塗里 淳

雑文家。介護エッセイスト。家族の目からみた介護エッセイ・日記をnoteで公開しています…

塗里 淳

雑文家。介護エッセイスト。家族の目からみた介護エッセイ・日記をnoteで公開しています。85歳の母は血液、長女の私は心臓の難病患者。介護と難病の日々を綴ります。 📩 nanbyou.kaigo@gmail.com

最近の記事

介護diary#8 認知症と鬱

入院中の母のことで、主治医の先生からお話がありました。 これから新しく心療内科の治療が始まるとのことです。 鬱病や認知症を引き起こしている可能性ありだそうで、検査をしたり薬を調整したりに二週間ほど必要、と言われました。原因はストレス。 母の入院歴はトータルで2ヶ月あまり。この2ヶ月間のストレスは、ものすごく大きかったことと思います。まず環境がせわしなく変わっています。 手足がしびれて動かず緊急入院、そのまま寝たきり状態になり、くわしい検査のため他の病院に転院してからまた

    • 介護essay#7 だいじょうぶの魔法

      「アナタ、身体は大丈夫なの?」老母がふと、私を気づかう言葉をかけてきます。私は心臓の難病患者。介護をしながら大学病院で定期的な診察を受けています。 ドラマや小説の主人公なら、ここで「大丈夫、私のことは心配しないで」と笑顔で答えるところです。しかしある日、駅で心臓発作を起こし倒れる主人公。それを知った病床の母は感謝と後悔の涙を流す―そんな「ストーリー」に乗るのがふつうな気がして、つい「大丈夫」と答えたくなります。 年老いた親が心配くれるのが嬉しくて、久しぶりに「子供」として

      • 介護essay#6 お見舞い失敗

        お見舞いを終えて帰りぎわ、老母から 「来てくれて嬉しい」「これからもがんばって生きたい」の言葉が出たので、「つつがなく終わった」とは言えるのでしょう。でもやはり、お見舞い失敗の一日でした。そんな話をさせてください。 平日は私が一人で電車やバスなどで行くお見舞いですが、この日は休日。夫に車を出してもらい、室内飼いの犬はペットサロンの一時預かりをお願いして、準備は万端でした。しかしこの日の私はしつこい咳風邪が治ったばかり。本当はゆっくりと休みたかったのです。 でも、もう夫も出

        • 介護essay#5 現金払い

          突然ですが銀行振込、どうされていますか。 私はネットバンキングです。 最初は「個人の預金までインターネット決済にするなんて怖すぎる」と不安だったネットバンキングですが、あまりの快適さに今ではすっかり頼りにしています。 85歳の老母は、もちろんネットバンキングなどしていません。いくつかある銀行口座はすべて「通帳、キャッシュカード、印鑑」の三点セットです。 さらに言えば、新聞代など各種振込みも銀行引き落としではなく、郵送されてくる振込用紙で支払いをする方式です。「現金が見え

        介護diary#8 認知症と鬱

          介護essay#4 私の心臓病

          自己紹介をかねて、今日は私の難病のお話をします。老母は血液の難病ですが、その母を介護する子供の私も、心臓の難病をわずらっています。 難病って、つまり何? 自分がなるまで良くわかっていませんでしたが、難病とはつまり「治療法がまだ確立していない病気」のこと。たとえば私の場合、心臓移植しか完治の方法がありません。 「心臓が悪い」というと、いきなり「ウッ」と胸を押さえるシーンがドラマや漫画に出てきます。「お願い、バ、バッグの中の薬を・・・」と突然苦しみだし、タイミング良く薬を飲め

          介護essay#4 私の心臓病

          介護essay#3 老母の庭

          梅雨入り前。誰も住まなくなった実家の玄関先に、白いアジサイが咲き出しました。この家に一人で暮らしていた母は春先に倒れ、入院中です。病院へ届ける細々した品を袋づめして家を出ると、さっきの白アジサイが再び目に止まります。丸んまるの球型ではなく楕円形の、茎と花弁の間に遊びがある風情に、ふと心がなごみます。 「ちょっと可愛らしいでしょう」ー よく母はそう言っては、実家の庭に咲く花を切って、おみやげに持たせてくれました。一輪切って病室に届けたら、喜ぶだろうな。頭をよぎりますが、病室の

          介護essay#3 老母の庭

          介護essay#2 老母の転院

          夕方、主治医の先生から携帯に着信があり「いきなりですが明日、お母様が転院します」とのこと。 「つきましては、ご家族の方(私)は明日の朝9時には転院先の病院の救急外来に行きスタンバイして、搬送されてくる老母と合流し入院手続きをしてください」というのです。 即決で「はい、行きます」と答えたものの、うーん・・・・先日から咳が出始めて体調が良くないなかの緊急呼び出しは、気が(体も)重いです。 もし「いえ、体調が悪いので行くことができません」と答えたら、どうなるのかしら。 おそ

          介護essay#2 老母の転院

          介護essay#1 特養さがし①

          現在入院中の母のために、特養(特別養護老人ホーム)さがしを始めています。 特養とは、要介護度3以上の人が入居できる老人ホームのこと。公的施設なので民間運営の有料老人ホームより低価格なのが魅力です。そんな特養の「定義」も、探し方も、これまでまったく知りませんでした。 よくわからないまま「◯✗市」「特養」のキーワードでネット検索をかけ、市町村の公式ページを見つけました。そこに載っている情報だけでも、最初のとっかかりには充分でした。 最初の条件 特養さがしの最初の条件は2つ

          介護essay#1 特養さがし①

          介護essay#0 介護が始まりました

          はじめまして。老母の介護が始まったのをきっかけに、日記がわりに note を始めることにしました。 私は今年60歳の誕生日をむかえる、三人きょうだいの長女です。下に弟と妹がいます。私もきょうだいたちも全員結婚しており、すでに母のいる実家を出て別の町で暮らしています。 母は85歳、父が亡くなってから約20年間ずっと一人暮らしをしていましたが、今年の春に突然倒れて緊急入院しました。 すぐに退院できるだろうと思っていたところ実は血液の難病だということがわかり、あっという間に手

          介護essay#0 介護が始まりました