「職業:自分」は、アーティストなのか?(前編)【PhilosophiArt+】
こんにちは。成瀬 凌圓です。
今回は、パブロ・エルゲラ『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門 アートが社会と深く関わるための10のポイント』(アート&ソサイエティ研究センター SEA研究会 訳、フィルムアート社、2020年)を読んでいきます。
ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)とは
ソーシャリー・エンゲイジド・アート(以下、SEA)は、社会と芸術の関わりを重視した新しいアートです。
それまでのアート(写真、絵画など)に必要とされた理論や、それまでの歴史は役に立たない、とこの本の著者パブロ・エルゲラ氏は述べています。
SEAに必要なのは、「芸術以外の分野から知識を集めること」にあります。
教育学や文化人類学、社会学などの知識から、アーティストが関心を持ったものでカリキュラムを構成すべきだと主張しています。
今回取り上げたこの本では、教育のツールを使ったSEAの実例がいくつか紹介されています。
さまざまな分野との関連を説明するためにも、哲学者や美術評論家などが紹介されています(もちろんアーティストも多くの方の名前が登場します)。
アートとはほとんど関わりはないけれど、SEAを考えることで哲学とアートとのつながりを、アートの方向から考えるヒントになるかもしれない。
そう思ってこの本を手に取りました。
著者 パブロ・エルゲラ氏について
パブロ・エルゲラ氏については、この本の[著者紹介]を一部引用します。
「アーティスト」という肩書きではありますが、多くの関心からアウトプットし続けている姿勢が、「職業:自分」を目指す自分と重なりました。
自分も多くのことに関心をもち、自分らしい形でアウトプットしたいと考えています。
そのヒントをこの本から少し学んでいこうと思います。
SEAには敵がいる?
この本にはSEAのポイントが10個書かれています。
僕はその中で、「Ⅵ Antagonism 敵対関係」と「Ⅸ Transpedagogy 超教育学という視点」の2つが気になりました。
今回は、「Ⅵ Antagonism 敵対関係」について考えていきます。
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