんが「ボウリング仲間が来たからケーキちょうだい!」と買ってくれて、ついでにコーヒーもいっぱい買ってくれたので、お盆持っておうちまで持って行ったりだとか、ご夫婦で良くお散歩されている方がお店を気に入ってくれて、応援したいからとしょっちゅう足を運んでくださったりだとか。
そういう出会いが良いですよね。長く愛されるお店にしたいです。」


― 今仕事していて、一番楽しいことはなんですか?

江原麻帆さん
「やっぱりお客様が喜んでくれることですね。
最近試食を出しているんですけど、ランチどうしようかと迷っている人に渡すと「おいしい!」と言ってもらえたり、「今日はもう食べちゃったから、次来た時に寄ります!」と言ってもらえたりして嬉しいです!」


― 同じ道を目指す人へのアドバイスやメッセージをお願いします。

江原麻帆さん
「やらずに後から「あの時にやっておけばよかった」と後悔することが一番嫌いなので、だったら一回やってみて、失敗したら失敗したでいいじゃん、と思います。
やらないままおじいちゃんおばあちゃんになったら、なかなかできなくなってしまいすからね。
とりあえず今やってみて、ダメだったらコロナのせいにでもしてしまえばいいんですよ!
ダメでも立ち直る力があるんだから、じゃあやったほうがいいんじゃない?と思います。」

江原信吾さん
「失敗を恐れないことが一番ですね。
後輩たちもお菓子を作る時、最初はやっぱり怖がるんですよ。でも失敗しようが成功しようが、一回作ってみろって言っちゃいます。
僕が教えてもいいんですけど、とりあえず作ってみろと。
結局作ってみないと、やってみないとわからないところが多いので、そこは恐れずにどんどんやってみてほしいです。
誰だって最初は怖いので、そこを乗り越えてチャレンジしてほしいですね。」

江原麻帆さん
「やってみないとわからないことって、やりながら勉強することもいっぱいあるんです。
お店づくりを始めるまで町で何気なく見ていた物が「あ、ここってこんな物使ってるんだ」とか「これってこうなってたんだね」といろいろ勉強できて楽しかったです。
人生ってやってることが変わると同じ世界でも見方が全然変わるんだなと感じました。」


― ありがとうございました。

バレンタイン

取材後、プレートがバレンタインデー仕様に。


―取材を終えて

江原さんご夫妻との出会いは、弊社が日本橋高島屋の「タッチアンドフロー 日本橋髙島屋S.C.店」に催事出店した時。
エプロンを探しに来ていたお二人が、Norpa.のエプロンを気に入っていただいたことがきっかけでした。

お話をする中で見えたお二人の失敗を恐れない前向きな人柄、「お客様を喜ばせたい」という真っ直ぐな想いは本当に素敵でした。

お二人のお気に入りとこだわりがつまったお店・FAVORITE THINGS。
お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。


店舗情報 

店頭2

FAVORITE THINGS(フェバリットシングス)
東京都渋谷区渋谷2-3-2 シグマAGビル 1F
TEL:03-6820-2724

【アクセス】
東京メトロ銀座線/ 表参道駅  徒歩7分
JR山手線/ 渋谷駅  徒歩10分
東京メトロ銀座線/ 渋谷駅  徒歩10分

【営業時間】
11:00〜20:00
定休日:日曜日・月曜日

・Instagram:https://www.instagram.com/favoritethings.tokyo


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