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七山月子の詩集

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思いつきの詩、集めました。
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#詩

(詩) モノクロ

(詩) モノクロ

酒の飲み方を覚えた、
焼けつくのど

白かったものが黒くなって
黒かったものが白くなった

煙草の吸い方を覚えた
香りに浸って

部屋中充満してる煙とアルコール度数

夜更けに話し込んだテーマなんて
明日になれば生活に溶け込んで消える

街はブルー
世界の中心に花が咲く

新しく芽吹いて
そのうち枯れるだけ

白いものが黒くなって
黒いのに白くなった

消える

消える

キスしようよ
冷めた白湯と珈琲の湯気の行き場が
どこにも無くて
軋んだ心と黙ったまんま消えた言葉
キスしようよ
笑えない昔の後悔と現実の音と光が
優しくなんてないので…

キスしようよ
サンダルウッドの香りがする部屋で
私とあなた
もう、好き なんて
言わないから笑顔曇らせないでね
買ったばかりのワンピース
靄がかかる朝日の窓越し
キスしようよ
胸にしまうと 消えていく 乳白色の煙に

ミスウェルカム

ようこそばかりの長文
陽気こそバリバリの明るい諸君
私がこの会場を支配する私だ
ようこそ馬鹿の蝶々
容器こそバリバリのおせんべいだ

よく来たねここまでと
塩をひとなめ舐めとって
よく来たねここまでと
穴倉から掘り出した宝物とって

私は今からすることを
ようこそ君に見てもらいたい
だがしかし 風が吹く
ひゅるうりひゅるり
風が吹く
そうすりゃもう終わりの果ての最後の決戦場となる

おまえがおまけ

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古い曲をかけて

昔、父親がくれたビリーホリデイかけて

廃れた喫茶店が好きだったあの頃に戻ってみたい

強く襲う倦怠感に守られながら

もう必要のない怠惰性

今心から今ここからと今ひとついまいちパッと来ない

友人からも親からも夫からも甥からも兄からも兄嫁からも

つまんない人ね

とだけは言われたくなかったけれど

つまんなくない古い曲 昔のままそこにある音楽

鳴くビリーホリデイの胸に迫る声

私はつまんな

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あい

あいうえおあい
亜衣は愛じゃない。上を相手飢えて終わり。

アイウエオアイウエオ

馬鹿みたいに繰り返すくらいなら
馬鹿になって繰り返さないことの方がいいと
思ったけど
そうでもなかったのかなーと
あなたを見たら
これでよかったんだーと
思った。

あなたに会えなかったら死んでたし
あなたに会えたから生きてるんだ

あなたが居たからこうして居られるし
だからあなたが死んだらと思うともうだめだ

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宴会

明日があるから今日ねむるのか
眠いからねむるのか
睡魔が居るのか居なくてもねむるのか

襖の隙間和室に光にぎやかな宴会こどもは眠れ

明日があるから今日ねむるなら
あの大人たちは明日がないのだ

無理やりハッピーエンドにしてんじゃねえよ

無理やりハッピーエンドにしてんじゃねえよ

母が死んで
彼女は幸せだったのだろうかと考えたら
わかるわけないのに泣いてる彼女の顔が浮かんだ
そっか、母は幸せな一生を送ったんだ。
誰かが言ったからそう決めつけて
彼女の生活が全然思い出せない
どちらかといえば夢に出るのはドライアイスの上の彼女ばかり
死んでるくせに笑ってんじゃねえよ
痛みが脳内物質のなんちゃらのおかげでたぶん気持ちよくって笑ってるあんたの最期の顔
みんな幸せだって決めつけてたよ

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愛してるのあー

愛してるのあー

愛憎に愛雑煮こんで食べちゃって
愛雑煮愛憎煮込んで食べちゃって
あんたの毒廻りが悪いから
ナイフ一月研いじゃって
あんたの毒魔話りが割るいから
ナイフ一突き飛んじゃって
血飛沫あぶくになっちゃって
ひとつも美味しくなくなあれ
血飛沫あぶくに死んじゃって
ひとつもたのしくなくなって
アレルギーの夜が迷いごと
あれ?ルビーの指輪が真宵ごと
逢瀬を続けた浮気の果ての
愛憎煮込んで食べちゃった