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[落合陽一氏“2030年の世界地図帳“から読むファッションの未来 ーサブスクリプションではないサステナビリティ的なC2Cー]
いろいろな見方を伝えてくれる本書。地政学とテクノロジーとデータから読み解く2030年。
ほぼ10年後という妙。
いま台頭してきているものや、いま動いてる枠組みが語られる本書。
この中で、所有から共有に、という価値観の移行がある。
たとえば音楽。すでに音源販売は下落し、配信・定額・無料等々に移行している。
様々な分野でサービスのサブスクリプション化が進むが、果たして服はどうなのか?
現段階でのコレという成功事例は見当たらない。女性向けのバッグなどの小物類はある程度の成功はあるようだが、男性向けではむずかしいというのが現時点での解になるだろう。その理由は
・物理的な制限
・ファッションの限界費用の低さ
の二つなどがあるんではないかなーと思う。
物理的な制限
サブスクリプションが効果を発揮するのは、IT系か消費系だと思う。
IT系は、契約直後にすぐに利便性を発揮できる。また契約数が増えるほどに一人当たりのコストが低くなる。
またサブスクはITだけではなく、利用した分だけのサービスなので、新聞や雑誌の定期購読や牛乳やヤクルトの配達などもサブスクといえばサブスクなのだ。
で、ファッションは、物理的な制約がある。
物理的な制約ってなんやねん、というか、難しくかいているだけで、実際のモノがないといけない。ふつーに着るためには服がその分だけいる。
なので、IT系サービスのように、すぐに需要を満たすことができない。いますぐに手元に届けるというのはむずかしいし、ほしいと思ったものをその分だけ確保しておく必要がある。
新聞もヤクルトも、モノであるが消費財なので、一旦配ったら、そのまま消費され、回収等の手間もない。必要な人の分だけ届けるので、在庫ロスも生じない。
ただ、洋服は多種多様な在庫を抱える必要がある。サイズも異なるし、デザインも。さらに物理的、トレンド的な磨耗も存在する。
サイズ違いで揃えなければいけない、またそこまで磨耗を気にしなくていい、というまた使う期間が限定されている小物はあり、かと思うが(故にバッグなどは成功に近い形のビジネスモデルがつくれているのだろう)ファッション全般、特に洋服は常に在庫を持たざるを得ず、余剰に揃えなければならない。
ハイテク系と見せながらも実際は不動産の呪縛か解けていない WeWork に近しいビジネスモデルにならざるを得ない。
ファッションの限界費用の低さ
続いては限界費用の低さ。ファストファッションが普及し、ファッションやオシャレを楽しむためのハードルが下がったことが挙げられる。
そして、ファッションを楽しまない人の洋服への投資額が限りなく低い。
一ヶ月の平均値=6,981円 とのこと。
平均なので、使う人は使うが使わない人はもっと使わないだろう。自分自身、ファッションに興味がないときには、洋服とは着れなくなるまで着るものというので、必要出費ながらも額が低ければ低いほどいい、というのが正直なところだった。
ファッションに興味ある人にとったら、月いくらでいろんなブランドの服を着れるのは安い! と思うかもしれないが、圧倒的に母数が少ないだろう。
その中間層。ある程度オシャレにはなりたいが、お金はかけたくない、という層がいるし、そこが狙い目のように見えるが、上記の平均値を見る限り、ここよりも高い場合、「高い!」と感じてしまうだろう。
前述の通り、ある程度のオシャレはファストファッションで事足りる現代。毎月定額を”服にそれほど興味のない人“を出させるのは難しいだろう。
では今後、ファッションはどうなっていくのか、一つがC2Cの活性化が考えられる。
ぶっちゃけていうと、メルカリなどの個人間の服の流通である。
いままで服といえば、いらなくなったら捨てるしかなかった。
古着屋にいくのは、たぶん、古本屋にいくよりもハードルが高く、よっぽどでないと、いかないし、ちゃんとしたものではないとそこまで買取額も多くなかったろうが、メルカリなどのC2Cは、新古品のような扱いで、新品だったり、そこそこの服が、古着屋よりも安く手に入る、メリットがある。
個人の人が出しているため、諸経費諸々がかからない。かかるのは配送代と手数料くらいだ。
ファストファッションのサイクルは早く、ファッショントレンドの消費を加速させる面が取り立たされるが、すでにメルカリなどの二次流通により、トレンド&ベーシックな服はここで、リユース的なリサイクルが生まれている。
なので、近々の動きとし、ファッションはその性質上、サブスクリプション的なビジネスの台頭ではなく、ファストファッション(とハイブラ)の新規市場とフォローするC2C取引の拡大となっていく気がする。
ファッションのサブスクリプションの成功はないのか?
現段階ではかなりむずかしい考え方だと思う。というか、成功する理由が見当たらないので、現在の延長線上ではない技術革新等が必要だろう。
ただし、未来に成功がないとは限らない。
C2Cの普及により、ものを手放すことが常態化し、ファッションの所有欲がうすれ、共有が前提となる状態が生まれるかもしれない。
たとえば、データベース上で個人のワードローブが共有がされ、着たい人に届ける、など。こうすればどこかの倉庫に在庫を持っておく必要はない。利用に応じて、フィーが発生するなどすれば、いいかもしれない。
ファッションと所有は切っても切り離せない。男性は所有欲が多いからビジネス上成功しない、などの現在の価値観の延長線上での成否の判断は今後の価値観の変遷でたやすく変化すると思う。
たぶん、10年後、ガラッとファッションの世界も変わっているだろう。
そのときに、多くの人が楽しめる状態が、やっぱり好ましいんじゃないだろうか。
最後まで読んでくれて thank you !です。感想つきでシェアをして頂けたら一番嬉しいです。Nazy