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「最適なキャスティング 誰も傷つけない選択」

「なにぃ!! あの俳優が不祥事を起こしただって!?」

それは会社の一大プロジェクトのプロモーション初日に起こった。

好感度ランキングに毎年上位に出ており、この企画に最適な俳優だった。

もちろん莫大な費用がかかったが、それもプロモーション成功費用としては仕方ないはずだった。

それが初日で頓挫した。

キャンペーンのCMは即時中止。ポスターは剥がされ、何万枚のチラシが使用不可になった。

各マスコミへの対応にもべらぼうな時間がかかった。

しかし、プロジェクトをとめるわけにはいかない。会社にとっての一大企画なのだ。

そこで代役を出しての仕切り直しとなった。

「では、代役を誰にするかだ。もう失敗は許されないぞ」

「では、俳優の〇〇はどうでしょうか? 好感度は彼に劣りません」

「しかし、また不祥事をおこしたらどうするのだ?」

「では、女性の〇〇は?」

「女性も不祥事は起こすだろう」

「うーん、もう海外俳優の〇〇とかはどうですか? あっちのスキャンダルならなにかあっておあまりこちらのマスコミはさわぎません」

「しかし、海外の〇〇か。しかし、彼は二枚目すぎる」

「かっこいいならいいじゃないですか」

「かっこいい、ということをを正当化しているといわれるかもしれない」

「三枚目コメディ俳優〇〇は?」

「彼は〇〇人だろう? それはどうでもいいが、どこかのだれかが噛みつくかもしれねない」

「もういっそ、犬とかにしますか? ネコでもいいですけど」

「動物愛護の観点から責められるかもしれない」

「じゃあ、マンガはどうでしょうか? 最近人気の××とか」

「マンガを肯定的に考えているといわれるかもしれない」

「じゃあ、架空の創作キャラはどうですか?」

「そういうアニメ顔はすぐに炎上するって相場がきまっているんだよ」

「うーん・・・・」


「あ! CGで架空の人間を作りましょう!」

「そんなことができるのか?」

「いまはできますよ。もう生身の人間と遜色ないレベルの緻密さですし」

「これなら不祥事も起こさず、人種もないし、サブカルみもないな!」

「あと修正加工する手間もなくて、いいですね」

「よし! これなら誰も文句はいわないだろう!! すぐに刷新しよう。CGならすぐにいけるだろう!!」


そして、CGキャラに置き換えられた一大プロモーションを打った結果





「人間を使え!!! 人間の仕事を奪うな!!!!」



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