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本に囲まれた美容室で。

先日、髪を切った。

向かったのは下北沢。古着とバンドマンの街。

某ぼっちに優しいアニメで最近盛り上がってもいるあの街だ。

ひとがいっぱいいて気負いしたけど、かねてより気になっていたところなので気持ちはやや興奮気味。

授業終わりの贅沢と銘打って夜の下北に出陣だ。

Twitterで流れてきて気になりはじめて早三年、ようやく東京に慣れてきた(?)大学生が背伸びして訪れたのは、なんと本に囲まれた美容室

その名は文学堂美容室retri。

下北の喧騒がひといきつく一角に位置している、隠れ家のようなお店だ。

店主さん曰く、『趣味を凝縮したお店です!』とのこと。

そのコンセプトは『本を愛する人が、機嫌良く次に迎えるように』。

他の予約はなかったのか、店主さんと本好き談義に花を咲かせた。

席は3種類ほどあって、今回は窓際を選択。窓から覗く下北沢の路地はいかにもといった感じで見ているだけでも楽しい。

店主さんと一対一の会話はもはや談笑。

本好きあるあるに花を咲かせたり、お互いのお気に入りを熱弁したり、あれよあれよという間に時間はすぎていき、カットを始めたのは来店してずいぶん時間が経ったあとだ。

遅読の話、P.オースターの話。

村上春樹の話。面白いことが確定しているから読みたくないなんて変な考えを店主さんは「わかります!」と深く同意。

村上春樹がそこにあったので。

本と出会うあの楽しさ、高揚感。でもその世界にずっとひたっていたいという侘しさ、それからくる遅読。

文学の良さ、言葉の良さ。聞いてくれる存在、話し合える存在の嬉しさ。楽しかったなぁ。

カットだけのはずだったのに、気づけば3時間はいたと思う。

あまり本について喋ることがないからか、言葉が止まらない。

それこそ本読みのように。ずっとここにいたいと思わせるお店だった。

また行きたい。てか通う。いや通いたい。通わせてください。



下北沢の街並みって独特だよね。

繁華街なんだけど、どこか下町っぽさがあるというか。

詩的にいうとそれこそ侘び寂びがあると思うんだ。

それにしても久しぶりだ。最後に来たのはいつだろう。

夏初めに、友達の引っ越しを手伝って、その帰りにみんなで渋谷でラーメン食ったよな。

ほんとうは夜の下北沢を練り歩きたかったんだけど、その日はみんなして現金を忘れてて、結局渋谷まで足を伸ばすしかなかったんだよね。

久しぶりにみた地面のゴキブリ(早く絶滅してくれ)、シメを求める飲んだくれ。

地べたであぐらをかく舞台役者に憧憬を抱いたのはいい思い出だ。

ちょっと駅も綺麗になっちゃって、昼はデートスポットになんかもなる。

冬の下北は打って変わって肌寒い。

けど相変わらずわかりやすいくらいの喧騒が心地よいほど各所に散らばっている。

ここにいる人間はみんなケタケタと気持ちよく笑う。

イルミネーションみたいなネオン字、夏のときにいたアスファルトにあぐらを描くバンドマンはいまは厚底ブーツを光らせて待ち合わせをしている。

ラーメン屋には人が並び、サラリーマンはコートを。おしゃれ小僧はこぞって革ジャン。


人の趣味が揃う街。まさに下北らしい街並みだ。

またここにこよう。別段と目的もなく、好きを求めて。



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