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もう、金曜の夜は嫌いじゃない。

以前会社員として働いていた頃、私は金曜の夜が嫌いだった。

理由は、月曜日がきてしまうから。

金曜日がくれば、土曜日、日曜日はあっという間に過ぎてしまって、また月曜日が来てしまう。

月曜日がくれば、また5日間職場にいかなくてはいけない。

そんな思考になっていて、病んでしまいそうでたまらなかった。

優良企業という場所

会社は優良企業で、終業時間は17時30分。8時間きちんと働いていれば、ほとんど残業はない。前職から年収は上がって、時間的にも経済的にも生活に余裕ができていた。

でも、とにかくつらかった。

紙ベースの仕事が中心で、慣習のような決まり事が多い職場。新しいことを提案しても「わかっていない」と笑われるような環境。がむしゃらに頑張ると、余計なことをしているというように白い目で見られるような感じ。

行動できないことのつらさ。

なにか余計なことをすると、悪口を言われるような環境だったし、悪口を言われていることを教えてくれる先輩もいた。

そんなことに屈したくなくても、10人規模の職場の小さな世界では、その常識に従うことが最善だと思っていた。

私にとって初めての事務職で、わからないことが多かったから気が利かなかったのも事実だと思う。特に女性の上長は私の行動が気に入らなかったようで、何かにつけて厳しい言葉を投げかけられた。

「何を頑張っているの?」

入社2年目に入ってすぐのころ、会社の目標を達成したインセンティブが出て、その部署にいた女性6人で仕事帰りに食事に行った。

そこで、酒に酔った上司に「あんたは何を頑張っとるん?なぁんも頑張っとらんやん」と大きな声で言われた。他のお客さんもいる、おしゃれな小さいお店の中で。強い口調がストレートに響いた。

「頑張ってます」と小さい声で答えたけれど、ますますヒートアップする上司。止まらなかった。

実際、私はそのとき職場で初めて資格を取得していて、頑張っていたはずだった。そう思っていたのもよくなかったのかもしれない。

怒鳴られ続けている間、先輩たちはだれひとり助け船を出してくれない。それどころか「そういうところあるよね」と同意する先輩までいた。大きな声で言い返せない自分が悔しくて涙が止まらなくなった。

家に帰っても心臓の脈打つ感じが収まらなくて、家から20分くらいの距離にある大きな公園まで歩いた。公園には池があってその周りを何周したかは覚えていないけれど、0時を過ぎた頃に街灯が消えてしまったのは覚えていて、気がついたらちゃんと家に帰っていた。

考えれば考えるほど理不尽で、なんでこんなにつらい気持ちになっているんだろうという気持ちは溢れてくる。

それでも、そんなことで辞めたくはない。仕事の態度が原因でないなら、仕事以外の部分を進んでやってみよう。次の日から自主的に始業前の掃除を始めた。

仕事以外のことも頑張ったから、その期間で少しは気の利く人になれたかもしれない。そして上司の風当たりが弱くなって、なんとか前に進めるようになった。

その後も2年ほど仕事に向き合った。仕事を通じてたくさんの人と出会い、勉強になったし、この仕事をしていて良かったと思えたこともあった。

上司の言葉はいつまでも頭に浮かんできていたから「今、私は何を頑張っているのか」を、自問自答しながら仕事をできたことも大きかったと思う。ただでは転ばない、という気持ちもあったかもしれない。

でも自分が進めていないような感覚は残っていて、もっと個人の力をつけられる仕事につきたくて転職した。あと20年その場所で働くことは違うような気がしてしまっていたから。

それで、また変な会社に入ってしまったのだけれど。

だれかを助けられる人になりたい

今書き出してみても、上司に理不尽に怒鳴られている後輩に、助け船を出してあげられるような先輩でありたいと思う。わからないことはあるし、そのときに助けられるような人になりたい。

違うものには、違うといえるような人。

それには実力は必要だし、だれかを支えられるくらいの強い気持ちも必要。自分で立って歩いて、助けを求めている人に気がついて、自分から声をかけられるような人になりたい。

まだ歩き出したばかりだし、目標は遠いけれど、それでもいつかはたどり着くと思っている。気持ちは変わっていく。

もう、金曜日の夜は嫌いじゃない。

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