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スマートハウスを作ってみた(太陽光パネル10.64kW、電気自動車72.6kWh)

わたしは、地方移住をきっかけに、太陽光発電システムと電気自動車を中心とした「スマートハウス」の構築に挑戦しております。

この記事では、2022年10月頃に移住してから苦節5ヶ月、やっと完成したスマートハウスのシステム構成をご紹介したいと思います!


スマートハウス全体構成

スマートハウスを実現するための"三種の神器"は、太陽光発電システム、HEMS、蓄電池(→今のトレンドは電気自動車)の3つ。
我が家の構成は以下のようになりました。

我が家のスマートハウスのシステム構成

ひとつずつ説明していきます。

①:太陽光発電システム・10.64kW

太陽光発電システムは、太陽光パネルの設置面積、設置場所(更地に置く、家の屋根に載せる、カーポート併設型のものを導入する等)や屋根の角度・方角、地域による気象条件(積雪地域か、年間降雨量がどのくらいか)によって発電量が大きく変動します。
わたし個人の意見としては、太陽光パネルは方角の条件をクリアすれば可能な限り多く乗せた方が良いと考えます。理由は以下です。

理由1:太陽光による発電量は天候に左右され、想定通り発電しない時間帯もあるので、自家消費率を高めるためには想定より多くの発電力が必要
理由2:昼間により多くの余剰電力を蓄電池に貯めることができれば、夜間や雨天時でも太陽光由来の電力を利用可能

我が家は、エクソル社のパネル(XLM120-380L-X9B)を28枚(380kW×28=10.64kW)搭載しました。

白い屋根に青の太陽光パネル

吹き抜けが無かったらパネルをあと12枚乗せられたのですが…(中古物件なのでやむなし)。
幸い屋根が東向きと西向きで、南向きより発電量は落ちますが、発電時間としては長くなり自家消費に向いているのではと思います。
また、東向きに8枚、西向きに20枚という構成のため、理論的には、午後の発電の総量が多いことになりそうです。

いつか新築で家を建てる機会があれば、発電量が最大になるように設計したいな〜

①+α:パワーコンディショナー(パワコン)・4kWと5.5kWの2台

太陽光発電システムの導入にあたって欠かせないもののため"①+α"としました。
パワコンは、太陽光パネルで発電した直流(DC)の電気を、家庭用の交流(AC)の電気に変換するための機器です。PCの「ACアダプタ」はAC→DCですので、逆のことをしているわけですね。
我が家は、オムロン社のKPKシリーズにしました。太陽光パネルの発電量が10.64kWのため、パワコンは2台(4kW, 5.5kW)導入。このとき、システム容量としては10.64kW>9.5kW(=4kW+5.5kW)で、小さい方の9.5kWとなります。

右の壁の2つのエアコンみたいなものがパワコンです。2つもあるとメカハウス感が強い…!

②:HEMS機器

HEMSは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭の電気機器をつないでエネルギー使用状況を「見える化」したり、各機器をコントロールしてエネルギーの自動制御ができたりと、節電をするためには必要不可欠なものです。

我が家ではまず、パワコンと同じオムロン社の計測ユニットを導入しました。

このようにモニタで確認できます

自宅で太陽光の発電量を確認したり消費電力を確認する用途としては非常に便利なのですが、このオムロンの計測ユニットを使う場合、リアルタイムで遠隔で確認できるアプリやWebサイトが存在しないようで、他の方法がないか探し中です…。
また、本来のHEMSの役割としては、可視化するだけではなく全体の電力エネルギーの最適化をするものですから、今後も色々と工夫する余地がありそう。(今のところ各家電毎に細分化してエネルギー消費量が可視化されておらず、また、自動制御の仕組みはありません)

③:蓄電システム(我が家はEV(電気自動車))・72.6kWh

太陽光発電のみを導入する場合、晴れた昼間に発電した電力を家庭で使用し、余剰電力を電力会社に売電することになりますが、余剰電力を蓄電し、その電力を夜間や雨天時等に使用することで、電力会社からの買電量を削減することができます。蓄電システムがあれば、太陽が出ていなくても太陽光の恩恵を受けられるわけです。

我が家では"蓄電池"は購入せず、2台目の車としてEV(電気自動車)を導入しました(地方移住により広い駐車場が確保できるようになったことも大きい)。何より、"蓄電池"単体を購入するより、電気自動車を"走る蓄電池"として、蓄電池と移動手段の2つの用途で利用する方がコスパが良いと判断したからです。

我が家が購入したのはヒョンデのIONIQ5(72.6kWh)です。蓄電池としてのコスパ重視、また車両としても評価が高く数々の賞を受賞しており、グローバルでの販売実績もあることから選定しました。

東京都にお住まいの方は特に、2023年も高額の補助金が出ますので、補助金込み価格で比較し、蓄電池にするか電気自動車にするかを決めると良いでしょう。

③+α:V2H機器

EV(電気自動車)を”走る蓄電池”として使うために必要なもののため、"③+α"としました。
V2H(”Vehicle to Home”)とは、EV/PHVのバッテリーから電力を取り出し、分電盤を通じて家庭の電力として使用できる仕組み。V2Hというワードから、一方向(V→H)の充電だけかと思われるかもしれませんが、実際は双方向の充放電が可能。つまり、EVの充電スタンドとEV向けのパワコンという、2つの役割を1台で果たすものです。
※自宅からEVに充電(H→V)するだけなら、200V電源があれば大丈夫です。

我が家では、ニチコン社の「EVパワー・ステーション プレミアムPlusモデル」を採用しました。

V2Hの設置工事中

こちらの製品は2022年に需要が急増し、2022年7月に申し込んで2023年2月に納品&施工と、半年以上待ちました。やっと施工できて感動もひとしお…!

レンガの下を掘って配線を通している様子

太陽光パネルで発電した余剰電力を電気自動車に充電している様子(ニチコンのアプリ画面)

電気自動車から自宅へ放電(ニチコンのアプリ画面)

理想のスマートハウスに向けて&スライドと動画はこちら

着工から半年以上かかりましたが、スマートハウスの基本形は完成。ここまでやってみて、初めてわかったこともたくさんありました。

中古住宅の場合

中古住宅の場合は「いつやるか」はシミュレーションが必要。例えば我が家の場合は、太陽光パネルの工事に必要な足場設置費用を浮かせるため、屋根の塗装を含むリフォーム計画の中でスマートハウス化を実現しました。
足場が組みにくい構造だったり、足場を組む箇所が多いと、意外に費用がかさむんですよね。

新築の場合

新築の家を建設するタイミングでスマートハウスを実現する場合、導入すること自体はすぐに決定できると思うのですが、正直、決められた期間で納得のいく選択をするのは有識者なしでは難しいだろうというのが実感です。例えば、ハウスメーカの担当者が太陽光パネルや蓄電システムについて、数あるメーカの特徴や価格等、検討に必要な情報を必ずしも持っているわけではありません。時間的余裕を持って情報を集めるのはもちろんですが、中立な立場の経験者や有識者にセカンドオピニオンを聞きながら進めるのがベターだと思いました。


わたし自身としても、一旦はスマートハウスが完成したものの、年間を通して想定通りの発電性能のある家なのかは計測や実験を重ねるしかなく、今後も可能な限り改善・進化をさせていきたいと考えています。

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また、先日エンジニア向けのイベントで登壇した際に使ったスライドはこちらからどうぞ。



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